何とかレナード彗星に会う2021/12/25

20211224レナード彗星(C/2021 A1)
天気悪化に追いつかれるかに思えた昨夕でしたが意外に持ち堪えてくれ、3日ぶりに夕空のレナード彗星(C/2021 A1)を拝むことができました。左画像は暗めに処理してありますが、実際は日没後50分も経っていない明るい空です。

当地では既に金星より高くなっている(…と言うより、金星が低くなってしまった)のですが、目標物の少ないやぎ座の南側「けんびきょう座」南緯30°付近を南下しており、まだ明るい空での手動導入がかなりキツくなりました。日没も徐々に遅くなってますから、彗星がそこそこ明るくてもほんの数分の差で取り逃がしてしまいます。

画像上が天頂方向で、中央の一番明るい天体が彗星。左やや上方向に向かう尾がかすかに写っていますが、淡い雲が覆い始めておりはっきりしません。画像に写っている恒星の最大等級が4.1等程度であることから、彗星は少なくとも1等ほど明るく感じます。20日のバースト後、一晩前までの2日間は4等後半の観測が多かったから、再々バーストでしょうか。このシーンを10コマほど撮影した直後から厚みのある雲が覆い始めてしまいました。

20211226レナード彗星(C/2021 A1)光度
右にCOBS観測データによるプロットを示します。緑丸塗りつぶしが眼視観測、白抜きがCCD測光。薄茶の光度曲線はバースト無しの元々の予報光度(吉田誠一氏の係数による)。また赤縦線は近日点通過日。 (※26日追記:12/26 4:40UTまでの報告データに基づく描画に差し替えました。)

日本では夕方明るいうちに沈む彗星ですが、もっと南、特に南半球では暗くなってから沈むまで2時間近く見える立派な肉眼彗星になっているようで羨ましい限り。でもまぁ去年のネオワイズ彗星(C/2020 F3)は最盛期に南半球で見えなかったわけですから、こればかりは時の運ですね。彗星も、人間も、一期一会。

今日の太陽2021/12/25

20211225太陽
昨夜から今朝にかけてまとまった雨が降りました。暖かかったからホワイトクリスマスにはならず…。今日は午前中から急速に回復し、透明度の悪い青空が広がっています。

20211225太陽リム
左は10:10頃の太陽。長いこと楽しませてくれた活動領域12907から12909までの行列が右下リムに近くなりました。まだプラージュが見えますが、今後4、5日かけて次々に消えてゆくでしょう。それに従いX線フラックスも弱まっているようです。左側の12916(南半球)と12918(北半球)は黒点が大きくなり、見栄えがしますね。12916の更に左側・リム近くにも小さな黒点が現れました。

プロミネンスも小規模ながらあちこち見えます。右下の長いダークフィラメントがそろそろ光球外に出てきそうですよ。年末にかけて楽しめそうですね。

20211225夕方の西空
【追記】
午後も穏やかな晴れ間が続いていると思っていたら、日没前にいきなりバラバラという雨音が。空を見ると怪しげな雲に覆われていました(左画像)。だいぶ局所的だったらしく、雨の範囲は狭くて、低空は晴れています。たぶん50kmも移動したらよく晴れ渡っていたのでしょう。