三日ぶりの晴れ間に浮かぶ金星・木星・月2023/03/04

20230303金星と木星
二日ほど宵の天気が芳しくなく、最接近日の金星と木星の様子を見ることは叶いませんでした。昨夕やっと晴れたので、日没後日がとっぷり暮れるまで眺めることができました。

左は18:15過ぎの撮影。1.3°弱ほど離れており、腕を伸ばした状態の指先の幅で隠すことができました。今後ゆっくり離れて行きますが、金星が太陽に対して離れるのに対し、木星は太陽に接近します(黄経の合は4月12日7:07)。

20230303金星と木星
従って、日没後の木星高度はどんどん下がり、低くて見づらくなる印象のほうが強いと思われます。3月23日には金星・月・木星の順に一列に並びますが、この頃の木星は西が十分開けたところで探しても見つけることが難しくなっているでしょう。

ともあれもう一週間ほどは金星と共に見えますから、楽しめる時に楽しみましょう。

暗くなってから、高いところに輝く月を観察しました。前夜よりシーイングは若干改善されていました。下A画像は20時過ぎの撮影で、太陽黄経差は約135.36°、撮影高度は約74.46°、月齢11.17。近くにポルックスが光っていました。ケプラー、ガッサンディ、シラーなどが見えてきましたよ。7日の満月に向かってどんどん太っていきます。

2023年2月6日記事でも取り上げましたが、冬から春先まで1朔望月ごとの緯度秤動最小は満月プラスマイナス5日ほどに収まるため、「太陽に照らされた月面南極」を観察するチャンスです。3月は本日4日(宵から夜半前)がピーク、続いて3日、5日…とマイナス側に大きい緯度秤動日が続きます。昨夜もひと目見て「あ、南極が見える」とすぐ分かる状態でしたから、拡大撮影してみました(下B画像)。地名入り画像は用意しませんので前出2月記事にある画像を参考に探してみてください。

南極点に近いシャクルトンはしっかり見えますが、それより手前のシューメーカーは影の中でした。アムンゼンのさらに向こう側にあるイデルソンLという30km弱のサテライトクレーターが確認できたのは驚きでした。満月に近いと正面からの太陽光が奥(地球から見て反対側)まで届かないけれど、今回のように少し斜めからの太陽照射(いわゆるLs:太陽から見た月面中点経度が-60°程度から60°程度までのうち0°=満月近辺を避けた期間)なら、奥まで光が届いてくれます。このため満月時に見えない極地方の奥の地形が見える場合があるのです。今夜は雲が出そうだから見えないかも知れませんが、万が一月が出たらもう一度見てみましょう。

  • 20230303_13536月

    A.全体
  • 20230303_月面南極

    B.月面南部


明暗境界を辿ると、朝を迎えた虹の入り江からのびる皺や、湿りの海の皺がとても美しく見えていました(下C・D画像)。あれっ?ガッサンディにも月面グーが!?…というより、暗闇から伸びる手が迫ってるように見えるでしょうか。ピタトゥスまでフレームに入れたら、ヘシオドス近くにあるヘシオドスAというConcentric Crater(二重クレーター)も写野に入ってました。更によく見たら、メルカトルとラムスデンの間のマース・クレーターもConcentricとしてぼんやり写ってました。前夜より良いと言っても冬のシーイングなのでドングリの背比べ。アーティファクト覚悟で少し強めの処理をしないとすっきりした画像が得られないのが残念です。

  • 20230303_虹の入り江

    C.虹の入り江付近
  • 20230303_湿りの海

    D.湿りの海付近


今日の太陽2023/03/04

20230304太陽
昨夕からしばらく晴れ間が続いたものの、夜半前には薄雲がかかり、今日未明は雲量3-6を行ったり来たり。朝からは回復し、昼過ぎまで快晴、その後また薄雲が出てきました。春特有の行きつ戻りつのお天気変化ですね。午前中、花粉光環はほとんど見えませんでした。

20230304太陽リム
左は10:10ごろの太陽。右リムの赤道を挟んで上下に明るいプラージュ発見。このうち北半球のものは幾度もフレアが出ている活動領域13234です。調べてみると、なんと今日未明2:52JSTをピークとするX2.0クラスフレアが発生してました(下A図/NOAAサイトから引用)。下B画像は直後にSDOがとらえた画像。うーむ、またしても日本では見えない未明から朝にかけての時間でした。

左やや上の黒点群は13242と採番されました。また昨日の朝は見えなかった左下リム近くの黒点周囲は13245になりました。北極域の高緯度プロミネンスもまだ見え続けています。天気が不安定になりつつも、明後日6日はもう啓蟄を迎えます。

  • 20230304X線フラックス

    A.3月3-4日のX線フラックス
  • 20230303_1755UT_SDO-A131

    B.4日2:55JSTのSDO-A131画像