2017年年始の月や惑星の接近を見よう2016/12/27

ご注意
月と金星の接近などはこれまで何百、何千回も起こってますから、検索で調べるときは必ず年月日を検索条件に加え、できるだけ日付を絞りましょう。天文現象を調べる上での鉄則です。


当日の観察記事も併せてご覧ください。

2016年がまもなく終わろうとしています。年末年始くらいゆっくりしたいものですが、なかなかそうも行かないという方も多いでしょう。2017年年始の三ヶ日には惑星や月が見かけ上で接近する現象が立て続けに起こります。時間があって望遠鏡やカメラを向けられるみなさんはもちろん、時間がないみなさんも目でチラ見するだけでいいから、空を見上げてくださいね。以下、順に説明します。(星図はStellariumとステラナビゲーターによります。)

【2016−2018年に起こる惑星同士の超接近】
日付時刻天体1天体2離角
2016年1月9日(土)13:15金星土星5.0'
2016年8月28日(日)7:31金星木星4.0'
2017年1月1日(日)15:53火星海王星1.13'
2017年4月28日(金)21:18水星天王星5.6'
2017年9月17日(日)3:43水星火星3.3'
2018年3月29日(木)9:50金星天王星4.1'
2018年12月7日(金)23:08火星海王星2.14'
★火星と海王星の超接近
いきなり元旦にクライマックスです。超接近とは当ブログだけの表現ですが、「望遠鏡で惑星表面が見えるほどの拡大率でも二つの天体が一緒に見える」ほどの接近のこと。離角が概ね1°の10分の1以下とお考えください。2015年12月26日の記事に掲載した表を右に再掲載しますが、今回の火星と海王星の超接近は数年間でトップ。アーカイブ:天体の接近現象一覧(惑星ペア・トップ200)を見ても、ここ50年で9番目に近いハイパーな接近です。多くのみなさんにとって「一生で一番近い惑星接近」になることでしょう。

もっとも近いのは2017年1月1日15:53で、離角は1.13′。「1′」とは1°の60分の1ですが、なかなか実感できません。1.7m先にシャープペンシルの0.5mm芯を置いたときの幅、と言うと分かりやすいでしょうか。最接近時は昼間なので海王星は見えませんが、嬉しいことに日没直前ですから、さほど離れないまま夜を迎えます。

20170101火星と海王星の超接近
この接近を楽しむには望遠鏡が不可欠。接近しすぎてるというのもありますが、そもそも海王星は肉眼で見えません。逆に言うと、ふだん滅多に目にしない海王星を見るチャンスでもありますよ。火星は現在金星の左上方にいて、薄暗くなれば誰でも見つけられるでしょう。各地とも薄明終了時点で火星高度が30°以上あると思いますので大丈夫。右図は最接近時ではありませんが、少し暗くなった17:30のシミュレーション。離角は3′ほどです。最接近時はこの3分の1ですよ。なるべく早く見ましょうね。

写真を撮る実力のある方にアドバイスは不要でしょうが、もし不慣れな方がいらっしゃったら、次の事に注意しましょう。前日までにやれることをやっておくのが鉄則ですが…大晦日なんですよね…。

  • 火星と海王星とは大きな輝度差があります。両星まとめて適正な撮影条件はありません。撮影には工夫が必要。
  • 暗くなると高度が下がり、また両星が離れてしまいます。なるべく早い時間の撮影が良いでしょう。
  • 前もって撮影画角を調べておきましょう。当日にやっている時間はないと思います。
  • 2015年1月20日の火星と海王星の接近記事はこちら。


20170102月と金星の接近
★月と金星の接近
元日の夕方、金星の右下に三日月が見えているでしょう。翌日2日には金星のすぐ隣に並び、素晴らしい眺めとなるでしょう。両星の中心離角は約1.5°。月と金星がこんなに近いのはずいぶん久しぶりの気がします。

月と金星が近いということは、「月を使って昼間に金星を見つける」方法が使える日です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

20170103月と火星と海王星の接近
★月と火星と海王星の接近
さらに翌日の1月3日には月と火星が大接近!両星の中心離角はなんと約0.5°。月の直径ほどしか離れていないのです。うーん、こんなに接近続きでどうしましょう?

あまり離れていないところに海王星もいますから、双眼鏡で探してみましょう。

2017木星とスピカ
★番外編:木星とスピカの接近
明け方には木星が南東の空に煌々と輝いています。木星の下方にはおとめ座のスピカ。明度と色合いのコントラストが素晴らしいです。先日12月23日には月も加わって素晴らしい眺めだったはずですが、当地・茨城は生憎の悪天でした。その前月のチャンスは11月26日の記事に掲載しています。

木星は2017年2月7日頃に留(順行から逆行へ転進)となります。留前後の惑星はノロノロ運転になるのですが、今期の木星の留はスピカのすぐ側で起こるため、前後数ヶ月にわたって接近した状態が続くというわけです。右図は双眼鏡の視野に収まるほどの範囲ですが、何ヶ月も一緒に見えるなんて嬉しいですね。

またスピカは月に隠されるほど月の通り道に近いため、しばらくは毎月1回は「月・木星・スピカの接近」が楽しめます。1月19日、2月16日、3月15日などが見ごろ。木星は春が近くなると明け方よりも早い時間…夜更けに東から昇るようになります。それに伴って接近する月の形はだんだん丸みを帯びてきます。どうしてこうなるのか、ぜひ考えてみてください。

参考:
アーカイブ:天体の接近現象一覧