月面Xと新星・超新星を駆け足で観察2021/06/18

20210617月
昨夜は月面Xデーでした。午後いっぱいお天気が良かったので期待していたものの、宵からは雲が湧いてしまいました。

今回のX地形が現れるのはやや遅い時間。月高度が低くなってしまうため、我が家からでは望遠鏡を向けることが困難です。ですから、最初から望遠鏡撮影は諦め、ズームカメラでの撮影をするつもりでスタンバイしてありました。その間に超新星と新星を撮影するための機材を設置。夜が短いこともあって、なかなか慌ただしい夜となりました。

運良くX地形に日が当たるころ雲がだいぶ少なくなったので、まずは無事に月面Xを拝むことができました(左画像)。V地形も見えていますね。残念ながら月面LOVEが揃うのは月没近くだったため諦めました。左画像ではE地形が少し見え始まっていますが、L地形は見えません。

同時進行で新星1つ・超新星3つの撮影も行いました。このうちNGC4565に発見されたというAT2021qeeは全く確認できず。発見グループ以外の観測情報がないため、そもそも何かの見間違いだったのかも知れません。NGC5427に現れたSN2021pfsは6月9日の発見時19.4等(by ZTF/Type-Ia)とのことでしたが、現在は15.0等を上回る勢いでとても明るい状態。見ごたえがあります。

上田清二さん発見のヘルクレス座新星(V1674 Her)はゆっくり暗くなっています。下には14日撮影画像との比較を掲載しました。

板垣公一さん発見のUGC557に出現した超新星候補天体は無事分光され、Type-IIの超新星SN2021pfuとなりました。明け方に向かって3度近く気温が下がりましたが、おかげで良い空に巡り会え、前回天気が悪くてハッキリしなかった超新星を無事捉えることができました。

  • 20210617_SN2021pfs in NGC5427

    SN2021pfs
  • 20210617_V1674 HERCULIS

    V1674 Her
  • 20210618_SN2021pfu in UGC557

    SN2021pfu


久しぶりの環水平アーク2021/06/18

20210618内暈と環水平アーク
昼過ぎにベランダへ出ると、色合いが美しい内暈と環水平アークが見えました。太陽は常に雲がかかっていたため拡大観察は無理だけど、これならハロ現象が楽しめそう。環水平アークはオンシーズンになった4月下旬からずっと探していましたが、今年初です。こんなに見えないのも珍しいですね。

ゆっくり流れる雲に従って、それぞれのアークも見えたり消えたりしました。最初は慣れない人だと見逃すほど淡かった環水平アークも、10分程の間に濃くなってくれました。記事に掲載した画像は発色やディティールが見やすくなるよう、やや強めのアンシャープマスク処理を施してあります。

右下は一番濃い頃の内暈下部。内側(太陽に近い側)が赤で、外側へ向かって虹色の順番に並んでいます。多くの内暈は赤以外が白っぽく混色してしまいがちですが、時々このようにはっきり色分離するものもあります。

20210618内暈の下部拡大
下A画像は左上から少し経ったころの様子。各アークは必ずしも全体が見えるわけではなく、雲の薄いところが見えなかったり、より下層の雲に隠されたりして不完全なことも多いのです。この画像は内暈が左側のみ、環水平アークが右側のみになっていますね。『理想的な説明図』だけしか思い浮かべられないと、ハロやアークの見定めに失敗します。

下B画像は環水平アークが一番濃い頃の拡大。これも中央しか見えていません。やはり太陽側が赤く、下側に向かって虹色の順に並んでいますが、発色が内暈と違うと分かるでしょう。環天頂アークや環水平アークは淀みやくすみ、混色がなく、鮮やかに分離した色合いなのです。下C画像は更に時間が経ち、アークが淡くなったけれど全体の幅が一番長くなった頃。ざっと測って方位角40°幅ほどでした。最大で108°角まで伸びるアークですが、もう20年以上観察してきた私でも100°弱までしか見たことがありません。

結局20分程で各アークは見えなくなり、その後は厚めの雲が空を覆い始めました。明日はまた雨の一日になりそうです。

  • 20210618内暈と環水平アーク

    A.内暈と環水平アーク
  • 20210618環水平アーク

    B.環水平アーク(拡大)
  • 20210618環水平アーク

    C.環水平アーク