金星と海王星が超接近 ― 2023/02/16
昨夕から今朝にかけて良く晴れ、宵空の金星と海王星の超接近(→2023年2月13日記事参照)や彗星の観察が滞りなくできました。
左は18時過ぎに撮影した金星と海王星(画像上が天の北方向)。これは昨年4月28日未明に起きた同惑星同士の接近に次ぐ近さです。撮影時の離角は約10.2′角で、ミザールとアルコルより近いですね。日本では沈んでしまった21:30JSTごろにはこの画像の1/10以下、42.8″角まで接近しました。惑星同士の接近としてはトップクラスの離角となりました。
薄暮が少し暗くなった時点ですでに高度15°程度の低空なのでシーイングは期待できませんから、拡大撮影するかどうか迷いました。でもやってみようと試み、何とか画像に納めることができました。両方とも大きさを持つ円板状に見え、宇宙の立体感を感じます。この瞬間はたまりませんねぇ…。
金星-3.92等、海王星7.83等ですから、等級差11.75等。つまり海王星に対する金星の明るさは50118.72倍。こんなに差があるとどうやってもどちらか一方は適性露出に写りません。スパイダー像の広がりを見ても、海王星に合わせると金星が激しく露出オーバーになるのが分かるでしょう。今回は直前に撮影した金星単体(右画像)を同一縮尺ににてスパイダー中心に埋め込んであります。悪シーイングによる像肥大もあり、その補正も別々のため、画像上では実際の大きさ比率(金星は海王星の5倍強)に見えていません。画面上でもゆらゆらでした。ただ、金星が真ん丸ではなく欠けているのは分かりました。金星は今後も月や木星、天王星に接近します。ぜひ観察してください。
なお、東日本で今宵(16日18時過ぎ)に金星や海王星、木星の集うエリアを見ているとスターリンク・トレイン(南下方向)が見える可能性があります。また西日本ではその1時間後に北上方向のスターリンク・トレインが見えるかも知れません。肉眼で見えるほど光っているか不明ですが、あまり期待せず「ながら見」でついでに観察してみましょう。
お次はアルデバランに接近中のZTF彗星(C/2022 E3)。ひと晩前より若干近いところを南下しています。左は20時過ぎの撮影。彗星基準のコンポジットで、彗星右上のオレンジ輝星がアルデバラン。ひとまわり広写野の画像は左下です。
宵のうちから気温がぐんぐん下降しており、透明度が高くなりました。おかげで彗星の尾も良く写っています。微かですがイオンテイルも分かりますね。(※明け方は久々のマイナス6度以下!どうりで寒いはずです。)そろそろこの彗星もひと回り小さくなったので、焦点距離長めの望遠鏡に移行時期でしょうか。
夜半は睡眠をとり、明け方ふたたび空に向き合います。対象は見たくても低すぎて見えなかったマックホルツ第1彗星(96P)。2023年2月2日記事で太陽観測衛星SOHOの写野を横切る姿を紹介しました。このあと明け方の超低空で長い尾を伸ばしていたらしいのですが、我が家から全く見えない高度でした。ようやく今朝チャンスが訪れたのです。
とは言え、低いことに変わりはなく、しかも航海薄明開始時でもまだ12°。高度十数度と言うのは我が家から東側の限界高度で、しかも屋根と電線群の隙間から観察・撮影しなくてはいけません。今回もまさに屋根から出てきたところを撮影し、薄明で空が飽和するまでわずか数分間の挑戦でした。
カラー撮影でしたが、バランス目茶苦茶であまりに見づらいため、左上画像は白黒反転してあります。画像中央の淡いシミが96P。やっと対面できました。長い尾はさすがにもう見えず、極く短い尾が右上方向に伸びているようです。今後少しずつ高くなるものの、それよりも早く減光してしまうでしょう。周期彗星として巡ってくる5年あまり後の2028年初夏にもSOHO写野を通過予定で、その後北上・周極星コースなので、暗くなる前に観察する余裕があるかも知れません。
