コールドムーン、ふたたび。 ― 2023/12/28

20231227_18568月
昨日はそれなりに青空が広がっていたものの太陽に貼り付く雲も多く、結局太陽観察ができませんでした。夜も雲量が90%と0%を行ったり来たり。それに伴ってシーイングの触れ幅が大きくて難儀しました。どうしても月面を撮りたかったため最終的に3時間以上も空とにらめっこをすることに……。

左画像は27日21:10頃の撮影で、太陽黄経差は約185.68°、撮影高度は約51.63°、月齢は14.53。満月瞬時から約半日経っており、南側から東側(右側)が少し欠けています。南の海あたりは見えなくなってきましたね。20時間ほど前に撮影したときはシーイングが酷過ぎて不本意な画像しか得られませんでしたが、この画像撮影時は若干良いコンディションでした。この後しばらくは雲少なめの空が続いたものの、28日未明はすっかり曇ってしまいました。

20231227フンボルト、ペタヴィウス、アンスガリウス
どうしても記録したかったのは2023年11月28日記事にも書いたフンボルト連鎖クレーター。ちょうど一朔望月経って、絶好の観察タイミングだったからです。リムぎりぎりの地形を見るには、その地形が地球側を向く秤動であるだけではなく、適切な日照が重要です。日が当たってなければ全く見えないし、当たり過ぎても周囲に馴染んで特定を難しくします。特にフンボルト連鎖クレーターは地球から見て奥行き方向に長いため、良いタイミングがなかなかありません。ついでに言うと、2023年12月23日記事末の囲みにも書いたように、東リムの地形を見るときは少しでも経度秤動を稼ぐため東の空で観ることが望ましく、場合によってはこうしたタイミングまで考慮すべきケースもあるでしょう。

この先、今回並のベストタイミングは2025年1月14日にあるのみで、その後は2030年9月12日まで起こらないのです。とても貴重なタイミングだったと言えましょう。※これ以外は見えないということではありません。少々見辛いことを気にしなければチャンスはそれなりにあります。また満月直後だけでなく逆光(=三日月前後)のころにも良いタイミングはあります。例えば2024年4月10日や5月10日の薄暮時など。ただし薄暮中の低空観察を覚悟しなくてはなならず、西空のため経度秤動が差し引かれ不利になります。

もともと昨夜は月が撮れるほど晴れる期待値が低かったため、厚めの雲越しに月がぼんやり見える18:30ごろから撮影に取り組みました。わずかな雲間も逃さず撮り続けていると、21時を回る頃に雲が無くなり、シーイングも落ち着いてくれたのです。祈りが天に届いたかと思いました。

右画像は21:30ごろの撮影。フンボルトとともに、ラングレヌス、フェンデリヌス、ペタヴィウス、フルネリウスの四大火口も写っています。フンボルト付近をトリミングし、前出記事と同様にNASA・LRO画像に対応付けたのが下A画像。赤矢印間が連鎖クレーターと思われる溝です。一ヶ月前より少し位相が進み、影がフンボルト側に寄ったおかげで溝が格段に見やすくなりました。処理済み画像ほど明瞭ではないけれど、PCモニター画面でも溝を特定できました。ただ地球からの角度ではクレーターがチェーンになって見えないことが残念。

南極域も見てみました(下B画像)。2023年11月29日記事に書いた山々を特定してみてください。M6以外はすべて写っています。いちおう南極点は地球側を向いていますが、秤動不足のためアムンゼン付近より遠くはほぼ見えません。

右上のフンボルト画像に続く欠け際が下C・D画像。C画像の右端に見えるのはスミス海。半分は影の中&裏側で見えません。海の南部に見えるキース(Kiess/雲の海のKiesとは別)と、隣接するウィドマンシュテッテンが美しいハート型を作っています。海の北に見える大きなクレーターはネイピア。D画像にも写ってるネイピアの北には縁の海が連なります。D画像中央の危難の海が複雑な模様を見せています。その北にクレオメデスやゲミノス、欠け際が迫るガウスなども大きいクレーターですね。

  • 20231227フンボルト連鎖クレーター

    A.フンボルト連鎖クレーター
  • 20231227南極域

    B.南極域


  • 20231227スミス海、ラングレヌス、ネイピア

    C.スミス海付近
  • 20231227危難の海、タルンティウス、ガウス

    D.危難の海付近