穏やかな宵空で月惑星観察2023/02/28

20230227金星と木星
昨夜もよく晴れたので、近づきつつある金星と木星を観察。その後に機材調整がてら月を堪能しました。

金星と木星は2.87°まで接近(左画像)。輝度差が大きすぎた金星と海王星との接近に対して、実にバランスが良い!これでもか、というくらい「優美なる一双」を見せつけてくれます。肝心な最接近日は少なくとも関東の天気が思わしくないため気掛かりなのですが、それでも直前日までは楽しめそうです。

接近日を過ぎても急に離れることはありません。小型双眼鏡で同一視野に収まらなくなる3月10日ごろまでは追いかけてみましょう。宵の低空の木星やガリレオ衛星がどこまで見えるのか、というテーマも面白いですよ。

20230227_09127月
月は27日17時過ぎに上弦を迎えました。右は19:50ごろの撮影で、太陽黄経差は約91.27°、撮影高度は約60.51°、月齢7.15。シーイングがやや悪く、細部が見づらい状態でした。経度秤動がプラスに大きい時期なので、月面X&LOVE地形は上弦よりも遅くなります。今回は月が沈む時間前後のタイミングで見えませんでした。28日宵の月では、すっかり明るくなった各地形を辿れることでしょう。

月撮影・観察のスペシャリストである東田守生さんが最近リニューアルされたサイト「月世界への招待」の観察日記で「バレンタイン・ドーム」(Lunar100・No.89)を紹介しておられました。晴れの海にあるので見やすいと思いきや、標高が低いためタイミングを合わせないと全く見えない地形です。計算してみると昨夕のバレンタイン・ドームにおける太陽標高は3°から4°辺りだったのでちょうど良いと思い、晴れの海ごと撮影してみました(下A画像)。画像左側、コーカサス山脈が南に途切れるすぐ右にしっかり写っていますね。焼いてる途中のもんじゃ焼きかホットケーキと言った感じで、泡のように見える小クレーターが何ともリアル…。ひと晩前は強風のためラモントを撮り逃がしてしまったけれど、これで雪辱を晴らす(?)ことができました。

やや暗めに感じたので、やはり低標高地形は5°程度の太陽高度が必要そうです。次回、下弦側は3月13日明け方(太陽高度10°前後)、上弦側は3月29日宵(太陽高度9°前後)です。今回よりは明るいでしょうが、その反面凸凹感が減ってしまいます。過去写真を見る限り十数度までは確認できてますから、全く見えないということは無いでしょう。ということは見栄えの善し悪しを問わなければ上弦・下弦毎に必ず確認できると言うことです。東西方向に傾斜している地形では上弦側と下弦側とで条件が変わるかも知れません。注意深く観察してみましょう。

もうひとつ、スミス海の奥にあるヒラヤマ・クレーターも見ごろだったので撮影してみました(下B・C画像/縁の海やスミス海を上向きにしています)。これも本当はひと晩前のほうが条件良かったけれど強風で断念。昨宵に撮影したところ、なんとかギリギリ見えてる感じでした。悪シーイングのため強めのデコンボリューションが必要で、どうしてもクレーターやリムにリンギングが出てしまいます。そこまでしても締まりのない画像で情けない…。およそ一ヶ月前の1月28日夜に確認したときのほうがよく見えていました。下C画像は日本語名であるナオノブ・クレーターも一緒に入るようトリミングしました。

  • 20230227_晴れの海

    A.晴れの海
  • 20230227スミス海

    B.月面東部
  • 20230227ヒラヤマ

    C.ヒラヤマとナオノブ


今日の太陽2023/02/28

20230228太陽
昨夜から今朝は快晴、朝からもよく晴れています。昼には気温が16度を越えて勘違いした桜が咲きそうなほどでしたが、風も強まって風速9m/sに達しました。これが続けば夜の天体観察に支障をきたします。

20230228太陽リム
左は10時ごろの太陽。ちら見してすぐ左下と右やや下のプロミネンスが目に留まり「なんじゃこりゃあー」(松田優作風)でした。大きい…かなり大きいです。また北半球にちょこちょこ出てるものも決して小さくありません。いきなりこれですから太陽観察はやめられませんねぇ。黒点は北半球の13234以外小さなものばかりになってしまいましたが、昨日から見えていた左上のもの(13238と採番)に続いて、そのすぐ上、リム近くにプラージュが見えているところにやや大きい黒点が現れました。期待しましょう。

20230228花粉光環
今日ははっきり確認できるスギ花粉光環が出ていました。今期ようやく一枚目です。晩冬になってこの光環自体はほぼ毎日出ていましたが、写真に写るほど明瞭な日は今のところ少なかったので油断しました。当地はこれからしばらく悩まされそうです。