地球に危険をもたらす小惑星アポフィスを観察2021/01/19

20210119小惑星Apophis(99942/2004 MN4)
今日の明け方、小惑星アポフィスを街中から捉えることができました。

2004年6月の発見以降、地球衝突の可能性が度々話題となっているアポフィス(99942/2004 MN4)。小惑星リュウグウの半分程度の直径ながら、リュウグウ同様「潜在的に危険な小惑星(PHA/Potentially Hazardous Asteroid)」に属します。(※衝突の可能性に関しては、wikiGIZMODO・2020年11月/日本語訳記事日本惑星協会・2019年4月/日本語訳記事アストロアーツ・2013年1月記事などを参照のこと。)

この小惑星をいつか撮影したいと思っていましたが、通常は20等以下の暗さ。発見以降アマチュアの小型機材で撮影できるほど明るくなったのは2013年の地球接近時しかありません。(※明るいと言ってもせいぜい16等台。)そんな折、今年春に増光するチャンスが訪れることを知りました。さっそくMPCの軌道要素で自前計算してみると、衝は2月26日16:45JST。この前後に16等前半まで明るくなる見込みです。(※CNEOSによると、地球最接近は3月6日10:15JST、距離は0.11265AU。)今月末の予報光度は18.0等に達するので、気象条件さえ良ければ私の機材でなんとか写し取れるはず。…そう考え、今月下旬から試写準備を始めていました。

冬の関東平野ですから、晴れて乾燥すれば透明度は良いでしょう。いっぽうシーイングは最悪に近く、星が肥大するシーズンでもあります。18日明け方に最初の挑戦をしましたが、透明度もシーイングも悪く、雲の通過もあって全く写りませんでした。今朝はリベンジだったんです。

風があったためベストの天候とは言えませんが、一晩前に比べたら雲泥の差。風に煽られた数コマ以外は一応点像になりました。小惑星の移動に合わせてコンポジットしたのが左上画像です。推定18.4等のため非常に暗いですが、検出できました。今後2月最初の週までは赤緯が下がるため、南中高度はやや不利になります。もっとも満月期ですから元々不向きな期間。その後は北上しながら衝を迎え、見頃になります。狙えそうな方はぜひご覧ください。

20210118火星と天王星の接近
少し時間は遡りますが、昨宵から次第に雲が取れ、気になっていた「火星と天王星の接近」を眺めることができました。ファインダー程度の機材でも確認できます。

右画像は18日21:20過ぎの撮影で、火星と天王星の離角は2°弱。最接近は21日明け方ですが、その時間は沈んでしまうため、20日の晩がベストでしょう。21日の晩は月も近くにやってきます。小型双眼鏡で三天体がいっぺんに見えますよ。

今日の太陽2021/01/19

20210119太陽
朝からよく晴れていますが、明け方に強くなってきた風が10時時点で9m/sに達し、昼過ぎもまだ持続しています。東・北日本全体が強風に見舞われていますね。

20210119太陽リム
左は10:45頃の太陽。ついに来てしまいました、太陽がはっきり写せない日々が。モニター画面で光球の縁が大きく波打ってるのが見えます。こんな日は何千フレームをスタックしても、どんなに丁寧に画像処理しても、太陽はぼんやりしたままなのです。しばらくはこんな日々が続くでしょう。

黒点がない活動領域12796と、目立つ黒点がある12797は残っているようですね。右下リムにやや大規模なプロミネンスが展開しています。

20210119-0746UT_SOHO-LASCO-C3
(夜追記)太陽観測衛星SOHOのLASCO-C3カメラ写野に木星が入ってきました。SOHOサイトから7:46UT(16:46JST)画像を右に引用します。2020年暮れに超接近した木星と土星の離角を測る基準となったやぎ座のα星(肉眼二重星)やβ星も一緒に写っています。ついこの前まで西空で実物を見ていたのが嘘のよう…。

それにしても、昨日のSun Grazing Cometsはどこへ行ってしまったのでしょう?