マウナロア二酸化炭素濃度が前年ピーク越え ― 2020/04/01
新年度開始から暗く閉塞的なニュースばかりなところに追い打ちをかけて申し訳ないのですが、個人的に毎日モニターしているハワイのマウナロア観測所(NOAA-Mauna Loa Observatory/MLO)の二酸化炭素濃度が、早くも昨年の最大値を上回ってしまいました。
MLOに限らず、北半球での二酸化炭素濃度は「夏から秋に減り、冬から春に増え、最大(極大)は4月から5月」という1年周期の変動があります。左図は同サイトからの引用で、2年前・2018年のピーク時頃以降の変動グラフ。赤線が月平均、緑線が週平均、青ドットが日平均、ピンク線は筆者が描いた補助線です。前出サイトには元データやインタラクティブに描けるグラフ機能もありますから、詳しく調べたい方はご自身で確認してみてください。測定データは日によって大きくばらけることがあるため、私は週程度の日数に均して俯瞰するのが良いだろうと思っています。
週平均値のうち、2000年以降の年ごとに極大値を抜き出したのが記事下表です。1年は7日で割り切れないため、MLO公開データは必ずしも年始から始まっていないことに注意しつつ比較してください。表にある通り、2018年のピークは5月13日からの一週間で411.85ppm、2019年は5月12日からの一週間で415.39ppmでした。
この数値を上図の補助線として描いたわけですが、直近の極小以降を見ると、2018年ピークを上回ったのは2019年12月15日の週、2019年ピークを上回ったのは2020年3月22日の週(つまり先週)でした。測定値は下がることなく3月末も上昇し続けています。まだ今年のピーク時期前にもかかわらず、毎日が観測史上最高状態なのです。まぁ今更驚くようなことではなく、例年この時期に常態化している状況ですが…。
この最大値変化から前年差を算出してグラフにしてみました(右図/縦軸はppm)。有効な観測値は1975年以降なので、グラフは1976年以降となります。赤線は二次曲線によるトレンドライン。最大値の前年差がマイナスになったことは一度もなく、ゆっくりと増加する傾向にありますね。つまり、二酸化炭素濃度は単純に増加しているのではなく、プラスの加速度が付いていることになります。
近年は前年に比べ2ppmから4ppm程度の増加傾向ですから、今年の5月頃には420ppm弱に届くことになるでしょう。各国一丸となってCO2排出を止めたとしても加速が付いた状況に変化が見られるのは更に数世紀後でしょうから、今の赤ちゃんが親や祖父母になる頃にはトレンドラインもプラス4や5に至ると考えられます。みなさんはこの変化を「小さな値だから気にすることはない」「すぐに直接影響はない」と考えますか?それとも…。
参考:
マウナロアの二酸化炭素濃度が415ppm突破(2019/05/14)
マウナロアの二酸化炭素濃度、その後は?(2019/05/24)
マウナロアの二酸化炭素濃度、更にその後。(2019/06/02)
MLOに限らず、北半球での二酸化炭素濃度は「夏から秋に減り、冬から春に増え、最大(極大)は4月から5月」という1年周期の変動があります。左図は同サイトからの引用で、2年前・2018年のピーク時頃以降の変動グラフ。赤線が月平均、緑線が週平均、青ドットが日平均、ピンク線は筆者が描いた補助線です。前出サイトには元データやインタラクティブに描けるグラフ機能もありますから、詳しく調べたい方はご自身で確認してみてください。測定データは日によって大きくばらけることがあるため、私は週程度の日数に均して俯瞰するのが良いだろうと思っています。
週平均値のうち、2000年以降の年ごとに極大値を抜き出したのが記事下表です。1年は7日で割り切れないため、MLO公開データは必ずしも年始から始まっていないことに注意しつつ比較してください。表にある通り、2018年のピークは5月13日からの一週間で411.85ppm、2019年は5月12日からの一週間で415.39ppmでした。
この数値を上図の補助線として描いたわけですが、直近の極小以降を見ると、2018年ピークを上回ったのは2019年12月15日の週、2019年ピークを上回ったのは2020年3月22日の週(つまり先週)でした。測定値は下がることなく3月末も上昇し続けています。まだ今年のピーク時期前にもかかわらず、毎日が観測史上最高状態なのです。まぁ今更驚くようなことではなく、例年この時期に常態化している状況ですが…。
この最大値変化から前年差を算出してグラフにしてみました(右図/縦軸はppm)。有効な観測値は1975年以降なので、グラフは1976年以降となります。赤線は二次曲線によるトレンドライン。最大値の前年差がマイナスになったことは一度もなく、ゆっくりと増加する傾向にありますね。つまり、二酸化炭素濃度は単純に増加しているのではなく、プラスの加速度が付いていることになります。
