三彗星の盛衰2017/03/05

20170305タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)
昨夜から今朝にかけて透明度がやや悪かったものの、一晩中晴れてくれました。夜半近くまでは月が残っていましたが、ちょうど夜半から明け方にかけて話題の彗星たちが次々と空高くを通過します。満月期になる前に一網打尽にしてみました。

撮影順に、まずはしし座にいるタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P/左画像)。0時少し前、月没直後から日をまたぐ露出です。ぱっと見た目には2月28日撮影の画像とあまり変わりませんが、天頂近くで撮ったせいか無理な画像処理をしなくてもコントラストの良い像になりました。相変わらず尾は見えませんが移動は速くなってきました。

20170305本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)
続いて本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P/右画像)に望遠鏡を向けました。タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星とは17°くらいしか離れていませんが、星座はお隣の「こじし座」の領域。こちらは2月26日撮影の画像よりも更に暗くなってしまい、カメラの液晶ファインダーではほぼ見えませんでした。他の二彗星より暗く、今後は完全に玄人向けですね。まだ尾が長いだろうかと思い少し左に寄せて撮影しましたが無駄足でした。緑色のコマもごく僅かです。

時間をおいて、明け方4時台に天頂近くを通るジョンソン彗星(C/2015 V2/下左画像)も撮影。彗星は順調に明るくなっており、もう緑色のコマもよく分かるようになりました。尾はまだ短いけれど本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星よりはっきりしていて、よく見ると北側(上側)へカーブしています。すぐ近くにある恒星τHer(3.9等)が明るすぎて、光害カットフィルターによるドーナツ状のゴーストが派手に出てしまいました。

撮影は全て30分露出、彗星位置基準のコンポジット、上方向が天の北方向、上下画角は約0.7°。ジョンソン彗星が昇るのを待つ間に同光学系で撮影したM101(回転花火銀河/下右画像)もおまけで掲載します。(※M101には2016年1月中旬にカタリナ彗星(C/2013US10)が接近しています。銀河の大きさを基準に今回の三つの彗星とカタリナ彗星を比較すると、いかにカタリナ彗星が大きかったか分かります。)

蛇足ながら夕空のエンケ彗星(2P)は航海薄暮終了時点で高度5°以下なので、事実上もう見えなくなりました。今後明るい姿で見えることはなく、また1回帰後(3.3年後)の観察条件もずっと低空です。次に明るい姿が拝めるのは2回帰後になりそうです。

  • 20170305ジョンソン彗星(C/2015 V2)
  • 20170305_M101

参考:
タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)に関係する記事(ブログ内)
本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)に関係する記事(ブログ内)
ジョンソン彗星(C/2015V2)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2017/03/05

20170305太陽
昨夜から今朝にかけてよく晴れていましたが、天気は西日本から下り坂の様子。今日もいつまで持つか分からないと思っていたら、もう午前中から雲が増えてきました。

20170305太陽リム
左は10:40頃の太陽。薄雲越しです。中央上右寄りの活動領域12641と12642は確認できますが、大きな黒点がある訳でもなく分かり辛いです。プロミネンスはほとんど出ていません。地球が氷河期のときの太陽ってこんな感じなのでしょうか?

このあと午後早くから太陽も見えない程曇ってしまいました。今夜の月面Xや明日の太陽観察は難しそうです…。