今日は今年いちばん日没が…2015/06/29

★ブログ内で「日の出・日の入り」や「暦」をテーマに取り上げた関連記事・アーカイブは別ページにリストアップしています。日出没時刻やその最早最遅日は年や場所で変化しますから、記事日付をよく確認の上ご覧ください。


【2015年の日の出入り比較・茨城県つくば市】
※地域が違うと下表は変わりますのでご注意ください!
 日の出日時日の入り日時
最小
(一番早い)
6月13日04:21:0812月6日16:26:01
最大
(一番遅い)
1月7日06:50:016月29日19:01:44
※一番早い日の出は6月14日も同値でした。
※他の県の場合はこちらのユーティリティをご覧ください。
どなたも「夏至は一番昼の長い日」ということはご存じですね。では「夏至は一番日没が遅い訳ではない」ということはご存じでしょうか。天文に詳しい方なら聞いたことがあるかも知れませんが、たいていの方は知らなかったと驚かれます。

かくいう私も大学くらいまで夏至=日の出が一番早く日の入りが一番遅いと思い違いしてました。新聞の日の出入り覧などでチェックしてみましょう。ただしこの比較は秒の桁まで行わないと正しいピークが分からないので、新聞や計算サイトだけでは叶いません。

日の出入り時刻変化
このブログの天文計算で基点としている茨城県(つくば市)で、今年2015年の日の出入りを秒の位まで計算比較した結果が右上表です。夏至から1週間経った本日こそ、実は最も日没が遅い日でした。

グラフも描いてみました(左図)。右上表の四つのポイントもグラフ内に示してあります。今年の夏至6月22日、冬至12月22日とは明らかにズレていますね。併せて描いた太陽の南中時刻も波打っています。場所、あるいは年度で少々前後しますが、国内ではどこも似た結果となるでしょう。

昼の長さ
このグラフでは次の様に計算しています。
※昼=日没時刻-日出時刻
※市民的昼=市民薄暮時刻-市民薄明時刻
※航海的昼=航海薄暮時刻-航海薄明時刻
※天文的昼=天文薄暮時刻-天文薄明時刻
いっぽう、昼の長さを計算してグラフ化したのが右図です。これは正に極大・極小が夏至・冬至に一致していますね。この波状に変化するグラフの緑線は、上記グラフの赤線と青線の「間隔」を見ていることに他なりません。なお、昨年2014年12月27日の記事内に示したグラフB「夜の長さ」は、右のグラフの天地をひっくり返した形です。

これらをしっかり解説するとかなり複雑なので機会をあらためますが、「太陽は季節に応じて単純に高さが変わるだけじゃないんだ」ということが少し実感できれば、まずは一歩踏み出せたのではないかと思います。

なにげに日常を送っていると見過ごしてしまう些細なことですが、そこに気付けると興味深いことはたくさんあります。明日から間違いなく「日没が早くなった」と言えますね。気が早いかな(笑)

※計算は自作プログラムによるもので、もちろん実測値ではありません。プログラムの組み方によって結果に数分以内の差が出るのも事実です。なるべく正確になるよう心掛けていますが、表やグラフはあくまでひとつの参考値としてご了承くださいね。
※もしご自身で確かめる場合は、同系列の計算による比較を心掛けると良いでしょう。(あちこちの新聞や年鑑やカレンダーから日出没時刻を持ち寄ると、違う計算法の結果を比較してしまう可能性があります。)

参考:
2015年で一番日の入りが早い日@茨城(2015/12/06)
「太陽と月の時刻表」を公開します(2015/11/25)
「秋の日はつるべ落とし」を考える(2015/10/01)
アーカイブ:惑星カレンダー…地球ページに1980-2039年の各年における日出没最大最小 (茨城県計算)の日付があります。

今日の太陽2015/06/29

20150629太陽
昨夜はこの季節にしてはとても寒く、夜が明けてもひんやりしていました。明らかに「空気が違う」感じです。午前の早い内も日差しが少なく涼しさは保たれていましたが、日が高くなる頃には青空が少し見えてきました。

