日本の捜索者による新天体発見が相次ぐ2020/03/12

20200312_TCP J20190290+3159170
スギ花粉が舞い、日中の気温も上がり、一段と春めいてきました。ただ、それと共に天気の不安定さも増しています。最近は10日のうち1日快晴があれば良いほう。昼の太陽観察なら時間が取れるとき5分でも晴れてくれれば可能ですが、露出がかさむ夜の微光天体観察はそうもいきません。最低でも数時間は安定して晴れないと何もできないですね。

不安定な天気は私の街だけじゃないだろうに、なぜか3月上旬の短期間に日本の捜索者による新天体発見が相次ぎました。3月6日明け方には茨城県の櫻井幸夫さんがはくちょう座に11.5等星の突発天体(TCP J20190290+3159170)を発見。翌7日明け方には群馬県の小嶋正さんがさそり座に12.7等の突発天体(TCP J16475765-3102582)を発見(愛知県の山本稔さんも同天体を独立発見)。更に翌日8日夕方には山形県の板垣公一さんがアンドロメダ銀河に16.7等の新星候補天体(PNV J00424612+4111362)を発見。そして今日12日未明には同じ板垣さんがUGC10528に17.4等の超新星候補天体(AT2020ekk)を発見…という具合。敬意を払ってひとつひとつ観察したいけれど天気が伴ってくれません。逆に言うなら、発見者のみなさんがどれだけ効率よく捜天してるんだろうと、ただただ驚くばかり。

前置きが長くなりましたが、快晴が期待された昨夕から今朝にかけて新天体一気見を目論みました。宵空ですぐ低くなってしまうアンドロメダ銀河からスタートしようと待ち構えましたが、宵は通過中の寒冷前線の影響が残り、ときおり小雨が降る始末。太平洋側に遠雷も見え、結局一コマも撮れず出鼻をくじかれました。唯一できたのはベテルギウスの測光撮影のみ。

20200312_TCP J16475765-3102582
夜半には気を取り直し、はくちょう座の突発天体を撮影(左上画像)。続いて南天のさそり座の突発天体も撮影(右画像)。各突発天体は既に15等程度まで暗くなっており、明るかったのはごく短期間だけだったようです。最盛期に観察できなかったのは残念だけれど、記録に残せるうちに晴れてくれたのは幸いでした。この晴れ間もあまり持ちそうにありませんが、引き続き追跡観察を行えればと思います。

夜を通して透明度は良かったものの、上空の1等星が瞬くほどのシンチレーションと、前線通過後の強風の影響で星像が肥大していました。この影響もあり、月面観察は諦めました。(※月の出直後に盛大な花粉光環が見えました。月高度が増すと見えなくなりました。)

板垣さん発見の2天体は12日夜から13日明け方に観察できました。→ブログ記事


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