おとめ座のポリマが掩蔽されました2017/05/08

20170507ポリマ掩蔽(潜入前)
ゴールデンウィーク最終日。本当に一日の最後となる7日23時台におとめ座γ星、通称「ポリマ」の月による掩蔽現象がありました。5月1日の記事で取り上げたので、ご覧になった方もいらっしゃるでしょうか。

ところが当地・茨城は朝から曇り空で夕刻には雷雨となる始末。まぁその後すぐ快晴になったので、濡れたアスファルトの上に準備して待つこととなりました。今夜は月と木星がきれいに並んでいます。月齢11なので空は明るいですが、この両星の輝きは都会のど真ん中でも目を引いたことでしょう。

現象予定時刻が近づくと月はだいぶ西に傾いてきましたが、望遠鏡をのぞけば月の東(左側)にポリマがしっかり見えます(左画像)。ただ数時間前まで大気が不安定だったため、星像はこれでもかと言うほど揺らめいていました。おまけに空がとても霞み、月の周りはいつになく明るく感じました。黄砂なのか、それとも水蒸気なのか…どちらもありそう(水戸では7日に黄砂が観測されています)。タイミング良く晴れただけでもありがたいことですけどね。

拡大しなければひとつの星に見えてしまう二重星ポリマですが、今回の見所は「パッと消えずに段階的に消える」という体験。どう記録しようか悩みましたが、敢えて拡大せず「ひとつの星のように写し取る」ことにしました。どのみち大気状態がひどかったので、拡大しても写らなかったと思われます。


Mac版Safari、Chrome、Firefoxで動作確認していますが、環境によっては再生されないかも知れません。またスマホ等の軽量モバイル環境は対応してません。万人向けフォーマットではないので、見えない方ごめんなさい。
どのように消えたのか見てもらったほうが理解しやすいので、HD動画撮影したものをポリマ潜入の部分のみ十数秒トリミングし、400ピクセル四方のクロップ動画を作りました。右の枠内に表示されるコントローラーで再生してください。見やすくなるように明るさとコントラストを少し変えていますが拡大率や再生速度は撮影時のままです。また音声は省いてあります。

大気の揺らぎのため星の明るさが細かく変わりますので「均して」見てください。動画開始から3秒あまりのところで、フッと暗くなったのが分かるでしょうか。その後7、8秒ほど暗い状態が続き、今度は完全に消えます。この「暗い状態」は単独の恒星掩蔽ではあり得ないことです。重星の片方だけ隠されたため、こんな見え方になるのですね。今回たまたま主星・伴星ともほぼ同じ明るさでしたが、片方だけ極端に明るかったり、離角がもっと狭かったり、様々なパターンが考えられるでしょう。ぜひ多くの方に体験していただきたいです。

出現側は月が明るすぎ、また低くなったため大気がますます揺らいでよく分かりませんでした。一応撮影したので、時間をかけて分析してみようと思います。下左画像は出現後何分か経ってから撮影したもの。日付が8日にかわってすぐの頃で、ポリマは月の北(上側)にいます。少し経って西空に低くなった月・木星・スピカの並びを撮ったものが下中画像。下右画像はマーカーつきです。ポリマはまだ月の光芒に包まれています。

ポリマの掩蔽は来る7月28日の夜もあって、近畿以東で観察できます。今度は早い時間ですが、高度は今回の半分以下。ますます像の悪化が心配です。観察を考えている方は色々な方法を検討してみてくださいね。

  • 20170507ポリマ掩蔽(出現後)
  • 20170507月・木星・スピカ
  • 20170507月・木星・スピカ


20170508ジョンソン彗星(C/2015 V2)
(追記)
せっかく望遠鏡を出したので、夜が明ける前にジョンソン彗星(C/2015 V2)を観察しました。もう薄明時間帯まで月が残る時期ですが、沈みかけの月と薄明が目立ち始める狭間の時間、いつもの半分の露出でササッと撮影。質の悪い像でも撮れて良かった。これからしばらく満月期ですからね。

うむむ、下向きに細いイオンテイルが何本も出ている…???

参考:
ジョンソン彗星(C/2015V2)に関係する記事(ブログ内)

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