2021年1月のうるう秒挿入はありません2020/07/08

LOD差分の変化
2020年はうるう年でしたが、これとは別に「うるう秒」の挿入は行われませんでした。次に調整が入るとしたら2021年1月1日0:00UT直前のはずですが、国際地球回転・基準系事業(INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE /IERS)のNEWS BULLETINで「2021年1月1日(前年12月末UT)のうるう秒挿入はない」との正式発表が本日ありました。よってUTC-TAI = -37秒が維持されます。

うるう秒調整は世界時で12月末または6月末に行う決まりです。日本時間なら元旦9:00直前または7月1日9:00直前。今年1月7日記事で「最近は1日の長さLOD(Length of Day:1日の実測長)が86400秒からあまりずれない傾向にある」ということを書きました。左上図はこのことをグラフ化したもの。2019年半ば以降、差分の値はおおむねプラスマイナス0.5ミリ秒に収まっていますね。グラフがゼロより上が長期間続けばうるう秒挿入、ゼロより下が長期間続けばうるう秒削除が必要になるのです。

2017年1月-2020年5月末LOD累積
右図は2017年のうるう秒挿入直後を原点として、1日ごとの差分実測値を足してゆき、正確な時を刻む原子時計に対して自然に基づく世界時がどれだけずれているか表したグラフ。データが公開されている今年6月頭頃まででマイナス250秒あまりです。最近は青グラフの傾きが緩やかですので、今後もしばらくうるう秒調整は行われないでしょう。

2019年夏や秋のように万が一青グラフが下降に転じ、それがしばらく続くようなら、この調整制度で初の「うるう秒削除」が行われます。実際どうなるかは全く分かりませんが、ちょっとだけ楽しみです。

なお今回調べていて気づいたのですが、IERSで発行しているBULLETINの月間観測値と、別途まとめられているEARTH ORIENTATION PARAMETERSの長期データの値とで、LODやその誤差範囲などにごくわずかな差があることに気付きました。グラフを見ても全くわからない量ですが、当記事のグラフはEOP長期データに基づいて描いています。

参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)

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