地球接近直前のタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星2017/03/31

20170331タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)
3月の終わりに天気が崩れる方向へ向かっていますが、昨夜から今朝3時前までは何とか持ちこたえてくれました。薄雲がありましたが前夜よりは影響が少ない様なので、タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)の撮影を強行しました。

左は1:13頃から1分露出×32枚を彗星位置基準でコンポジット、上方向が天の北方向、上下画角は約0.7°です。淡い雲の影響でいつもよりカブリが出ました。相変わらず緑色のコマが月の半径以上も広がっていますね。25日の撮影では彗星核から下方(=南方向)やや左向きに尾のようなものが見えましたが、今回は下方やや右向きに変わっています。また核が細長く写りました。赤緯方向のガイドエラーが出ているようですが、それだけでは説明が付かない量です。尾の向きに一致して伸びていますので、明るいジェットの影響と思われます。一通り撮影が終わった段階で完全に曇られました。

タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星が地球にもっとも近くなるのは明日4月1日頃。つまり見かけの移動速度が今一番速いわけです。目立ちませんが尾の向きも日に日に変わり、1週間後には南西向き(右下向き)になるでしょう。また太陽に最も近づくのは4月13日頃。この中間である4月9日前後が計算上明るさのピークとなります。残念ながら4日に上弦、11日に満月なので、月明かりが影響しない上弦の頃までが観察好機でしょう。

参考:
タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)に関係する記事(ブログ内)

カンバルニー山の噴火2017/03/31


20170325カンバルニー山の噴煙
約1週間前の24日、ロシアのカムチャッカ半島最南端にあるカンバルニー山(→GoogleMap位置)で大きな噴火がありました。ニュースになっていたのでご存じの方も多いでしょう。カンバルニー山は標高2156mの火山で、2014年9月に噴火した御嶽山(標高3067m)よりは小柄ですが、シュッとした姿は富士山を彷彿とさせます。海岸まで最短25km程度しかない高山というのも富士山に近い状況(駿河湾まで25km)かも知れません。放射性同位体による測定では前回の噴火が1350年頃とのことなので、これが本当なら約667年ぶりの大噴火です。

左にNASA Earth Observatoryサイトで紹介された地球観測衛星Terraからの画像を引用しました。翌日25日10時半頃に撮影されたものですが、噴き上げる噴煙がおどろおどろしい姿ですね。元記事に記載されていますが、高濃度のSO2(二酸化硫黄/火山が発する腐敗卵のような刺激臭のガス)が翌26日には秋田県や岩手県と同緯度まで流れていました。幸い南下しただけで大きく西進はしていないようなので、いまのところ日本への影響は聞いていません。

20170325カンバルニー山の噴煙
この位置なら気象衛星ひまわりも撮っているだろうと思い、24日から今日31日までの可視画像を調べました。24日の画像では全く分からず、25日の画像ではほぼ日中いっぱい確認できました。その後29日までは雲が多く特定できません。30、31日では噴煙は見えないものの、雪で覆われているはずの半島最南端が火山灰で黒ずんでいるように見えます。(※雲があるせいかも知れません。)

右上に25日10時から15時(JST)まで、1時間おきの気象衛星によるトリミング画像を掲載します(画像元:NICTサイエンスクラウド)。噴煙がぐんぐん発達していますね。15時時点の到達距離を測ってみたら、南西方向に少なくとも275km伸びていました。

20150325-0900天気図
人工衛星による観測では、噴煙の高さ6000m、到達長は830kmに及んだとのこと。噴煙が伸びる直接の原動力かは分かりませんが、カムチャッカ半島東沖に強い低気圧があり、火山付近では強めの北風が吹いていたと思われます。左に気象庁サイトからの引用で25日9:00JSTの地上天気図(着色・文字記入は筆者)を掲載しておきます。(高い噴煙だと高層気象まで調べなければダメでしょうね。)東北・北海道にお住まいの方は朝焼けの色合いなど調べてみると良いかも知れません。日本から遠くない位置でこんな大噴火があったことに驚かされました。