台風7号の振る舞い ― 2016/08/18
台風7号は16日午後から関東に影響が出始め、翌17日夕方には北海道に上陸。今年最初の上陸台風となりました。北海道への直接上陸例はとても少なく、1993年11号以来でした(下表参照)。コースも1993年11号に酷似しています。台風は17日21時、北海道通過中に温帯低気圧へ変わった後しばらく雨を降らせ続けました。
気象庁による降雨レーダー画像を使い、関東に接近した16日15:30から翌日9:30まで1時間おきの様子を動画にしたのが左図です。(※クリックで大きい動画が表示できます。)渦を巻き、関東の東側に大雨を降らせつつ北上する様子が分かりますね。この過程で道路が冠水したり、停電になったり、鉄道や空の便が混乱しました。
【北海道に直接上陸した台風】
※1951年-2015年調べ。上陸台風番号 | 上陸日 |
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1952年9号 | 1952年8月19日 |
1956年9号 | 1956年8月18日 |
1962年9号 | 1962年8月4日 |
1993年11号 | 1993年8月28日 |
過ぎ去ってしまうと他人事のように忘れ去られるのですが、実はこの台風、関東を過ぎたあと風が強まり、17日12時頃から暴風域を伴うようになってます。右下画像はそのときの気象衛星による画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。赤点線は台風中心の直径1000km円です。目の位置がはっきり分かりますね。ここに至るまでも、15日3時に985hPaまで下がった中心気圧が16日9時に990hPaへ上がり、17日3時には再度980hPaまで下がる、といった不安定さでした。
台風の中心は10時頃に宮城県の牡鹿半島付近(下左画像)、17:30頃には北海道の襟裳岬付近(下右画像)まで達しました。当然ながら台風中心がその地区に達する数時間前には到着地域で既に風雨が強まってます。台風の予報は「中心」ではなく「強風雨の先端位置」を告知してほしい、といつも思うんですが…。
かくして台風7号は17日21時に台風ではなくなったのですが、この時点で中心気圧は984hPa、最大風速55m/s、強風域も直径600kmありました。なぜ台風が解除されたのかピンとこない状態での収束ですね。台風としての寿命は3日18時間、台風6号とのダブル台風期間は1日6時間でした。
天気が不安定な関東、台風8号も発生 ― 2016/08/18
台風7号が去って一段落の日本…かと思ったら、去った後の関東は昨日午後からずっと不安定なお天気。本日18日もあちこちで大雨の模様。我が家からもときおり雷鳴が聞こえます。
そして、こちらも昨夜から警戒されていた香港の南西にある熱帯低気圧が、今日9:00に台風8号(DIANMU/ディアンムー)になったと気象庁から発表されました。前の台風7号発生から4日6時間後、台風7号消滅からわずか12時間後になります。本当にせわしないなあ。
左画像は発生時9:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。赤点円は台風中心の直径1000km円です。日本から遠く、渦はやや弱いですが、今年7月末の台風3号や4号が接近した地方なので、現地の方々は休む間もないでしょうね。どうか被害が出ませんように。それから日本の南東にも大きな渦巻きが見えます。9:00時点で996hPaの熱帯低気圧で本州に向かっているようです。気象庁からは特に発表がないので24時間以内に台風にはならないようですが、立派な低気圧に変わりはないので注意が必要ですね。
(夕方追記)昼前から夕方にかけてあちこちに雨雲が発達し、局所的な雷雨となったようです。15時頃は当地・茨城県南地区も激しい雷雨に見舞われました。右はその時の気象庁・降雨レーダー画像。外出の用事がありましたがやむなくキャンセルに。報道によると茨城県内では最大で約60100軒の停電がありました。(※我が家も20分ほど停電しました。)
また右図の長野県・群馬県・新潟県の境界付近にも雨領域がありますが、このあと大きく発達し、長野県・笠岳で17:40までの1時間に68.5mmを観測、1時間降水量・日最大値の観測史上1位記録を更新しました。
茨城の気温は概ね30度以下に留まりましたが、全国では真夏日(30度以上)のところが全国で540地点、35度以上の猛暑日となったのは76地点(18:00現在)と、西日本を中心に暑さを維持。鹿児島県・喜界島では昨日と同じ35.1度まで上がり、日最高気温の観測史上1位のタイ記録でした。また本日の最高気温トップは佐賀県・嬉野と大阪府・堺の37.3度(18:00現在)でした。
利根川ダム統合管理事務所発表、今日15時現在の利根川上流8ダムの貯水状況は下表の通り。降雨レーダーでは上流域に少なくとも数時間の降水があったので、昨日の台風とあわせて貯水の下降が押さえられつつありますが、このブログで今年のダム水不足を扱い始めた梅雨入りの頃並みに貯水率が減っているのは事実です。
【利根川上流8ダムの貯水状況・2016年8月18日15:00現在】
場所 | 貯水量(万m³) | 貯水率(%) | 0:00からの変化 |
---|---|---|---|
下久保ダム | 3842.8 | 45.21 | 0.37%↓ |
矢木沢ダム | 5045.7 | 43.69 | 0.23%↑ |
奈良俣ダム | 3823 | 53.10 | 0.70%↓ |
草木ダム | 2986.3 | 97.91 | 0.81%↓ |
藤原ダム | 1305.1 | 88.84 | 0.10%↑ |
渡良瀬貯水池 | 1186.1 | 97.22 | 0.34%↑ |
相俣ダム | 521.4 | 49.19 | 1.40%↓ |
薗原ダム | 211.5 | 70.50 | 10.70%↑ |
8ダム合計 | 18921.9 | 55.09 (対平年値:69.33%) | 0.17%↓ |