久しぶりにアトラス彗星を観る2020/03/16

20200316アトラス彗星(C/2019 Y4)
昨夕から不安定な天気のまま夜を迎えました。晴れ間があって星も見えるのですが、時々ドバーッと雲が空を覆ったり、遠くの雷が空を照らしています。夜半には落ち着くかなと思っていたのですが、この状態は軽減しつつも明け方まで続きました。

せっかく晴れ間があるし、ようやく下弦になって月明かりの影響も減ったので、晴れ間を狙ってアトラス彗星(C/2019 Y4)を撮ってみました。夜半前に開始しましたが間もなく雲に覆われて終了。1時間後にまた晴れたので再度スタート。時々薄雲通過があったものの、今度は連続80分以上の露出ができました(左画像)。この画像の上下は概ね月直径くらいですから、緑色に光る彗星コマの視直径は最低でも10′角は広がっていると思われます。M97などの近くを通っていた頃はおよそ5′角と見積もっていたので、順調に成長してますね。集光が強くなり、南東向き(左下向き)に細やかな尾も伸びているようです。惜しむらくはダストリッチタイプの彗星ではなさそうなこと。アトラス彗星の明るさ(全光度)を支えているのはこのコマの広がりであって、頭部核や尾が抜群に明るいわけではありません。ちょうど1年数ヶ月前に地球へ大接近し、巨大なコマを見せてくれたウィルタネン周期彗星(46P)を彷彿とさせます。

5月中旬・下旬にアトラス彗星が明るくなるころ、日本では薄暮・薄明時しか見えず、高度も低いです。このタイプの彗星はコマ部分が薄明光や低空の霞で見辛くなるため、彗星核の明るさ(核光度)や核に近い尾の明るい部分のみを「彗星の明るさ」として見ることになるでしょう。従って街中では全光度の予想よりずっと暗く感じる可能性が高いと思われます。核や尾が今後発達する可能性はゼロでは無いでしょうけれど、裸眼で見えるほどにはならないかなぁと感じました。(この彗星を初めて見た頃からそう考えてます。)この彗星の光度ピークを純粋に楽しみたいなら、抜群の透明度が確保できる標高の高い観測地などが必要でしょう。そこそこ明るくて高い空に見える向こう一ヶ月ほどの間に楽しんでおくことをお勧めします。

20200316_SN2020ekk in UGC10528
彗星撮影が終わった後も断片的ながら晴れていたので、明け方までの間に板垣さんが発見したSN2020ekkを再撮影しました(右画像)。前回の撮影は薄雲と月明かりが多かったけれど、今回はたっぷり露出できて、微光星が良く写ってくれました。ちょっとしたミスで銀河が画像中心からずれてしまいましたが、トリミングすると画質が落ちるのでそのまま掲載します。

II型の超新星は光度を保ったまま、相変わらず青く輝いていました。しばらく楽しめそうです。空の高いところを通るため、低空のモヤに邪魔されることなくスッキリ撮影できるのは嬉しいですね。

夜明け近くにはまた雲が増えてしまいました。遠くの雷は夜明けにもピカピカ光っていました。

参考:
アトラス彗星(C/2019 Y4)に関係する記事(ブログ内)

今日の太陽2020/03/16

20200316太陽
朝から晴れたり曇ったりのお天気。風もやや強く吹いています。また太陽が悪像になってしまうと心配しましたが、思ったほど乱れませんでした。

20200316太陽リム
左は10:20前の太陽。活動領域12758は右下リム近くにあり、数日後には裏へ回りそうです。この活動領域と直接関係は無さそうですが、ほぼ同じ緯度にダイナミックなプロミネンスが見えました。左上や左下リムにも小さなものが確認できますね。

今日も花粉光環は見えません。午後になると当地でもにわか雨が降り出しました。全国的に不安定のようです。