土星の衝効果を色別に比較してみる ― 2015/05/25
昨夜は少し雲があったのですが、衝になって間もない土星が気になっていたので、撮影を試みました。目で見えないくらいの薄雲の通過があったものの、そこそこ落ち着いた土星を見ることができました。
左は2時直前の土星です。衝の時刻を23日11時とすると39時間ほど過ぎましたね。それでもまだ衝効果が感じられると思いますがいかがでしょうか。少なくとも衝の日プラスマイナス1日程度は衝効果が持続するようです。何日くらいで薄れるのか気になります。(→後述の追記参照。)
さて、実は光の色別(波長別)に衝効果を比べたらどうなるんだろうと気になっていました。最近の私の惑星撮影はRGBフィルターで撮り分け、後で3色カラー合成しています。そこで、土星画像を元々のRGB別々に比較してみることにしました。5月23日の衝10時間前に撮った画像はボケがひどいため、今日5月25日の画像を使いました。比較対象は1ヶ月余り前の4月19日に撮った画像です。
RGBそれぞれ並べてみたのが右画像です。各色チャンネルごとモノクロのまま、土星本体の明るさが極力揃うようにしています。撮影条件や気象条件が違うため、厳密な比較ではなく趣味レベルでご覧ください。
自分の目には赤より緑、緑より青という具合に波長が短くなるほど環が明るくなっている感じがします。どんな理由があるのか興味がそそられますね。赤外線リモコンが多少の物体に遮られても作動するように、長い波長(赤側)ほど障害物での散乱が起き難く通過してしまう性質があります。逆に言うと光源側(=衝の時は地球方向)に跳ね返ってくるのは短い波長(青側)ほど顕著、という解釈になるのでしょうか。普段は黄色や黄土色に感じる環が衝効果で白っぽく変化するのも、青系の色成分がプラスされるからという理由であれば理屈に合いそうで納得できます。
衝効果の単発の観測例は時々拝見しますが、前後1ヶ月くらい網羅している長期的な観測実例を見たことがありません。論文などあれば読んでみたいので、ご存じの方はぜひご一報ください。
(追記)こちらの記事によれば、位相角が1度内になると衝効果が顕著になるらしいです。もちろんデジタル的に切り替わるのではなく滑らかに推移すると思いますが、この1度というのは観察のひとつの目安になりそうですね。ということで、今年の衝について土星の位相角を計算しました。衝前後40日、合計81日の位相角(日本時間0時)をグラフにしたのが左図です。今回は衝からの日差が約10日未満であれば1度より小さいようです。また衝の当日でも0.2度余りの位相がありました。(注:ここでの位相角とは地球中心−土星中心−太陽中心のなす角度です。)
参考:
記事:衝を迎える土星と衝効果のおはなし(2015/5/19)
記事:土星の衝タイム(2015/5/23・衝当日の観察)
アーカイブ:惑星カレンダー(1980-2039年の各惑星の衝や合などを掲載)
左は2時直前の土星です。衝の時刻を23日11時とすると39時間ほど過ぎましたね。それでもまだ衝効果が感じられると思いますがいかがでしょうか。少なくとも衝の日プラスマイナス1日程度は衝効果が持続するようです。何日くらいで薄れるのか気になります。(→後述の追記参照。)
さて、実は光の色別(波長別)に衝効果を比べたらどうなるんだろうと気になっていました。最近の私の惑星撮影はRGBフィルターで撮り分け、後で3色カラー合成しています。そこで、土星画像を元々のRGB別々に比較してみることにしました。5月23日の衝10時間前に撮った画像はボケがひどいため、今日5月25日の画像を使いました。比較対象は1ヶ月余り前の4月19日に撮った画像です。
RGBそれぞれ並べてみたのが右画像です。各色チャンネルごとモノクロのまま、土星本体の明るさが極力揃うようにしています。撮影条件や気象条件が違うため、厳密な比較ではなく趣味レベルでご覧ください。
自分の目には赤より緑、緑より青という具合に波長が短くなるほど環が明るくなっている感じがします。どんな理由があるのか興味がそそられますね。赤外線リモコンが多少の物体に遮られても作動するように、長い波長(赤側)ほど障害物での散乱が起き難く通過してしまう性質があります。逆に言うと光源側(=衝の時は地球方向)に跳ね返ってくるのは短い波長(青側)ほど顕著、という解釈になるのでしょうか。普段は黄色や黄土色に感じる環が衝効果で白っぽく変化するのも、青系の色成分がプラスされるからという理由であれば理屈に合いそうで納得できます。
衝効果の単発の観測例は時々拝見しますが、前後1ヶ月くらい網羅している長期的な観測実例を見たことがありません。論文などあれば読んでみたいので、ご存じの方はぜひご一報ください。
(追記)こちらの記事によれば、位相角が1度内になると衝効果が顕著になるらしいです。もちろんデジタル的に切り替わるのではなく滑らかに推移すると思いますが、この1度というのは観察のひとつの目安になりそうですね。ということで、今年の衝について土星の位相角を計算しました。衝前後40日、合計81日の位相角(日本時間0時)をグラフにしたのが左図です。今回は衝からの日差が約10日未満であれば1度より小さいようです。また衝の当日でも0.2度余りの位相がありました。(注:ここでの位相角とは地球中心−土星中心−太陽中心のなす角度です。)
参考:
記事:衝を迎える土星と衝効果のおはなし(2015/5/19)
記事:土星の衝タイム(2015/5/23・衝当日の観察)
アーカイブ:惑星カレンダー(1980-2039年の各惑星の衝や合などを掲載)