太陽からもっとも離れたハレー彗星 ― 2023/12/09
人間はかなり昔のことまでしっかり記憶できる生き物です。幼少期のトラウマみたいなことだけでなく、嬉しいことも楽しいことも、中にはたわいない些細なことも思い出せる方もいらっしゃるでしょう。私は幼稚園や小学生時代まで遡って、実家の天井の木目とか雨戸の隙間、庭土の手触りや咲いてた花の香り等、今でも思い出せます。もう半世紀以上も前だというのに。
周期彗星トップの「1P」という番号で知られるハレー彗星が前回地球や太陽に接近したのは1986年のこと。40歳代後半や、50歳代以上の方は当時の様子を覚えていらっしゃるでしょうか?公転周期は75年とか76年とか言われますから、その半分の年月がすぎると太陽からもっとも遠い「遠日点」に達します。NASA-JPL・HORIZONSで計算すると、まさに本日2023年12月9日9時JSTごろに遠日点を通過したことになります。4、5年前からこの日を楽しみにしていました。
左上画像はうみへび座の頭付近を写したもの。昨夜は少し雲が多かったため一昨日8日未明に保険で撮っておいた画像です。黄色点線円内が現在のハレー彗星の位置。計算上の全等級は25.558等とのことなので、アマチュアの望遠鏡で彗星本体を写し取ることはできないでしょう。それでも「若いころ夢中で観測したあの彗星がここにいるんだ」と思うと涙が出そうになります。
昨年の統計によれば日本人の平均寿命は男性・81歳、女性・87歳とのことですから、平均寿命を全うした方はハレー彗星の回帰を少なくとも1回は体験することができます。前回は天文界や科学界を中心に様々なキャンペーンで盛り上がりました。今度帰ってくるのは2061年夏。気候変動で曇りが多くなったり、光害で星空が遠い存在になったり、山奥に行っても見渡す限り人工衛星だらけになっていたり…。そんな未来になる心配も大きいのですが、こどもたちの心に「美しい彗星の記憶」を刻んでもらえたらいいなって切に願います。
周期彗星トップの「1P」という番号で知られるハレー彗星が前回地球や太陽に接近したのは1986年のこと。40歳代後半や、50歳代以上の方は当時の様子を覚えていらっしゃるでしょうか?公転周期は75年とか76年とか言われますから、その半分の年月がすぎると太陽からもっとも遠い「遠日点」に達します。NASA-JPL・HORIZONSで計算すると、まさに本日2023年12月9日9時JSTごろに遠日点を通過したことになります。4、5年前からこの日を楽しみにしていました。
左上画像はうみへび座の頭付近を写したもの。昨夜は少し雲が多かったため一昨日8日未明に保険で撮っておいた画像です。黄色点線円内が現在のハレー彗星の位置。計算上の全等級は25.558等とのことなので、アマチュアの望遠鏡で彗星本体を写し取ることはできないでしょう。それでも「若いころ夢中で観測したあの彗星がここにいるんだ」と思うと涙が出そうになります。
昨年の統計によれば日本人の平均寿命は男性・81歳、女性・87歳とのことですから、平均寿命を全うした方はハレー彗星の回帰を少なくとも1回は体験することができます。前回は天文界や科学界を中心に様々なキャンペーンで盛り上がりました。今度帰ってくるのは2061年夏。気候変動で曇りが多くなったり、光害で星空が遠い存在になったり、山奥に行っても見渡す限り人工衛星だらけになっていたり…。そんな未来になる心配も大きいのですが、こどもたちの心に「美しい彗星の記憶」を刻んでもらえたらいいなって切に願います。
朝のお月見、静岡・西村さんの突発天体も ― 2023/12/09
昨夜から今朝にかけては未明まで雲の往来があり、快星とは行きませんでした。それでも明け方が近くなると共にすっきりしてきて、金星と共にのぼった月を拝むことができました。
左画像は9日05:40頃の撮影で、太陽黄経差は約309.92°、撮影高度は約31.26°、月齢は25.47。金星が丸くなるいっぽうで、月は随分細くなってきました。湿度が高めの穏やかな大気で、この全球撮影のあと薄明中に拡大撮影を始めた頃から冬とは思えないくらい好シーイングになってきました。同じような空なのに前夜のゆらゆらな大気と何が違ったのでしょうかね?
