オリエンタレ・ベイスンが美しい2021/11/26

20211126オリエンタレ盆地付近
昨夜遅くに登った月は前夜より更に「オリエンタレ盆地」がよく見える秤動だったため、月が高くなるのを待ちわびました。ところが夜半前に雲の通過が始まり、しばらくの間雲量5割の微妙な空模様。きっと一時的なものだから大丈夫と信じ、機材を外気に慣らしつつ待ちました。

その甲斐あって今日未明、2時頃からは快星。ゆとりを持って月観察に臨むことができました。シーイングはかなりひどいものでしたが、前夜よりは幾分まし。盆地を含む狭い範囲を拡大撮影してみると、「東の海(Mare Orientale)」の中央を南北に横切る背の低い山脈(地球からは糸のように細く見える)まで写りました(左画像)。これ、なかなか見えないんですよね。(→NASA Moon Trekによる正面から見た位置はここ。

理屈上は朝ギリギリまで待ってできるだけ西寄りで撮影したほうが、日周秤動(観察者が日周することで生じる秤動変化)が大きくなり東の海が広く写ります。ただ、今は明け方のレナード彗星(C/2021 A1)も並行して観察しているため、望遠鏡時間を割くことができません。今月は28日明け方がオリエンタレ盆地観察のピーク(いちばん地球側へ傾く)ですから、晴れるなら一回くらい挑戦しようかと悩み中…。

20211126_24939月
月全体は右画像のようです。撮影時刻は26日2:40ごろ、太陽黄経差は約249.39°、撮影高度は約62.2°、月齢20.85。欠け際の様子が一番楽しいころでしょうか。直線壁も目立ってきました。そのすぐ右やや下に月面X地形が下弦の状態で見えています。明日はもっとはっきりするでしょうか、それとも影になってしまうでしょうか。

明日夜に下弦を迎えます。彗星など暗い天体を見たい方々はこれから本番、月を見たい方々はそろそろ見納め。私のようにあれもこれも見たい人間は大忙しの時期です。

時間はさかのぼりますが、24日18時前に、群馬県の小島正さんがやぎ座に13.0等の突発天体を発見したそうなので25日宵に撮影してみました。薄明終了前から撮影しないと低くなってしまうため、使える場所も視界も狭いアパート撮影ではとても苦労しました。光害の真っ只中に青白い星が写っており、少し増光したようです(下左画像)。

26日明け方にはレナード彗星(C/2021 A1)も撮影しました(下右画像)。尾がぐんぐん長くなっていることが分かります。月明かりを物ともしない彗星なので楽チンですが、月を撮影してたため彗星のスタック数不足で画像が荒れてます。本末転倒か、二兎を追う者ナントやらか…。計算上の尾の方向角(PA)が12月2日ごろから315°を超す、つまり天の北を上にすると右上45°になるため。そろそろ横長構図より縦長のほうが収まり良くなる時期。これから新月過ぎまでが勝負所でしょう。晴れ間を逃さず望遠鏡を向けてみてください。

  • TCP J20441708-2037591

    TCP J20441708-2037591
  • 20211126レナード彗星(C/2021 A1

    レナード彗星(C/2021 A1)


今日の太陽2021/11/26

20211126太陽
明け方の気温が高めだったせいか、今日はこの時期にしては暖かい一日になりました。おかげで(?)シーイングが悪いのなんの…。

20211126太陽リム
左は10:10頃の太陽。活動領域12898の黒点群は少しずつ育っているようです。反対に12897はほとんど見えなくなりました。光球内にずいぶん入り込んでる左下のプロミネンス、まだ外にはみ出ていますね。どれだけ大きいのでしょう…。左上の縦に細長く明るい領域も気になります。