昼を過ぎても太陽周囲にしつこく雲が貼り付き、なかなか撮影させてくれませんでした。左は14時半前の太陽です。活動領域12371は右の縁に達し、もう黒点は見えません。中央近くに小さなフレアもどきが見えました。
20150629太陽リム
リムを見ると、左上にやや目立つプロミネンスが吹き上がっています。一部は光球内に入ってきたようです。そこから少し下にも新たなダークフィラメントが見え始まりましたね。

20150629トンボ通過
左は今日写ったトンボ(笑)。最近なかなか太陽が見えないので、6月17日のようなまとまったトンボの通過を見ていません。ただ、何回かの経験では通過数が少ないです。観察時間帯のせいなのか、気候のせいなのか、生態的な要因なのかは分かりません。

昼間に金星と木星の接近を楽しむ2015/06/29

20150629金星と木星接近
今日は快晴ではありませんが、所々抜けるような青空が見えます。夕方まで天気が持たない予想なので、金星と木星の接近の様子を昼間に観察できないか試しました。計算すると、もう1000mm+APS-Cの画角でも何とか収まります。1000mmあれば形が分かりますね。

太陽を観察後、14:30過ぎに機材をセット。雲の切れ間にようやく金星を見つけました。5cm双眼鏡では木星の存在も分かりました。かなり透明度が良かったのでしょう。

ところがその後撮影しようとすると意地悪な雲が次々とやって来るのです。南中のころに撮る予定でしたが、結局1時間ほど待たされ、ようやく15:40頃撮影できました。その苦心の作が左上画像です。右寄りやや上に欠けた金星、左寄りやや下には木星がぼんやり写っています。撮影時の両惑星間は1度角をちょっと上回っていましたが、今夕ついに1度を割り込みます。最接近時はこの画像の1/3まで近くなりますよ。

参考:
2015年5月-7月の金星と木星の接近に関係する記事
アーカイブ:天体の接近現象一覧

奇跡的な晴れ間から金星と木星を眺める2015/06/29

  • 20150629夕焼け雲
  • 20150629金星と木星

今年一番遅い日没が終わって少し経つと、それまで空を白やベージュに染めていた雲が急に明るいピンクへ変わりました。暗くなりつつある青空とのコントラストが鮮やか過ぎてビックリ…。やがてピンクが暗い影となり空に溶け込むころ、西空には金星と木星が煌々と輝き出しました。奇跡とも言える今夕の晴れ間。この素晴らしい景色をどれほど多くの方が見上げているでしょう。

20150629金星と木星
金星も木星も昼間に見たときよりはるかに明るく見えました。ただ薄雲はいくら待っても取れず、写真にすると見事な光環が浮かび上がります。天文ショーだけでなく、気象光学現象も一緒に楽しめるなんて贅沢ですね。左画像は6月25日のものと同じレンズを使っています。比べるまでもなくかなり近くなりました。

20150629金星と木星の接近
更に、右画像は昼間と同じ焦点距離1000mmの望遠鏡で捉えた両惑星。昼間ではできない、周囲の星々も写し込んでみました。このため大幅な露出オーバーになってしまうので、背景とスパイダーは画像処理でかなり押さえています。また惑星の形を出すため、両惑星本体のみ露出を変えた画像を合成しました。

※この画像のみ、画像の上方向が天の北方向に向けてあります。(つまりカメラを傾けて撮っています。)その他の画像は上方向が天頂方向です。

20150629金星と木星
かなり暗くなってもまだ雲は消えませんでした。でも大接近間近の惑星たちを楽しめるなんて思いもしなかったので、心の底から楽しむことができました。

三日後に満月を迎えるお月さまが土星と並んでいました。月にも雲がかかって少しぼんやりしています。明日から数日間はお天気下り坂の予報です。

参考:
2015年5月-7月の金星と木星の接近に関係する記事
アーカイブ:天体の接近現象一覧