日出最早・日没最遅を作るアナレンマ2017/06/29

★ブログ内で「日の出・日の入り」や「暦」をテーマに取り上げた関連記事・アーカイブは別ページにリストアップしています。日出没時刻やその最早最遅日は年や場所で変化しますから、記事日付をよく確認の上ご覧ください。

2017年日没最遅マップ
今日までに北海道から本州のほとんどの地域で「2017年の日没が最も遅い日」を迎えました。明日には九州、そして7月5日までに日本最南端に達し、以降は冬に向かって日没がだんだん早くなります。左図は2017年6月24日の記事にも掲載した「2017年・日没最遅日マップ」。紫線が日没最遅日の境界、ライトグレイの格子線は2°ごとの経緯線です。

2017年で日の出が最も早い「日出最早日」は6月上旬でした(→関連記事)。日出最早日と日没最遅日は夏至をはさんだ時期になっていますが、夏至の日そのものではありませんし、日出最早日と日没最遅日が一致することもありません。なぜこんなことになるのか、シミュレーション図から考えてみましょう。

記事下のA図とB図は、それぞれ2017年5月下旬から7月中旬の日出/日没の太陽位置変化を約5日おきに描いたもの(ステラナビゲーター使用)。Aは夏の日の出なので東北東の空(左が北)、Bは日の入りなので西北西の空(右が北)です。クリーム色の太陽は、同じ日付のオレンジ色の位置から登り(A図)、同じ日付のオレンジ色の位置へ沈みます(B図)。夏至近くの太陽はもっとも北寄りに登り、もっとも北寄りに沈むことが知られていますが、確かに両図とも6月20日の太陽がいちばん北寄りになってますね。(※もちろん1日ごとに詳しく描くと、今年は6月20日ではなく21日になります。)

ややこしいのは「この図で何がどうなると日出最早/日没最遅なのか」というところ。でもちょっと考えれば「空を移動する経路が長いほど時間がかかる」ということは分かると思います。B図で考えてみましょう。一見、6月20日の18:40位置から日没位置までがもっとも長く見えるため、「この日は18:40から日没までにかかる時間が最も長い」と考えてしまいそう…。でもちょっと待って。18:40の位置は6月25日や30日のほうが高高度ですね。経路は方位だけでなく高度も関係するので、「もっとも北寄りが経路もいちばん長いとは限らない」のです。

太陽の位置変化(つくば市)
詳しく計算すると日本では夏至より1週から2週後になるよ、というわけ。A図のほうも同様に考えることができますが、こちらは夏至の1、2週前に高度のピークがありそうですね。

これもひとえに「時刻を固定したときの太陽位置が複雑な曲線を描く」というのが大きな要因でしょう。A図では4:40、B図では18:40の太陽位置を描いていますが、これは何時何分であってもこのような曲線となります。

当ブログを熱心にお読みになっている方は6月21日夏至の記事を思い出したかも知れません。右に一部を掲載しましたが、この図にあるオレンジ曲線こそ正に下図の太陽位置変化に一致し、最早最遅を作り出しているのです。この曲線は「アナレンマ」と呼ばれ、生活で出くわす様々な状況がここに集約されているのです。(※例として茨城県つくば市を挙げましたが、国内全てで同様に考えることができます。)

  • 2017年日出最早

    (A)2017年夏至前後の日の出
  • 2017年日没最遅

    (B)2017年夏至前後の日の入り


参考:
2017年で最も日の出が遅いシーズンが来てます(2017/01/06) ……日出最遅での同様な図があります
冬の日没と太陽の位置変化(2016/12/10) ……日没最早での同様な図があります

コメント

トラックバック