左は18時過ぎに撮影した金星と海王星(画像上が天の北方向)。これは昨年4月28日未明に起きた同惑星同士の接近に次ぐ近さです。撮影時の離角は約10.2′角で、ミザールとアルコルより近いですね。日本では沈んでしまった21:30JSTごろにはこの画像の1/10以下、42.8″角まで接近しました。惑星同士の接近としてはトップクラスの離角となりました。
薄暮が少し暗くなった時点ですでに高度15°程度の低空なのでシーイングは期待できませんから、拡大撮影するかどうか迷いました。でもやってみようと試み、何とか画像に納めることができました。両方とも大きさを持つ円板状に見え、宇宙の立体感を感じます。この瞬間はたまりませんねぇ…。
金星-3.92等、海王星7.83等ですから、等級差11.75等。つまり海王星に対する金星の明るさは50118.72倍。こんなに差があるとどうやってもどちらか一方は適性露出に写りません。スパイダー像の広がりを見ても、海王星に合わせると金星が激しく露出オーバーになるのが分かるでしょう。今回は直前に撮影した金星単体(右画像)を同一縮尺ににてスパイダー中心に埋め込んであります。悪シーイングによる像肥大もあり、その補正も別々のため、画像上では実際の大きさ比率(金星は海王星の5倍強)に見えていません。画面上でもゆらゆらでした。ただ、金星が真ん丸ではなく欠けているのは分かりました。金星は今後も月や木星、天王星に接近します。ぜひ観察してください。
なお、東日本で今宵(16日18時過ぎ)に金星や海王星、木星の集うエリアを見ているとスターリンク・トレイン(南下方向)が見える可能性があります。また西日本ではその1時間後に北上方向のスターリンク・トレインが見えるかも知れません。肉眼で見えるほど光っているか不明ですが、あまり期待せず「ながら見」でついでに観察してみましょう。
お次はアルデバランに接近中のZTF彗星(C/2022 E3)。ひと晩前より若干近いところを南下しています。左は20時過ぎの撮影。彗星基準のコンポジットで、彗星右上のオレンジ輝星がアルデバラン。ひとまわり広写野の画像は左下です。
宵のうちから気温がぐんぐん下降しており、透明度が高くなりました。おかげで彗星の尾も良く写っています。微かですがイオンテイルも分かりますね。(※明け方は久々のマイナス6度以下!どうりで寒いはずです。)そろそろこの彗星もひと回り小さくなったので、焦点距離長めの望遠鏡に移行時期でしょうか。
夜半は睡眠をとり、明け方ふたたび空に向き合います。対象は見たくても低すぎて見えなかったマックホルツ第1彗星(96P)。2023年2月2日記事で太陽観測衛星SOHOの写野を横切る姿を紹介しました。このあと明け方の超低空で長い尾を伸ばしていたらしいのですが、我が家から全く見えない高度でした。ようやく今朝チャンスが訪れたのです。
とは言え、低いことに変わりはなく、しかも航海薄明開始時でもまだ12°。高度十数度と言うのは我が家から東側の限界高度で、しかも屋根と電線群の隙間から観察・撮影しなくてはいけません。今回もまさに屋根から出てきたところを撮影し、薄明で空が飽和するまでわずか数分間の挑戦でした。
カラー撮影でしたが、バランス目茶苦茶であまりに見づらいため、左上画像は白黒反転してあります。画像中央の淡いシミが96P。やっと対面できました。長い尾はさすがにもう見えず、極く短い尾が右上方向に伸びているようです。今後少しずつ高くなるものの、それよりも早く減光してしまうでしょう。周期彗星として巡ってくる5年あまり後の2028年初夏にもSOHO写野を通過予定で、その後北上・周極星コースなので、暗くなる前に観察する余裕があるかも知れません。