2018年の台風20号が発生2018/08/19


20180819-0300気象衛星画像
台風19号が強い勢力で日本に接近していますが、後を追いかけるような台風が発生しました。これは昨日から「台風になるかも知れない熱帯低気圧」として気象庁が報道していたもので、昨夜18日21:00に台風20号「シマロン/CIMARON」になりました。直前の台風19号発生から2日と12時間後で、台風19号は活動中ですから現在ダブル台風となっています。

左は20号発生から6時間経過した19日3:00の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。夜間なので赤外波長による白黒画像です。赤点円は右下が20号、左上が19号で、各台風中心の直径1000km円を表しています。

台風20号は19号を追いかける予報ながら、次第に本州寄りへ遷移するようです。今朝の予報では本州から九州のどこかに上陸するコースで、23日から24日にかけて日本が19号と20号に挟み撃ちされる状況になりそうですね。日本のどこにいても影響がありそうですから、早めの、そして万全の対策をしておきましょう。

透明度のない空でジャコビニ・ツィナー彗星を観る2018/08/19

20180819ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)
昨夜から今朝にかけ、ごく薄い雲が空にかかっている星空でした。前夜に比べて明らかに透明度が落ちましたが、一応星座が結べるくらいは見えていましたので、ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)を観察しました。

前夜の写りが良かったので大写しで尾の細部を見るつもりでしたが、長さが半分程度だったのでガッカリ。これは時間が経って長さが変わったためではなく、光害の影響が強く出て、それを取り除くと尾まで消えてしまうという事だと思われます。つまり、尾の先端の光度が光害の明るさと同程度と言うことですね。

20180819ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)
前夜同様に180mm+APS-Cでも撮ってみました(右画像)が、星雲の写りが貧相過ぎて驚かされます。光害に埋もれてしまった状態から淡い星雲や彗星の尾だけを取り出すことはできません。都会での淡い天体撮影は「空の透明度頼み」なのです。

今朝方も16度まで冷え込み、前夜に無かった大規模な結露が発生しました。この影響もあったのでしょう。空気中の湿気が多ければ、例え雲が無くても街明かりが強く反射されるからです。良い空に巡り会いたいですが、こればかりは時の運。せめて無駄な街明かりを一灯でも減らそうと思います。


月と金星が同じ日に同じ形となるのは?2018/08/19

20180818月と金星
昨夕の日没後、ピンクに染まる雲から次第に色が抜けていくと共に月と金星が仲良く輝き始めました。月はちょうど上弦を迎え、ミカンの一房のような形をしています。実は金星も東方最大離角を迎えたため、望遠鏡で見ると半分光った形を見ることができたでしょう。

実際に撮影して形の一致を画像にしたかったのですが、左画像を撮影する頃から雲がどんどん濃くなり、拡大撮影はできませんでした。仕方がないのでStellariumによる19時のシミュレーションを右下に掲載しました。上方向が天の北で、金星は月に対して約30倍大きくしてあります。どうですか、このシンクロニシティ!

20180818月と金星
月も金星も地球の「お隣さん」で、厳密には相互に微少な重力の影響があるとは言え、月が上弦を迎えることと、金星が東方最大離角を迎えることとはほぼ無関係と言って良いでしょう。だから昨夕の両星が見かけ上同じ形となったことは「偶然の一致」なのです。

そこで気になったのが、「どれくらい稀なのか」ということ。さっそくプログラムを自作して、月と金星の『半月形』が同じ日となるタイミングを探してみました。結果が左下の表です。

【金星の最大離角と半月のタイミングが合う日】
日付金星の
最大離角方向
日付半月の
向き
1954年9月6日東方最大離角1954年9月5日上弦
1964年8月29日西方最大離角1964年8月30日下弦
1971年1月21日西方最大離角1971年1月20日下弦
1999年10月31日西方最大離角1999年10月31日下弦
2004年3月30日東方最大離角2004年3月29日上弦
2014年3月23日西方最大離角2014年3月24日下弦
2018年8月18日東方最大離角2018年8月18日上弦
2020年8月13日西方最大離角2020年8月12日下弦
2033年1月8日東方最大離角2033年1月8日上弦
2035年1月1日西方最大離角2035年1月1日下弦
2039年5月31日東方最大離角2039年5月31日上弦
2049年5月25日西方最大離角2049年5月24日下弦

  • 計算期間は1950年から2049年までの100年間です。
  • 前後一日のずれまで許容しました。
  • ピンク文字はJST(日本時間)の区切りにおいて日付が一致するケースです。
「夕空で上弦の月と東方最大離角の金星」と同様に、「明け方で下弦の月と西方最大離角の金星」も形や向きがほぼ一致しますので、併せて探しました。ただし日付が完全に一致するケースは少ないでしょうから、前後一日のズレまで許容範囲とします。また、日付区切りは時差によって変化するので、ここでは日本時間に統一しました。世界時や他国の時刻制度では日付が前後することがありますからご注意。

左表を見ると、今回の一致は1999年10月以来でした。それどころか夕空ならこの計算範囲で初めてのケースでした。一日違いなら2004年に起こっています。将来2030年台には比較的密に起こるようですね。月朔望も金星会合もはっきりした周期があるため、表の日付に何となく法則性がありそうな気もしますが、はっきりしません。

実際に観察してこその面白さなので、貴重な場面で曇られてしまったのは惜しかった…。今日も雲が厚くてダメそうです。一日違いですが、次回・2020年8月に期待するとしましょう。