SLIMの機能が回復、木星衛星トライアングルも見えた2024/01/29

20240129神酒の海付近
昨夜から今朝も快晴。宵に木星、夜半過ぎに月を観察できました。風はほとんど無かったけれど湿度高めで透明度が若干悪く、夜半までのシーイングは最悪に近い状態でした。撮影できた月面から4枚掲載。(木星画像は処理に時間がかかるため、後ほど追加掲載予定です。→記事末に追加しました)

左画像は神酒の海付近。本日のニュースで、この画像を撮影した約2.5時間前に小型月着陸実証機SLIMとの通信が再開され、機能が回復したことを知りました。太陽電池が充電し始めたのですね、よかったよかった。でも残り二日ほどでSLIMが日没を迎えますから、猶予はありません。地球のように日没直前に大気で減光することは無い(むしろ発電量MAXになる)けれど、日没と同時にピタッと光が途切れて周囲の温度も急冷しますから、短時間でどれだけ観測できるかエンジニアの腕の見せ所でしょう。左画像を見るとSLIMがいるキリルスの北東、テオフィルスも光が届かないところが見えています。がんばれSLIM。

下A画像は日没を迎える危難の海とその周辺。クレオメデスが巨大な洞穴に見えます。普段眩しいくらいのプロクルスも暗くなりました。ちょうどオニール橋が橋らしく感じ始める頃です。危難の海の円周に沿うようなリッジが浜辺に寄せる波のようで、湾岸を巡る道路の高架橋ではないかと想像が膨らみますね。(橋は実在しないけれど…。)コーシーを挟む谷と断崖が見えるようになりました。明日未明は明暗境界が近づき、もっと彫りが深くなるでしょう。

下B画像はA画像の南、豊の海付近。タルンティウス連鎖クレーターや、豊の海に根を張るリッジが見事です。ラングレヌスの西縁が少しだけ見えていました。下C画像は更に南側、ジャンセン付近。画像上部が神酒の海なので冒頭画像に繋がるエリアです。ピッコロミニに続くアルタイ断崖にも影が出始めました。ステヴィヌスの中央丘の最先端のみ光ってますね。こういう偶然に巡り合えると幸せになれます。

  • 20240129危難の海、マクロビウス、コーシー

    A.危難の海付近
  • 20240129豊の海、タルンティウス、フラカストリウス

    B.豊の海付近
  • 20240129フラカストリウス、ピッコロミニ、ジャンセン

    C.ジャンセン付近


20240128_ガリレオ衛星トライアングル
【追記】
28日宵はガリレオ衛星のうちエウロパ、ガニメデ、カリストの三つがほぼ正三角形に並びました(→2022年10月1日記事参照)。20:23:40ごろ三辺離角偏差がもっとも小さくなり、それぞれ44.6796″角、44.1618″角、44.1796″角でした。偏差は0.239996で、前後数年間に発生予報された正三角イベントのなかでもっとも正三角に近い状態でした。

ただ、望遠鏡を木星に向けると滝の表面みたいな像しか見えず、取りあえず予定時刻前後に撮ったものの仕上げる自信はありませんでした。案の定スタックエラーが山ほど発生し、何度もやり直し。トライ&エラーの果てに妥協したのが左上画像です。デローテーション中央時刻を28日20:23:42にしてあります。また、東に外れたイオも構図に入れてみました。

27日宵にもキョロキョロジュピター(大赤斑に衛星の影が入り込む)が見えたので取りあえず撮影しましたが、まだ仕上がりに至っていません。冬の木星は辛いですね…。でもまぁ、全く見えないよりはマシでした。今年から2027年まで木星の衝は冬期間です。2028年からは3月以降になり、シーイングの悪さは少しずつ良くなるでしょう。

なお次回のトライアングルは今年2月23日21:01ごろで、木星の西にイオ、エウロパ、カリストが小さな正三角、木星の東に離れてガニメデが輝く構図です。一辺が木星視直径より大きかった今回とは対照的ですね。



今日の太陽2024/01/29

20240129太陽
朝から良く晴れています。気温はぎりぎり10度に届きました。もう梅が咲き始めていい頃ですね。

20240129太陽リム
左は10時ごろの太陽。黒点を伴う活動領域は右リムと中央のみ。左やや上リムに新たに黒点が出てきましたがまだ採番されていません。プロミネンスが寂しくなってしまいましたね…。