明日10日朝は金星と月が縦並びになります。6:00時点で5.6°くらいですから大接近というほどではありませんが、「裸眼で見るといちばん美しい」と感じる絶妙な距離感と思います。
また前夜の8日5:30JSTごろ、静岡県の西村栄男さんがおとめ座に13.3等の突発天体を発見したとの情報があったので、月撮影の準備と同時進行で突発天体も撮影しました(右画像)。障害物が多く庭先から狙いづらい方角だったため苦労させられましたが、なんとか写ったようです。該当位置には青白い星がありました。矮新星でしょうか?
月面拡大画像から2枚掲載。下A画像はすっかり暗くなったアリスタルコスからマリウスあたりにかけて。マリウス周囲のドームがすごいです。前夜にほとんど解像しなかったクラフト連鎖クレーターがはっきり見えました。さらに、クラフトからバルボアA、ドルトンと目を移してゆくとアインシュタインが見つかります。二重構造が前夜よりしっかり確認できます。秤動が良くなったおかげもありますね。
下B画像はシッカルトからバイイにかけて。この撮影は日の出15分前という空だったのですが、バイイの巨大なくぼみやワルゲンチンの表面を走る低いリッジなども分かります。インギラミ谷のシワまでは分かりませんでした。もう少し斜陽にならないと難しそう。このあと2台の望遠鏡を片づけるという苦労もあったけれど、実りある楽しい朝でした。
左画像は9日05:40頃の撮影で、太陽黄経差は約309.92°、撮影高度は約31.26°、月齢は25.47。金星が丸くなるいっぽうで、月は随分細くなってきました。湿度が高めの穏やかな大気で、この全球撮影のあと薄明中に拡大撮影を始めた頃から冬とは思えないくらい好シーイングになってきました。同じような空なのに前夜のゆらゆらな大気と何が違ったのでしょうかね?
明日10日朝は金星と月が縦並びになります。6:00時点で5.6°くらいですから大接近というほどではありませんが、「裸眼で見るといちばん美しい」と感じる絶妙な距離感と思います。
また前夜の8日5:30JSTごろ、静岡県の西村栄男さんがおとめ座に13.3等の突発天体を発見したとの情報があったので、月撮影の準備と同時進行で突発天体も撮影しました(右画像)。障害物が多く庭先から狙いづらい方角だったため苦労させられましたが、なんとか写ったようです。該当位置には青白い星がありました。矮新星でしょうか?
【メモ】
この新天体は後にIa型の超新星(=SN2023zvq)と判明しました。西村さんはこの発見により「彗星・新星・超新星」の全種を発見する“三冠”を達成したことになります。星仲間の(の)さんによると、西村さん以外に国内で三冠を達成したのは高見澤今朝雄さん、菅野松男さん、板垣公一さん、古山茂さんの四人いらっしゃるとのこと。 (→参考:静岡新聞の記事)
この新天体は後にIa型の超新星(=SN2023zvq)と判明しました。西村さんはこの発見により「彗星・新星・超新星」の全種を発見する“三冠”を達成したことになります。星仲間の(の)さんによると、西村さん以外に国内で三冠を達成したのは高見澤今朝雄さん、菅野松男さん、板垣公一さん、古山茂さんの四人いらっしゃるとのこと。 (→参考:静岡新聞の記事)
月面拡大画像から2枚掲載。下A画像はすっかり暗くなったアリスタルコスからマリウスあたりにかけて。マリウス周囲のドームがすごいです。前夜にほとんど解像しなかったクラフト連鎖クレーターがはっきり見えました。さらに、クラフトからバルボアA、ドルトンと目を移してゆくとアインシュタインが見つかります。二重構造が前夜よりしっかり確認できます。秤動が良くなったおかげもありますね。
下B画像はシッカルトからバイイにかけて。この撮影は日の出15分前という空だったのですが、バイイの巨大なくぼみやワルゲンチンの表面を走る低いリッジなども分かります。インギラミ谷のシワまでは分かりませんでした。もう少し斜陽にならないと難しそう。このあと2台の望遠鏡を片づけるという苦労もあったけれど、実りある楽しい朝でした。







