明け方に慌ただしく彗星を二つ観察2018/12/01

  • 20181201パンスターズ彗星(C/2016 N6)

    A.パンスターズ彗星(C/2016 N6)
  • 20181201ステファン・オテルマ彗星(38P)

    B.ステファン・オテルマ彗星(38P)


昨夜から今朝にかけ、またしても夕方に湧いた雲が夜半過ぎまで空を覆い、快星夜となったのは明け方1時間程度だけでした。最近このパターンが多いです。まぁせっかく晴れたので大急ぎで準備し、月が近くてしばらく写せなかった彗星を二つ仕留めました。

まず、うみへび座を南下中のパンスターズ彗星(C/2016 N6)。1日前に撮影したパンスターズ彗星(C/2016 R2)とは別物です。11月8日に一度撮影してますが、今朝方は透明度が良かったので良く写りました。短いながら尾が分かりますね。

薄明が迫ってましたが、ふたご座からかに座へ移ったばかりのステファン・オテルマ彗星(38P)にも望遠鏡を向けました。偶然ですがC/2016 N6とほぼ南北関係にあったので、日周による移動が把握しやすく助かりました。残念なことに38Pの撮影し始めから薄雲が空を覆い始め、撮影終わりの頃は月が朧になるほどでした。おかげで淡く広がるコマを写し取ることはできませんでしたが、たまにこんな夜もあるさ、と気持ちを切り替えます。12月は様々な彗星が空を飾りますので、忙しくなりそう…。

今日の太陽2018/12/01

20181201太陽
2018年の12月初日。朝から晴れていますが、所々に淡い雲が流れています。気象光学現象は特に見えないようですが…(明け方の月に薄い内暈と光環が見えました。)

20181201太陽リム
左は9:40頃の太陽。活動領域12728はあっと言う間に見えなくなったようです。今のところ他に活発な領域もありませんね。左上リムにはここ数日大きく見えていたプロミネンスの名残がまだ見えました。左やや下に見えるヒゲのようなプロミネンスが何とも滑稽です。

夕空のマックホルツ・藤川・岩本彗星検出を試みる2018/12/01

20181201_夕方
12月に入りました。いささか無謀と分かっていながら、夕空に回ってきたであろうマックホルツ・藤川・岩本彗星(C/2018V1)の検出をここ三日ほど試みています。もう数日経てば少しは見やすくなると思いますが、来週は当地・茨城の天気が思わしくないのと、夕方低空の状況に慣れておく意味もありました。ただ、夕方になると雲が出てしまい、撮影には至らなかったのです。今夕初めてカメラを向けることができました。

私の家(アパート)の西側は北極星が見えません。従って事前にアラインメントして自動導入…といった現代的な検出は無理です。今回も極めてアナログな方法で行いました。まず日没前の適当なタイミングで太陽位置を覚えておき、原点とします。日が暮れたら画角が分かっているカメラと原点からの位置差分とで彗星方向にカメラを振り、撮影可能時間まで待ち構える…これだけです。よほど高倍率でなければこれで十分なのです。

11月23日明け方の試写で105mm+APS-Cで恒星状に写せることが分かっていたので、今回も同じ機材を使いました。左上画像は撮影したワンシーンで、撮影中心高度は約5°!低いですねぇ…。ベランダなので近隣の屋根や電柱がかなりゴチャゴチャしてますが、位置と日周方向を綿密に計算し、電線の隙間に5分ほど姿を現す時刻予想を立てました。もちろん薄暮の暗さも考慮が必要です。(だからこそ、前々からの準備と経験が必要なのです。)

20181201_MFI彗星検出
前出画像を含め、10枚ほどコンポジットしてトリミングしたものが右画像。コンポジットすると粒子ノイズに埋もれている暗い星まで浮き出てきます。さらに見やすいようにコントラストを上げました。薄雲がかかっていたので心配でしたが、原画像内には8等台前半までの恒星が写っていました。肉眼や小型双眼鏡では土星しか見えませんでしたが、さすがはカメラセンサーですね。右画像のHIP番号は主要な恒星のヒッパルコスNo.です。極軸は合わせられませんが、だいたいの方向は体が覚えているので、大雑把に置いた小さな赤道儀で追尾しました。明るい空だから露出は高々数秒なので、こんな設置でも恒星は点像になってくれます。

肝心の彗星ですが…予定された位置にそれらしい姿は分かりませんでした。写っているような、いないような…。写らない理由は「予想よりずっと暗い、または分裂や消滅した」「予想並みの光度だけれど拡散して背景と一体化してる」「位置がずれている」などが考えられます。画像内に6.6等級の球状星団M10が確認できたので、ボンヤリした天体でもそれなりに集光していれば写っていてもおかしくありません。はたして、彗星はどうなっているのでしょうか?晴れたら、しばらくは夕空の挑戦を続けたいと思います。