相次ぐ新天体発見2023/11/02

20231101_TCP J21101144+1740328
日本人による新天体発見が相次いでいます。ここ数日に撮影したものをまとめて発見順にご紹介します。

まず三重県の中村祐二さんが発見したTCP_J21101144+1740328。10月28日20:13(JST、以降全てJST表記)にペガスス座で14.2等での発見(左画像)。これはZTFがTNSに報告したAT2023vxsと同一天体(10月28日12:11発見、15.83等)と思われるとのこと。半日未満で明るさがかなり違うのが気になりますね。急増光でしょうか?

次は同じく中村さんによるTCP_J06333486-2305449。10月30日2:03におおいぬ座で12.6等での発見(下A画像)。矮新星ではないかとのことです。

更に山形県の板垣公一さんによるTCP_J21562632+3754335。10月30日21:15にはくちょう座で15.2等での発見です(下B画像)。これまた青白い色合いで矮新星?ここまでのTCPはいずれも天の川のほとりで発見されています。

更に更に、同じ板垣さんの発見で超新星SN2023wcr。11月1日4:04にりゅう座のしっぽ近くにあるNGC4363で16.0等での発見(下C画像)。すく分光され、Type2の超新星と判明しています。赤緯が+75°近くなので周極超新星ですね。 天気が安定してくるとこのように発見が相次ぐことがあります。満月期とか新月期とか関係ありません。お二人ともこれだけのバイタリティを長年に渡って持続させていらっしゃるなんて、いったいどこにエネルギー源があるんでしょうか。神懸かっていますね。

  • 20231031_TCP J06333486-2305449

    A.TCP J06333486-2305449
  • 20231101_TCP J21562632+3754335

    B.TCP J21562632+3754335
  • 20231102_SN2023wcr in NGC4363

    C.SN2023wcr


20231102木星
【おまけ1】
今日未明の木星です。前夜に比べて大気の揺らぎが大きくなってしまいましたが、なんとか模様を抽出してみました。通過しているのはイオ。なんと、イオとイオの影がくっついてしまいました。観察者の視線と、イオ→イオの影に向かう太陽光線の向きがほぼ同じということですね。つまり衝が間近に迫っている事を示している訳です。11月3日夜23時台にはガニメデによる同様の現象を観ることができますから、望遠鏡で確認してみてください。大赤斑も一緒に見えますよ。

【おまけ2】
未明の月も観察・撮影しました。こちらのシーイングはひと晩前より若干良いものの、それでも3/10点くらいです。夕方を迎えたジャンセンや月面Kなど見どころはたくさんありましたが一枚だけ掲載。静かの海の東部です。岩山から海へ至る境界付近には目を引きつけられる地形がたくさんあります。中央付近にはコーシーを挟むように平行に走る谷と断崖。その延長上、北西にはジョグダイヤルのようなヤンセン・クレーター。複合クレーターで有名なジャンセン(Janssen)ではなく、Jansen(sが少ない)です。すぐ北のゴーストクレーター、ヤンセンRとヤンセンDのペアも素晴らしい。その形からパンケーキと呼ばれるそうです。同じゴーストクレーターのラモントも左辺に半分写っていますよ。

画像中央やや左上にはガードナーのメガドームと呼ばれる大きなドーム地形。ここ以外にもたくさんのドーム地形が密集しているエリアです。広範囲の密集度は月面随一ではないでしょうか。試しに「GLR Catalog of Lunar Domes」に掲載されているドームを地図として描きオーバーレイしたのが下B画像。薄青丸マークが全てドームです。ひとつひとつを特定するのは明暗境界付近に来ないと分かりづらいので時間がかかりそうですね。

  • 20231101静かの海東部

    D.静かの海東部
  • 20231101静かの海東部(ドーム位置)

    E.ドーム位置


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