3年ぶりの越境台風・17号「HECTOR」2018/08/14


20180814-0300気象衛星画像
ハワイの南海上を通り抜け、西進しながら12日夜までハリケーンだったHECTORは勢力を弱めてTropical Stormとなりました。そして本日3:00、いよいよ気象庁の監視する台風域(東経100-180度)に入り、台風17号の番号が付きました。名前は「ヘクター/HECTOR」を引き継ぎます。2015年台風17号(KILO)以来の「越境台風」となりました。同じ17号になったのは偶然です。

左上は14日3:00の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。夜間なので赤外線の白黒画像です。赤点円は左側から台風16号、15号、17号の順で、それぞれの中心から直径1000km円を示しています。なお14号「ヤギ/YAGI」は13日15:00に中国大陸内で熱帯低気圧へ変わりましたので、クアドラプル台風とはなりませんでした。2015年台風17号はだいぶ日本に接近しましたが、今回のHECTORは既に弱くなっているため、北西に進みつつ日本近海まで来ることなく、3日後あたりに熱帯低気圧になる見込みとのことです。

それにしても嵐たちは広く展開していますね。気象庁監視域の端から端まで分布してます。台風の他にも怪しそうな雲があるので、まだまだ気を抜けません。台風シーズンはもうしばらく続きます。

【参考資料:ハリケーンから越境して台風になったケース・1970-2017年調べ】
台風番号名称越境月越境前の
最大勢力
最小経度最大経度日本上陸
1972年台風28号RUBY11月HU155.5185.0
1987年台風17号PEKE9月HU169.2186.5
1992年台風02号EKEKA2月HU174.7205.7
1993年台風10号KEONI8月HU158.4216.0
1994年台風15号LI8月HU174.2234.8
1994年台風20号JOHN8月HU172.8262.9
1997年台風19号OLIWA9月HU129.6193.3上陸
1997年台風28号PAKA12月HU131.1194.8
1999年台風11号DORA8月HU168.4259.1
2002年台風17号ELE8月HU165.3202.4
2002年台風24号HUKO11月HU162.5206.2
2006年台風12号IOKE8月HU147.2212.1
2013年台風13号PEWA8月HU167.5192.7
2013年台風14号UNALA8月TS180.0220.4
2014年台風13号GENEVIEVE8月HU166.7238.6
2015年台風12号HALOLA7月TS129.1194.4上陸
2015年台風17号KILO9月HU147.2214.7

  • 自作プログラムにより日米ベストトラックでマッチングしながら調べました。
  • 「越境前の最大勢力」は、HUがハリケーン、TSがトロピカルストーム。
  • 最小経度は気象庁ベストトラック、最大経度はNATIONAL HURRICANE CENTERベストトラックによります。


貴重な晴れ間に流星群・彗星・超新星を観察2018/08/14

20180814流星観察
昼も夜も曇りがちの天気が続いていました。昨夕は日本各地を襲った雷雨が当地・茨城にもやって来ましたので夜も全く期待してなかったのですが、なんと夜半前からそれなりに良い天気となりました。かなり貴重な晴れ間なので、明け方までビッシリ天体観察しました。

まずいつ崩れても良いように、手っ取り早くカメラを組んで固定撮影でペルセウス座流星群を連写。といっても春先から入居が始まった目の前の新築アパートが一晩中明るいので(左画像右下)、露出を切り詰めなくてはいけません。元々街中ですから暗い流星は望めないのですが、ペルセ群は明るいものも多く、また月明かりもないため観察条件はそれなりに良いのです。

高感度&絞り開放で撮らなくてはいけない流星なので、数十秒も露出すると真っ白になります。10秒から15秒なら左上画像程度。夜空なのに黒文字で星座案内ができるほど明るいですね。でもまぁこの状態で1000枚ほどほったらかし撮影をしたら、群流星6個と散在流星1個(下B画像)、それにイリジウムフレア(下F画像/2コマ合成)が写ってくれました。眼視でも明るい群流星をふたつ捉えました。なお下画像は光害を抑えるため、全画像の比較暗画像を作り、元画像から減算しています。薄雲が絶えず流れている状況なので荒れた写真ですが、これが街中の現状ということでご了承ください。

