安定したシーイングの夜でした2023/07/29

20230728_12077月
昨夕から今朝にかけ、少し雲があったものの良いシーイングに恵まれました。宵空の月はさすがに低くて揺らめいていましたが、それでも冬の揺らぎとは比較にならないほど安定していました。

左画像は28日19:50頃の撮影で、太陽黄経差は約120.77°、撮影高度は約28.72°、月齢は10.68。虹の入り江が朝を迎え、欠け際にはフィロラオス、J.ハーシェル、ハインツェル、ミー、シャイナー、ブランカヌスなどが顔を見せ始めました。いくつか興味がそそられた場所を抜き出して撮影したので、下A−D画像をご覧ください。

A:おなじみ、虹の入り江です。月乙女が良く見えていますね。入り江内の平坦な地形と入り江を囲むゴツゴツした地形が対照的。雨の海側にのびる尾根も見事です。

B:虹の入り江から南に下ると、オイラーやランベルト(ランバート)が見えてきます。明暗境界に沿って明るく光る二つの点を発見。ドリルとディオファントスのふたつのクレーターに平行している並びです。これはアリスタルコスの北東にあるハービンジャー山脈の一部と思われます。画像上端に月乙女の顔、下端には月面Nが写ってます。

C:Yの字が重なったようなリフェウス山脈の西に広がるリッジが素晴らしい。山脈の西に直線壁を極小にしたような地形が見えますが、名前は無いようです。画像下側中央に月世界への招待で紹介されていた「ヘルメットのアヒルの親子」が見えていました。親アヒルは見えるんですが、子どもたちのほうはあまり鳥っぽくないような…?修業が足りませぬ…むむむ。

D:三本足のタコのようなカプアヌス。画像左上には熊の爪痕のようなヒッパルス谷。画像下端のロンゴモンタヌス近くには明るくなってしまった月面ス地形が何となく辿れるでしょう。右端やや上にRay現象でおなじみのヘシオドスとピタトスがあり、ヘシオドス左下にくっつくようにヘシオドスAというConcentric Craterが見えます。この画像内にはもうひとつ、カプアヌスの北の足を延長したところにも極小のConcentric Craterであるマースもあって、分解能のテストにちょうど良いですね。ところでこの画像で一番心惹かれたのは左側中央、明暗境界上の複数光点で描かれた「横向きVの字」でした。

  • 20230728_虹の入り江

    A.
  • 20230728_オイラー_ランベルト

    B.
  • 20230728_リフェウス山脈

    C.
  • 20230729_カプアヌス

    D.


20230729木星
夜半を過ぎてからは再度チャンドラヤーン3号の撮影にチャレンジ。これはまだ処理できていませんので、写っていたら別記事に掲載予定です。(※追記:こちらの記事で公開しました。)

続けて木星を観察。明け方のシーイングは極めて高くなり、時おり大きく揺らぐことを除けば年に一度あるかないかというくらい安定しました。木星高度が高くなったせいもあるのでしょう。おかげで細かな模様まで描写できました。衝でもないのに20cmでここまで写れば御の字です。

今期の木星はEZからNEBにかけて活発で面白いですね。自転のたびに違う表情を見せてくれます。

今日の太陽2023/07/29

20230729太陽
今日も朝から快晴です。蛇口をひねるとお風呂並の温水が出てくる不思議。気象庁アメダス速報値の本日0時から15時までの集計による夏日地点数は909、真夏日地点数は847、猛暑日地点数は214、酷暑日地点数は0。真夏日地点数は自己ベスト(ワースト?)更新です。多すぎる…。

20230729太陽リム
左は13:20ごろの太陽。夜に続いてシーイングが良好です。活動領域13380が中央子午線に達しました。右半球の活動領域は急速に減り、左半球は急速に増えていますね。ダークフィラメントが減ってしまった感じ?端に私の望遠鏡で写らないだけなら良いのですが…。

【追記】
日没直後にベランダへ出てみると、南に輝く月の上下の空が見事なツートンカラーになっていました(下A画像)。これは反薄明光線と薄明光線とが織りなす風景。背の高い入道雲が出やすい夏に見えることが多く、太陽が沈んだ方向に必ず入道雲が出ているはずです(下B画像)。雲が見当たらないときでも地平下に隠れている場合もあります。ビーナスベルトではありませんのでお間違えなく。月周囲の空を二色に染めていたのは、B画像の左側低空に伸びる光線。暗い空のほうは入道雲の影なんですね。これ以外にも二本ほどはっきりした光線が見えました。夏真っ盛りですねぇ…。

  • 20230729夕方の反薄明光線

    A.
  • 20230729夕方の反薄明光線

    B.


チャンドラヤーン3号の検出・二夜目2023/07/29

20230729-0100チャンドラヤーン3号
7月26日未明のチャンドラヤーン3号撮影チャレンジに続いて、29日未明にも行いましたので掲載しておきます。26日の体験から明るさや写り具合などがだいたい分かったので、それを踏まえて設定を少し変えました。実は29日未明は遠地点通過直後であり、移動量が26日の1/3程度で済むため好都合なのでした。

今回は1:00から30分おきに2:30まで四回撮影を計画。穏やかに晴れたのでいずれも順調に進みました。左画像は29日1:00の画像です。移動が少ないためトリミングも前回の半分で済み、当然探査機のブレもかなり小さくなりました。ただ不可解だったのは予報位置よりも5分から7分程度先行して進んでいたことです。当然ながら月を目指すため少しずつドリフトさせて調整しているのでしょうが、予報位置に反映されていないのは些か不親切ですね。まぁ、大幅にずれて写野外になってしまった…などと言うことが無かったので結果オーライです。今後7月31日未明にも遠地点通過後のラストチャンスがありますが、どうするかまだ未定。

その次のシーケンスは月へ向かうことですが、準備は順調に進んでいるのでしょうか?向かう道中や月周回中に撮影できるか疑問ですが、位置予報が公開されるならチャレンジしてみたいです。(→参考:アルテミス1・オリオン宇宙船の検出例:その1その2その3

  • 20230729-0130チャンドラヤーン3号

    A.29日1:30
  • 20230729-0200チャンドラヤーン3号

    B.29日2:00
  • 20230729-0230チャンドラヤーン3号

    C.29日2:30