近年は前年に比べ2ppmから4ppm程度の増加傾向ですから、今年の5月頃には420ppm弱に届くことになるでしょう。各国一丸となってCO2排出を止めたとしても加速が付いた状況に変化が見られるのは更に数世紀後でしょうから、今の赤ちゃんが親や祖父母になる頃にはトレンドラインもプラス4や5に至ると考えられます。みなさんはこの変化を「小さな値だから気にすることはない」「すぐに直接影響はない」と考えますか?それとも…。
【MLO二酸化炭素濃度・週平均の極小値と極大値(年ごと)】
年 | 極小濃度 (ppm) | 極小週開始日 | 極大濃度 (ppm) | 極大週開始日 | 各年の 週集計開始日 |
---|---|---|---|---|---|
2000年 | 366.65 | 2000年10月1日 | 372.33 | 2000年4月16日 | 2000年1月2日 |
2001年 | 367.81 | 2001年9月23日 | 373.93 | 2001年5月6日 | 2001年1月7日 |
2002年 | 369.88 | 2002年9月29日 | 376.24 | 2002年5月26日 | 2002年1月6日 |
2003年 | 372.79 | 2003年10月12日 | 379.43 | 2003年5月18日 | 2003年1月5日 |
2004年 | 373.98 | 2004年10月3日 | 381.07 | 2004年5月23日 | 2004年1月4日 |
2005年 | 376.16 | 2005年9月11日 | 383.01 | 2005年5月22日 | 2005年1月2日 |
2006年 | 378.66 | 2006年9月17日 | 385.32 | 2006年5月14日 | 2006年1月1日 |
2007年 | 380.65 | 2007年9月9日 | 387.29 | 2007年4月15日 | 2007年1月7日 |
2008年 | 382.75 | 2008年9月28日 | 388.89 | 2008年5月18日 | 2008年1月6日 |
2009年 | 383.88 | 2009年10月4日 | 390.52 | 2009年4月26日 | 2009年1月4日 |
2010年 | 386.14 | 2010年9月5日 | 393.42 | 2010年5月16日 | 2010年1月3日 |
2011年 | 388.67 | 2011年9月25日 | 394.91 | 2011年5月15日 | 2011年1月2日 |
2012年 | 390.79 | 2012年9月16日 | 397.12 | 2012年5月6日 | 2012年1月1日 |
2013年 | 393.30 | 2013年9月15日 | 399.93 | 2013年5月19日 | 2013年1月6日 |
2014年 | 395.02 | 2014年9月7日 | 401.82 | 2014年5月25日 | 2014年1月5日 |
2015年 | 397.20 | 2015年9月27日 | 404.13 | 2015年5月3日 | 2015年1月4日 |
2016年 | 400.74 | 2016年9月25日 | 408.72 | 2016年4月10日 | 2016年1月3日 |
2017年 | 402.76 | 2017年9月24日 | 410.40 | 2017年5月14日 | 2017年1月1日 |
2018年 | 405.39 | 2018年9月9日 | 411.85 | 2018年5月13日 | 2018年1月7日 |
2019年 | 407.96 | 2019年9月29日 | 415.39 | 2019年5月12日 | 2019年1月6日 |
参考:
マウナロアの二酸化炭素濃度が415ppm突破(2019/05/14)
マウナロアの二酸化炭素濃度、その後は?(2019/05/24)
マウナロアの二酸化炭素濃度、更にその後。(2019/06/02)
今日の太陽 ― 2020/04/02
いよいよ宵空で金星とすばるがランデブー ― 2020/04/03
いよいよ夕空で金星とすばる(プレアデス星団/M45)が大接近を始めました。4月4日までかかって星団の中を通過します。丸々一週間ほど天気が悪かった関東ですが、昨日ようやく暗いトンネルを抜けたように快晴となりました。数日は天気が持ちそうなので、宵空が楽しみ。
2020年3月27日記事に金星とすばるの接近カレンダー表を載せましたが、この現象はおおよそ2年ごとに起こります。その中でも星団の星々の中に埋もれてしまうほど近距離を通過するケースが約8年ごとに発生するのです。前回は2012年4月4日でした。覚えていますか?
