迷走するサイクロン「WINSTON」2016/02/21

20160221_0900サイクロン・WINSTON
当地茨城の昨夜は一時的に結構な雨でした。この雨はここに至るまで各地に雨をもたらしたようです。「低気圧が発達しながら…」という天気予報お決まりの文言が繰り返し報道されていました。昨年は観測史上初めて台風が毎月発生しましたが、今年はまだひとつも発生していません。台風でなくても今回のように雨や風に見舞われることはありますが、なんにせよ自然災害が出ないに越したことはありませんね。

いま北半球は冬ですから、台風の原動力である海水の熱エネルギーが少なく台風もできにくい時期ですね。でも南半球は逆ですから、いまが本格シーズン。ニュースにもなっていますが、フィジー諸島やその近海ではここしばらくサイクロン「WINSTON」が猛威を振るっています。左は本日9:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線は筆者)。地球の右下、ニュージーランドの北にはっきりした渦が見えますね。これがサイクロン「WINSTON」です。

20160221_0600サイクロン「WINSTON」
このサイクロン付近のみ切り出したのが右画像(時刻は本日6:00JST)です。日本で見る台風と逆回りになっています。上画像に赤丸でサイクロン中心の半径500km円を描いてありますが、今朝9:00時点の強風域(17m/s以上/台風の基準より速い)直径は350km以上、暴風域(25m/s以上)直径も180km以上あったようです。日本の台風に慣れていると巨大には感じないものの、中心付近の気圧は925hPa、風速は60m/s以上、瞬間最大では80m/sを越える強さで、フィジー観測史上最大(カテゴリー5=最大の強さ)とのこと。風を遮る高い山々がない島国(フィジー最高峰でも1324m)では日本の平野部での台風並みに風の被害が大きいでしょうね。

下左画像の経路&予報図(NRL Tropical Cyclon/JTWCより引用)を見ると、日本が今日を迎えたころフィジー本島北部をかすめるように移動していきました。でもこのサイクロンが近隣の島々に猛威を振るい始めたのは2月10日頃からのようで、そのときは図中の南緯15度近く、○マークから渦マークに変わった辺りにいました。以降、とても複雑なコースをたどる「迷走サイクロン」になったのです。

緯度が日本と反対で高緯度が下向きですし、見慣れない場所なのでピンときません。日本近海でこの動きになったらどんなふうなのでしょう?そんな疑問が湧いたので、経路図上下を反転し南緯を北緯の値に見立てて、東経175度を日本の135度としてスケールを合わせ、日本地図に重ねてみました(下右図)。もちろん気象が全然違うのでこんなコースにはなりませんが、サイクロン「WINSTON」はこんな長距離の迷走をしている最中だ、という実感が湧くでしょう。予報も難しいらしく、ここ一週間の予報を見ると全く外れていることもありました。通り過ぎたのにまたやって来るなんて迷惑千万、気が休まりませんね。島の方々、どうかご無事で。

  • サイクロンWINSTON移動経路
  • サイクロンWINSTON北半球だったら…

参考:
まだ油断できないサイクロン「WINSTON」(2016/02/23・二日後の様子)
サイクロン「WINSTON」の成れの果て(2016/03/04)

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