天体接近、選り取り。2019/06/17

20190617月と木星の接近
昨夕に登ってきた月は、前線通過後の透き通る空と満月直前の眩しさとが相まって、どなたも注目したことでしょう。おまけに、その傍らには月に負けじと輝く木星も一緒でした。こんなに人目に付く天体接近は他にありません。(※一番明るく輝く惑星は金星ですが、満月と接近することは絶対あり得ないですからね。)

木星は6月11日に衝を迎えたばかりで、光度の極大を迎えています。またお月様も今日17日夕方に衝を迎える、つまり「満月」になるので、やはり光度極大です。左画像の撮影は17日1:00ごろ。段階露光法を駆使して、明るい月、木星、木星の衛星、周囲の微光星まで写し撮ったもの。撮影時の月・木星間離角は約2.4°角でした。木星の両側にガリレオ衛星が全て見えており、右がエウロパ、左が木星に近い順にイオ、ガニメデ、カリスト。神々しい天体がふたつ並んだ様は本当に美しく、明け方まで空を飾っていました。ついつい何度も夜中に起きては空を見上げてしまいました。

20190617_17127月
日付が変わるころ南中した月の拡大撮影もしておきました(右画像)。太陽黄経差171.27°、撮影高度は約32.6°、月齢13.21です。残念ながら昼間の強風が夜もずっと続き、風速5m/s前後の風が望遠鏡を容赦なく揺らします。日が差している月面A地形(左端欠け際付近)を拡大しようと思っていましたが諦めました…。

この夜の秤動は南東(右下)が地球側を向いている計算で、リヨー(Lyot)・クレーター周囲のクレーター群が見えますね。このあたりはクレーターでありながら月の海のように暗く感じ、月創世の歴史上最も古い「先ネクタリス代(Pre-Nectarian Period)」の地質だろうと言われます。右端の「スミス海」や「縁の海」も良く見えていますよ。

20190616火星と水星の接近
さて5時間ほど遡りますが、実は昨夜もうひとつ接近現象がありました。16日夕刻の西空で、火星と水星が大接近しつつあったのです。少し雲がありましたが風は一時的に止んでいたので、これ幸いと望遠鏡を向けてみました。

なかなか暗くならない時期ですから導入に手間取り、撮影開始したときは既に超低空でした。左画像の明るい二星のうち、右上が水星、左下が火星。なんと火星より水星のほうが明るいのです。良く見ると画像中央から右下にかけて不自然な縞模様がありますが、写野に電線が入り込んで悪さしました。それほど低空だったと言うことですね。

撮影時の両惑星離角は約1.5°。前出の月・木星間よりずっと近いです。でもこの両惑星はあと二日かかって更に近くなり、18日夕方には17.7′角(=0.3°角)まで接近します。もし晴れていたら双眼鏡で探してみてください。よく晴れていれば肉眼でも見えますよ。接近現象は最接近時だけ見ても面白さ半減。できるだけ前後数日、接近過程を楽しんでくださいね。

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