左画像は昨夕の様子。まだ星団の中には入っていませんが、これだけ拡大撮影しても一緒の写野に並ぶなんて、素晴らしいですね。この大接近は望遠鏡でも、双眼鏡でも、そして肉眼でも楽しむことができますよ。写真で見るよりはるかに美しいですから、ぜひ生でご覧ください。
ちなみにこの画像は多段階露光で、すばるの微光星からまぶしい金星に至るまで、幅広い等級を押し込んであります。確認すると、一番暗い星は14等、一番明るい金星はマイナス4.4等。実に18等星あまりの幅です。明るさに紛れていますが、機材を変えずに金星本体も写してコンポジットしてあります。コンポジット前の元画像から金星部分を等倍で切り出ししてみました(右画像)。ちゃんと半月状になっていますね。
兎にも角にも素晴らしい眺めですから、晴れたら宵空をご覧ください。5日以降は次第に離れますが、10日ごろまでは双眼鏡で一緒の視野に見えるでしょう。なお、次回このレベル(離角1°未満)まで接近するのは2028年4月4日、さらにその次は2036年4月4日になります。2036年はすばるの別名「羽子板星」の板に金星が載ってしまい、すばる内で最も明るい星「アルキオネ」に重なるほど近いですから、ぜひ長生きしてくださいね。(※アルキオネは富士重工業SUBARUの車種アルシオーネの名になってます。)
夜になると上空の月が赤くなるほど透明度が悪化しました。それでも久しぶりの晴れ間でしたのでアトラス彗星(C/2019 Y4)に望遠鏡を向けました。光害と月明かりに負けてコマはあまり大きく写りませんが、一週間前に比べて尾がとても太く、そして長く成長しているのが分かりました。
左画像では尾の端がよく分かりませんが、いくつかの観測報告では既に1°角を越えているとのことです。この画角は長辺が約0.8°ですから、尾は画面からはみ出てしまってることになります。もし抜群のコンディションで撮影できる方がいらっしゃったら、300mmから500mm程度のレンズで十分ですから、尾の端まで写し撮ってみてくださいね。
参考:
アトラス彗星(C/2019 Y4)に関係する記事(ブログ内)
2020年3月27日記事に金星とすばるの接近カレンダー表を載せましたが、この現象はおおよそ2年ごとに起こります。その中でも星団の星々の中に埋もれてしまうほど近距離を通過するケースが約8年ごとに発生するのです。前回は2012年4月4日でした。覚えていますか?
左画像は昨夕の様子。まだ星団の中には入っていませんが、これだけ拡大撮影しても一緒の写野に並ぶなんて、素晴らしいですね。この大接近は望遠鏡でも、双眼鏡でも、そして肉眼でも楽しむことができますよ。写真で見るよりはるかに美しいですから、ぜひ生でご覧ください。
ちなみにこの画像は多段階露光で、すばるの微光星からまぶしい金星に至るまで、幅広い等級を押し込んであります。確認すると、一番暗い星は14等、一番明るい金星はマイナス4.4等。実に18等星あまりの幅です。明るさに紛れていますが、機材を変えずに金星本体も写してコンポジットしてあります。コンポジット前の元画像から金星部分を等倍で切り出ししてみました(右画像)。ちゃんと半月状になっていますね。
兎にも角にも素晴らしい眺めですから、晴れたら宵空をご覧ください。5日以降は次第に離れますが、10日ごろまでは双眼鏡で一緒の視野に見えるでしょう。なお、次回このレベル(離角1°未満)まで接近するのは2028年4月4日、さらにその次は2036年4月4日になります。2036年はすばるの別名「羽子板星」の板に金星が載ってしまい、すばる内で最も明るい星「アルキオネ」に重なるほど近いですから、ぜひ長生きしてくださいね。(※アルキオネは富士重工業SUBARUの車種アルシオーネの名になってます。)
夜になると上空の月が赤くなるほど透明度が悪化しました。それでも久しぶりの晴れ間でしたのでアトラス彗星(C/2019 Y4)に望遠鏡を向けました。光害と月明かりに負けてコマはあまり大きく写りませんが、一週間前に比べて尾がとても太く、そして長く成長しているのが分かりました。
左画像では尾の端がよく分かりませんが、いくつかの観測報告では既に1°角を越えているとのことです。この画角は長辺が約0.8°ですから、尾は画面からはみ出てしまってることになります。もし抜群のコンディションで撮影できる方がいらっしゃったら、300mmから500mm程度のレンズで十分ですから、尾の端まで写し撮ってみてくださいね。
参考:
アトラス彗星(C/2019 Y4)に関係する記事(ブログ内)