  • 20180814ペルセ群流星

  • 20180814散在流星

  • 20180814ペルセ群流星

  • 20180814ペルセ群流星



  • 20180814ペルセ群流星

  • 20180814イリジウム衛星

  • 20180814ペルセ群流星

  • 20180814ペルセ群流星



20180814火星
流星を流し撮りしている間に、まず火星を観察しました。大接近後は8月2日と5日に見たっきりご無沙汰です。久しぶりに肉眼で見た火星は少し暗く感じました。雲のせいかも知れません。日付が14日に変わる前後に撮影できましたが、大気の揺らぎがかなり激しかったので細部は分かりませんでした。

20180814火星図
右図は撮影時刻のGuideによる火星図。ちょうど中央上に「蚊に刺された跡」のようなオリンポス火山が見えていますね。右下に太陽湖があるはずですが、まだ縁寄りのためかよく分かりません。南極冠ははっきり見えました。北極側も青白かったのですが、火星自身の影が左やや上寄りにかかっていますので、この画像では暗く潰れてしまってます。

火星は9月初旬まで視直径が20″以上あり、観察好期です。接近が終わったらイベント終了…ということではありませんので、目を向けてみてください。

さらに明け方までの2時間、彗星と超新星を撮影しました(下画像/全て天体用白黒カメラです)。このうち、ジョンソン周期彗星(48P)は初撮りでした。火星とあまり変わらない低空のため、写りがとても悪いです。12等台とのことですが、右やや下向きに淡い尾が認められます。いっぽうジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)は想像以上に尾が伸びており、画面からはみ出てしまいました。向こう1、2ヶ月が見頃です。晴れたらぜひどうぞ。

  • 20180814ジョンソン周期彗星(48P)

    ジョンソン周期彗星(48P)
  • 20180814ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)

    ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)
  • 20180814超新星

    ふたつの超新星


参考:
2018年火星の地球接近に関する記事(ブログ内)

今日の太陽2018/08/14

20180814太陽
朝のうち少し雲がありましたが、昼までに良い天気となりました。ただ風が強くなり、昼からは5m/sを越えるようになりました。

20180814太陽リム
左は14時頃の太陽。活動領域はありませんが、左やや下に明るく見える領域があります。黒点があるように見えますが、今日午後時点ではまた採番されてないようです。右上および左端やや上にやや大きいプロミネンスが見えました。左のものは、まるで煙突からたなびく煙のようです。

二日前に太陽近傍を直接探査する「パーカー・ソーラー・プローブ」が打ち上げられました。どんな結果をもたらすのか、興味津々です。

夕空のハロ、月、金星2018/08/14

20180814夕方の西空
18時頃ベランダから天気を確認すると、上空に薄い雲がベタッと貼り付いています。今夕は細い月と金星の接近が見えるはずですが、果たして…。

西空に低くなった太陽の方向にはたくさんの入道雲や金床雲が連なっていました。今日もどこかでゲリラ豪雨でしょうか。

20180814細い幻日
ふと、ひとつの金床雲のてっぺんが細くキラキラしているのに気がつきました(右画像)。よくよく観察すると…それは太陽右側の幻日でした。以前も積乱雲の周囲に彩雲や幻日を見たことがありますが、「この雲は氷でできているんだなぁ」とあらためて納得させられます。

20180814薄明光線
日が沈んだあとも太陽光線が入道雲の隙間から差し込むのが見えました。夕日色の薄明光線がくっきりとした筋を作り、別の金床雲を下から照らしています。ふつう金床雲が下から照らされることはないので、こういった光景は貴重ですね。もちろん、稲光もたくさん見えました。

上空を覆っていた薄い雲はいつの間にか消え(光が差さなくなって見えないだけかも知れない)、三日月と金星が並んで輝き始めました。両星とも日没前から見えてはいたのですが、周囲が薄暗くなるときが一番映えますねぇ…。

今夕の月と金星は7°弱離れています。明日は月が移動し、今日より少し離れてしまうでしょう。約1ヶ月後の9月12日夕方もまた並びますが、金星は今週18日に東方最大離角を迎えますので、以降は太陽に近づくように高度が急激に下がってしまいます。つまり、今夕は今期一番美しい並びというわけですね(たぶん)。

  • 20180814日没後の西空
  • 20180814月と金星