イブに月とすばるが急接近 ― 2023/12/25
クリスマスイブの昨宵はサンタこそ見かけませんでしたが、北空高く通過するスターリンク・トレイン(Group6-32)が見えました。青くて綺麗でしたが、光害や大気汚染、宇宙デブリの元になると考えると悩ましい…。登ったばかりの月がプレアデス星団(すばる)に接近して素晴らしい眺めでした。まもなく満月ということもあってさすがのプレアデス星団も霞んでいたけれど、明るい星団トップ3に名を連ねるほどですから双眼鏡で一緒に見える事実だけでも十分驚きます。
最接近瞬時は24日17:21ごろでした。このときの離角は約1.564°。最接近離角が2.0°を下回り始めたのは今年6月からで、今回は月が星団の南を通過する形です。当地ではまだ東の電線群の中でしたので、月の観察を終えた20時過ぎに左上画像を撮影。ふつうに撮影すると月も空も白飛びするため、4段階の多段階露光で月面も月周囲の微光星もなるべく取り出してあります。とは言え、満月期は難しいですね。流行りの生成AIででっち上げような絵面になってしまいます。
月とプレアデス星団の接近は緩やかな周期性があります。これは他の月に絡む接近/掩蔽現象…例えばアンタレス掩蔽やアルデバラン掩蔽、あるいは日食なども同じ理屈で、月の軌道面(白道面)が黄道面に対してゆっくり動いていることが大きな要因です。月軌道面は概ね黄道に近いですが、もし完全に同じなら毎周回ごと同じ天体に同じ離角で接近しますから、遠近の変化は起こりません。でも実際はわずかに異なり、しかもすりこぎ運動をしています(→国立天文台・暦wiki解説参照)。
下A・B図としてM45(プレアデス星団)およびM44(プレセペ星団)との離角を50年分示しました。「月が各天体に一番近い日時ごとに離角をプロットしたもの」という図です。離角は通常正の値のみですが、この図では「月が星団の南を通過する場合はマイナス値」として、南北位置関係も表現しています。また現実に則するため測心計算にしました。月は近い天体ですから地心計算と測心計算とでかなり異なり、また自転の影響を受けないので滑らかな曲線になります。
今はプレアデス星団の南側をスルーしている月も、2025年ごろには星団のなかにどっぷり浸かり始めるでしょう。今週29日夜中ごろに接近するプレセペ星団も北に離れているけれど、2026年ごろから星団を隠す様子が見られます。楽しみですね。
月面の拡大観察もしました。前夜ほどではありませんがシーイングは3/10とまずまず。ただし宵なのに既に2度を下回る気温になり辛かったです。撮影した中から3枚掲載。
下C画像はすっかり明るくなった虹の入り江付近。リッジはあまり浮き出なくなり、リム近くの山々だけが目立ちます。J.ハーシェルの奥、たぶんアナクシマンデルやサウスなどのクレーター壁だけが紐状に光り、やたら明るく感じました。前夜に見えなかったグルイテュイゼン・ガンマの山頂付近にある小クレーターをやっと確認。
下D画像は光条が目立ってきたコペルニクスから明暗境界にかけて。欠け際にアリスタルコスとヘロドトスのコンビ。左下にマリウスも見えています。ブツブツが出始めましたね。マリウス谷が白い糸状に見えています。前夜見えたドリル山のギザギザは見えなくなりました。
下E画像はすっかり明るいシラー付近。シラー・ズッキウス・ベイスンの凹みが感じられます。欠け際にシッカルトが見え始めていました。シッカルトでのRay現象というのは耳にしませんが、クレーターの低い縁から幅広の光線がなだれ込み、少しずつ明るくなっていました。右画像は18:40と19:19に同じエリアを撮影したトリミング組み写真ですが、たった40分でこんなに変わります。広い意味ではこれもRay現象ですね。またシーイングが尻上がりに良くなった様子も分かるでしょう。
最接近瞬時は24日17:21ごろでした。このときの離角は約1.564°。最接近離角が2.0°を下回り始めたのは今年6月からで、今回は月が星団の南を通過する形です。当地ではまだ東の電線群の中でしたので、月の観察を終えた20時過ぎに左上画像を撮影。ふつうに撮影すると月も空も白飛びするため、4段階の多段階露光で月面も月周囲の微光星もなるべく取り出してあります。とは言え、満月期は難しいですね。流行りの生成AIででっち上げような絵面になってしまいます。
月とプレアデス星団の接近は緩やかな周期性があります。これは他の月に絡む接近/掩蔽現象…例えばアンタレス掩蔽やアルデバラン掩蔽、あるいは日食なども同じ理屈で、月の軌道面(白道面)が黄道面に対してゆっくり動いていることが大きな要因です。月軌道面は概ね黄道に近いですが、もし完全に同じなら毎周回ごと同じ天体に同じ離角で接近しますから、遠近の変化は起こりません。でも実際はわずかに異なり、しかもすりこぎ運動をしています(→国立天文台・暦wiki解説参照)。
下A・B図としてM45(プレアデス星団)およびM44(プレセペ星団)との離角を50年分示しました。「月が各天体に一番近い日時ごとに離角をプロットしたもの」という図です。離角は通常正の値のみですが、この図では「月が星団の南を通過する場合はマイナス値」として、南北位置関係も表現しています。また現実に則するため測心計算にしました。月は近い天体ですから地心計算と測心計算とでかなり異なり、また自転の影響を受けないので滑らかな曲線になります。
今はプレアデス星団の南側をスルーしている月も、2025年ごろには星団のなかにどっぷり浸かり始めるでしょう。今週29日夜中ごろに接近するプレセペ星団も北に離れているけれど、2026年ごろから星団を隠す様子が見られます。楽しみですね。
月面の拡大観察もしました。前夜ほどではありませんがシーイングは3/10とまずまず。ただし宵なのに既に2度を下回る気温になり辛かったです。撮影した中から3枚掲載。
下C画像はすっかり明るくなった虹の入り江付近。リッジはあまり浮き出なくなり、リム近くの山々だけが目立ちます。J.ハーシェルの奥、たぶんアナクシマンデルやサウスなどのクレーター壁だけが紐状に光り、やたら明るく感じました。前夜に見えなかったグルイテュイゼン・ガンマの山頂付近にある小クレーターをやっと確認。
下D画像は光条が目立ってきたコペルニクスから明暗境界にかけて。欠け際にアリスタルコスとヘロドトスのコンビ。左下にマリウスも見えています。ブツブツが出始めましたね。マリウス谷が白い糸状に見えています。前夜見えたドリル山のギザギザは見えなくなりました。
下E画像はすっかり明るいシラー付近。シラー・ズッキウス・ベイスンの凹みが感じられます。欠け際にシッカルトが見え始めていました。シッカルトでのRay現象というのは耳にしませんが、クレーターの低い縁から幅広の光線がなだれ込み、少しずつ明るくなっていました。右画像は18:40と19:19に同じエリアを撮影したトリミング組み写真ですが、たった40分でこんなに変わります。広い意味ではこれもRay現象ですね。またシーイングが尻上がりに良くなった様子も分かるでしょう。