火星で過去最大規模の砂嵐2018/06/14

20180608火星
左は6月8日明け方に撮影した火星。ここには現在火星で起こっている巨大な砂嵐が写っています。NASAによると、この砂嵐が原因で火星探査機(ローバータイプ)との通信が取れない事態に陥っているそうです。

火星では過去にも度々砂嵐が起こっており、今に始まったことではありません。でも今回5月末頃から発生しているものは過去最大規模と言われています。砂嵐の面積は約3500万平方キロメートル。日本国土の90倍以上、ロシアの2倍以上も大気が砂で覆われている計算になります。まだ接近してない視直径が小さい時期に、アマチュアの望遠鏡で嵐の存在が確認できるほどなので、余程の規模なのでしょう。

火星を望遠鏡で眺めても模様が見えなくて退屈…そんな心配もありますが、差し当たって大変なのは火星を探査しているローバーです。地表面を移動したり各種観測機器の動力源になっているのは太陽電池。ところが太陽光が全く差さなくなってしまったため、ローバーは節電のため休止モードへ移行してしまいました。バッテリーが完全に無くなる前に太陽光充電できないと、そのまま復活できず役目を終えることになってしまいます。右下画像はNASA Newsからの引用で、探査車オポチュニティーから見える太陽がどれくらい減光するかをシミュレートしたもの。日本の黄砂どころじゃないですね…。

砂嵐で見えなくなった太陽
こんな事態、誰が想像できたでしょうか?NASAでは関係者を緊急招集して対策会議が行われてるそうですが、地球から嵐のコントロールはできませんから、抜本的解決法はないでしょう。将来は火星をドローンで探査…なんていう話が先日話題に上っていましたが、こんな強烈な砂嵐が度々起こるなら、同じ問題に直面することになるでしょうね。

下画像AもNASA Newsからの引用で、6月6日に撮影された火星表面。中央の明るいところを中心に、細かな凹凸がある「雲のような砂」が大きく広がっていますね。青い点は探査機オポチュニティーの場所。砂や雲が無い状態の、地形標高のみで描かれた火星地図(B画像)と比較してください。A・Bそれぞれの位置・大きさは揃えてあります。本来は暗く見える子午線湾やクリュセ平原あたりはすっかり砂で覆われています。なおもう一台稼働中の探査機キュリオシティーはエリシウム山の南西側に位置し、砂嵐の影響を免れているとのこと。(※Google Marsでも「Spacecraft」メニューから探査ローバーたちの居場所が分かります。確認してみましょう。)はてさてこの嵐、収束に何週間、あるいは何ヶ月かかるのか見当も付きませんね…。大接近前に終わるかな?

  • 201806火星の砂嵐

  • 火星地図



【追記】NASAサイトで上のA画像を使ったアニメーションが公開されていたので、下に引用します。明るいオレンジ領域が砂嵐のところです。現在も拡大中とのこと。キュリオシティーも時間の問題か!?(なおキュリオシティーは原子力電池で動いているので、少なくとも太陽光充電に関する問題は起こらないでしょう。)

2018火星の砂嵐


参考:
2018年火星の地球接近に関する記事(ブログ内)

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