接近してきた明け方の三惑星、新彗星も発見される2018/12/21

20181221明け方の三惑星
昨夜から今朝にかけても良い天気に恵まれました。明日22日は明け方の空で水星と木星が大接近するはずですが、どうも天気が芳しくないようです。そこで、今朝方のタイトなスケジュールの中、観察に出かけました。低空過ぎて自宅からは見えないのです。

開けた場所に着いたのはもう夜明けが始まる時間。水星も木星も見えており、低空は明るくなり始めていました。そそくさと機材を組み、何パターンか撮影しました。左は19日の撮影とほぼ同じ場所、同じ機材で撮影したもの。比べてみると低空の二惑星がかなり接近していると分かりますね。また微妙ながら恒星に対する金星の位置も変わっていますよ。

20181221明け方の三惑星
木立の中からさそり座のアンタレスが登ってきました。これは19日には見えなかった星です。わずか二日の違いながら、少しずつ星々の位置が変化していると実感できました。左画像でどこに何が写っているかは右のマーカー付き画像をどうぞ。

さて、この惑星観察がタイトスケジュールになってしまったのには理由がありました。実はIAUサイトの「The Possible Comet Confirmation Page」に新しい彗星らしき天体が登録されているのを昨日見つけたのです。時を同じくして星仲間の(の)さんからも情報が届きました。位置を確認すると明け方低空だったのです。13等ということで望遠鏡を使えば何とか写せそうでしたが、問題は普段使っている自宅駐車場からは完全に見えないことと、体の障害のため遠い場所まで望遠鏡を運べないこと。苦肉の策で、同じアパートの使ってない駐車場をお借りして、ギリギリ観察することができました(下A画像)。

昨日の段階では明らかになっていませんでしたが、この新天体には岩本彗星(C/2018Y1)の名が付いたそうです。岩本さんは11月にマックホルツ・藤川・岩本彗星(C/2018V1)を発見したばかり。幸運続きですね。まだC/2018Y1の軌道ははっきりしませんが、来年に明るくなるかも知れないとのことです。彗星撮影は惑星観察に出かけるギリギリまでかかり、フラット補正画像などの撮影ができませんでした。(※下画像は擬似フラットで補正しています。)

更にこの2時間ほど前にはウィルタネン周期彗星(46P)が「勾玉星雲」に接近している様子を撮影していたのですが、この時は月が建物に隠れる位置を割り出して機材設置していたため、岩本彗星の撮影位置とも違う場所でした。月と彗星は24°程度まで接近していたため、がんばった割には彗星も星雲もほとんど写っていません(下B画像/元画像はほぼまっ白)。でもまぁ、結果がどうであれチャレンジすることが楽しみなので、十分満足です。というわけで、わずか5時間の間に3回も場所を変え、機材を変え、違う対象を追いかける慌ただしい明け方となりました。

  • 20181221岩本彗星(C/2018 Y1)

  • 20181221ウィルタネン周期彗星(46P)



参考:
ウィルタネン周期彗星(46P)に関係する記事(ブログ内)
岩本彗星(C/2018Y1)に関係する記事(ブログ内)

今日は冬至…えっ?2018/12/21

20181221Doodle
朝からよく晴れています。なにげにパソコンを立ち上げてGoogle先生を見ると、Doodle(Googleサイトトップの日替わりイラスト)に冬至の文字が。そうか、もう冬至になったかぁ…いや待て、違う違う!冬至は明日22日だよね!?(左イラストはGoogleサイトからの引用。)

焦って国立天文台・暦計算室を調べると、間違いなく2018年12月22日07:23(JST)になっています。これ、私のような天文を知ってる人からすると「Doodleは世界時で表示判断してるから、冬至は21日22:23(UT=JST-9時間)ということで、日付がずれたんだね」って分かっちゃいますが、世界時に全く関わらない人のほうが圧倒的に多いでしょうから、勘違いしますよね。



20181221太陽
閑話休題、ほとんど雲のない今日は太陽観察にもってこいの日でした。ただ、冬至のシーズンですから太陽高度が低いのなんの。南中時でも夏場の朝くらいしかありません。

20181221太陽リム
左は11:40頃の太陽。当地・茨城県ではほぼ南中時刻です。今日も活動領域12731は存在しているようですが、左のHα画像ではほとんど分かりません。プロミネンスも細いヒゲ状のものが何本かある程度でした。昼過ぎの気温が13度を越え、厚着で外を歩くと汗ばむほどです。寒気はどこへ…?