三重の中村さんが突発天体を発見/SLIMの報告2024/01/25

20240124_TCP J07593036+0459025 = AT2024aru
23日22:51ごろ、三重県の中村祐二さんがこいぬ座に13.7等の突発天体を発見したとのこと。この天体は分光され、CV星(Cataclysmic Variable Star:激変星)らしいことが分かりました。

昨夜から今朝は快晴+酷い強風。時々風速8m/sを越えました。望遠鏡を出すのが躊躇われたけれど、対象は南東側、風は西寄り。思い切り西の建物に寄せて設置することで風の影響を避けつつ撮影してみました。コマの半分はブレていたけれど均せば点像になってくれます。発見位置にはとても青い星が写っていました。かなり明るいですね。広い意味では変光星の一種です。今後どうなるでしょうか?

20240124シッカルト、ティコ、バイイ
同様の設置方法で月面も撮ってみました。月が東にあるうちはなんとか写野に捕らえることができます。ただ、夜中に向かって益々風が強まってしまったため、ポーズを駆使しつつ3シーケンス撮影するのがやっとでした。

月面を導入したとき真っ先に目に付いたのが左画像のバイイ。何度見ても大きい。内部の複雑さもジャンセン並で好みです。シッカルトの南、ワルゲンティンの表層を走るリッジが見えています。ひと晩前だったらちょうど「バットマンマークのような影」が見えたのですが、夜半過ぎに雲が切れたときにはもう西空で、強風を避けながらの撮影ができませんでした。次は4月21日20時ごろですかね。

月高度が高かったため望遠鏡も煙突のような姿勢で、とにかく風に対して無防備。観測ドームとは行かなくても簡易テントのようなもので周囲を覆えればいいのでしょう。でもきっと時間がかかるし収納場所も問題。軽い素材だと風速5m/sでも簡単に動いてしまいます。網戸のような材質でも風を弱める効果絶大+飛ばされにくいと思うのですが、どなたか実験して頂けないでしょうか。

20240124グリマルディ、ダーウィン、ガッサンディ
右画像はグリマルディ辺りから南にかけて。昨夜はグリマルディ・ドームが見やすいタイミングだったので、ここだけでも写せたらと思っていました。かなり大きいのですが平べったい(→LPOD参照)ため、タイミングが良くないと全く見えません。南側の小さなドームも微かに分かりますが、もう1時間ほど早いほうが良かったですね。ダーウィンのドームも見えていますが、こちらもちょっと遅いかな…。月面A地形も見えました。もうだいぶ日が当たって、北側地形と繋がっていました。

日が当たるといえば、先日着陸したSLIMの太陽電池はどうなったでしょうね?西向きになっていることが分かったそうですが、正確な方位角や地面に対する傾斜角などは明らかになっていません。仮に正確に西を向いて垂直に立っているならば、昨日24日昼ごろから太陽光が当たり始めたはずです。同じ西向きでも、地面に対して伏せるように下向きに傾斜しているなら、太陽光が当たる頃に斜陽となってしまう可能性もあります。なんとかうまく発電して欲しいですね。

LEV-2によるSLIM
【追記】
JAXAから2024/1/25時点の運用解析資料が発表されました。降下中、高度50m付近で何らかの外的要因(推定)によりメインエンジンの片方が破損に至っていたことなどが明らかにされています。

着陸後の「西を向いた姿勢」のCGシミュレーション画像や、着陸直前に放出されたLEV-2が撮影したSLIM(左画像/JAXAサイトから引用)も発表されました。当初の予定では着陸後のエンジンが横向きでしたが、かなりひっくり返って上を向いていることが分かりますね。この画像で太陽電池パネルは右面(影側)です。若干南向きかな?ともあれパネルを下にして地面に倒れなかったことは不幸中の幸いでした。

下A図は前述した解析資料(プレスキット)の16ページ目に載っている推定着地地点の図版です。これをLROの画像と対比させたら下B画像のようになりました。A図の三つの緑丸は私が描き入れたもの。対応するクレーターがB画像右上の緑丸で囲んだ極小クレーターです。B画像左の白く輝くクレーターがシオリ。結構離れていますね。エンジントラブルがあったのに誤差55mとはすごい。

LRO画像はLROC・QuickMapサイトでどこでも見ることができます。左上のSearch窓にSLIM着陸目標座標を緯度・経度順にカンマ区切りで「-13.31549,25.24889」などと入力すれば、そこを中心に拡大して閲覧できます。

  • プレスキット・p16

    A.プレスキット・16ページの図
  • LRO対比画像

    B.LRO対比画像(シオリ付近)


コメント

トラックバック