尾が伸びてきたアトラス彗星2020/03/23

20200323アトラス彗星(C/2019 Y4)
昨夜から今朝にかけて晴れ時々曇りの微妙なお天気。でも曇りより晴れ間のほうがマシマシなので、合間合間に幾つかの観察をこなしました。アトラス彗星(C/2019 Y4)も写してみたので掲載します(左画像)。日付をまたいで1時間ちょっとの露出です。

明るくなっているのはもちろんですが、南東向きの尾がグングン伸びていることが分かります。3月中旬頃はコマの直径からはみ出さない程度でしたが、ここ数日は尾の先端がコマの外側へ完全に出ました。

20200323アトラス彗星(C/2019 Y4)
左上画像を白黒反転させたのが右画像。尾の流れが良く分かるでしょう。雑な画像処理なのではっきりしませんが、画像縁まで届いているような気がします。光害と春霞の多い街中でもこんなに写るので、空の条件が良い場所ならかなり長く見えているのではないでしょうか。

現在はイオンテイルとダストテイルが重なっており、おそらく4月下旬になるまで両者は分離して見えないのではないかと思われます。重なっているためどちらが多いとはっきり判断できないことがもどかしいですね。頭部の明るさばかりが取り上げられていますが、彗星は尾も含めた全体像の変化が楽しいのです。尾の向きも時計回りに変化し、4月10日ごろには真東向き、5月最初の一週間で北東向き、20日過ぎにはほぼ真北へ向きます(いずれも赤道座標系基準)。

アトラス彗星(C/2019 Y4)諸元
地球最接近および太陽最接近時(左図参照)は尾の様子が劇的に変化する可能性があります。日本からどこまで追えるかは分かりませんが、クローズアップ撮影している方は構図に注意しつつ、尾の伸びや広がり、曲がり、コブや筋の有無などを撮影観察してみてください。

なお左図で分かる通り、4月末ごろまで見かけの移動速度がほとんど変わりませんから、メトカーフコンポジットの際に彗星頭部が伸びないような露光時間の調整は当面必要ない(現状維持)ことになります。これは地味にありがたい!

※移動の変化が極端な彗星は撮影毎に一コマあたりの露出を適切に調節しないと彗星が伸びて写り、尾の微細構造もブレてしまいます。たとえば2018年1月5日記事のハインズ彗星(C/2017 T1)画像を見てください。背景の星に隙間があって、彗星も隙間と同じだけ間延びしてますね。

参考:
アトラス彗星(C/2019 Y4)に関係する記事(ブログ内)