台風10号の様子2016/08/30


強い台風10号が東日本に近づいています。今日は一日、この記事に追記しながらまとめていこうと思います。

【7時ごろの様子】
20160830-0700台風10号
左は本日7:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者/以下同様)。赤点円は台風中心の直径1000km円です。また緑線は10号が台風になってからの中心経路です。今朝3:00の時点で熱帯低気圧の時期(画像中の青点線)を含めるとちょうど1周してしまいました。「やぁ、ずいぶん大きくなって戻ってきたね」とは喜べない…。

7:00現在、中心気圧965hPa、中心付近の最大風速35m/s(70ノット)、最大瞬間風速50m/s(100ノット)。昨日よりも少し弱まりました。ご覧の通り西へ転進を始めましたので、夕方近くまでこの勢力を保ったまま東北地方のどこかに上陸する見込みのようです。大陸と台風をつなぐ降雨帯は健在で、北陸・中部・東海地方に強い雨を降らせてますね。当地・茨城は昨夜遅くからやや風が吹き始め、今日明け方には雨も降り出しました。ちょうどこの7時台に台風の渦を作る雨雲の腕が差しかかったようで、強い雨の領域が縦断しました。

【9時ごろの様子】
20160830-0900台風10号
左は本日9:00の気象衛星画像。凡例は上記7時に同じです。この時間になると日本近辺にはたっぷり太陽が当たるので、可視画像が見やすくなります。ただし陰影は無くなってくるので、雲の立体感は薄れますね。

9:00現在、中心気圧965hPa、中心付近の最大風速35m/s(65ノット)、最大瞬間風速50m/s(95ノット)。m/sでは変わりませんが、ノット単位だと風速が弱まっています。(※気象庁ではノット→m/sの変換時に一定のルールで丸めてしまうので、こういうことが起こります。換算表は気象庁のこちらのページにあります。)

当地・茨城県南では時折6m/s程度の強風が吹きますが、雨はほとんど降っていません。時々青空や太陽が見えます。台風による雨は福島東部を中心に強まっているようです。また、本州北西から台風を結ぶ降雨帯による強い雨が埼玉県や栃木県付近に見られます。(この辺りは台風の渦と区別つかないですね。)

【12時ごろの様子】
20160830-1200台風10号
左は本日12:00の気象衛星画像。凡例は上記7時に同じです。12:00現在、中心気圧965hPa、中心付近の最大風速35m/s(65ノット)、最大瞬間風速50m/s(95ノット)。9:00の値と変わりません。ただし強風域直径が1040kmとなり再び「大型の台風」に、また暴風域直径も280kmとなって、9時時点より40kmも大きく設定されています。左画像にも暴風域を描いてみました(台風中心を囲む小さなオレンジ点線円)。暴風域は北東(右上)にシフトしてます。一部は福島県沿岸域にかかり始めました。福島第一&第二原子力発電所もほぼ域内です。当地・茨城県の県南ではほとんど影響ありませんが、県北では大雨の被害や停電、小中学校の休校といった情報が流れています。

22日昼過ぎに上陸した台風9号に比較すると、海岸接近時の降水状況が大きく違いますね。下に22日と今日の12:00降水レーダー画像(気象庁サイトから引用)を掲載します。日本海を横断する降雨帯のもう一方の端、朝鮮半島の東に小さな渦巻き状の低気圧(986hPa)がはっきり見えますね。

  • 20160822-1200レーダー

    2016年8月22日12:00
  • 20160830-1200レーダー

    2016年8月30日12:00


【15時ごろの様子】
20150830-1500台風10号
左は本日15:00の気象衛星画像。凡例は上記7時に同じです。15:00現在、中心気圧965hPa、中心付近の最大風速35m/s(65ノット)、最大瞬間風速50m/s(95ノット)。9:00以降の値と変わりません。暴風域の直径は12時の値より更に50km大きくなりました。台風北側の岩手県沿岸を中心に大雨となっているようです。

台風中心と茨城県水戸市との距離は、9時から14時まで1時間おきに215km、187km、166km、142km、157km、176kmとなり、12時頃もっとも近くなったことが分かりました。また福島県福島市との距離は12時から15時まで1時間おきに187km、159km、157km、135kmでした。このペースだと16時台から17時台に宮城県または岩手県付近に上陸しそうです。

【17時ごろの様子】
20160830-1700台風10号
左は本日17:00の気象衛星画像。凡例は上記同様です。まだ上陸はしていません。17:00現在、中心気圧965hPa、中心付近の最大風速35m/s(65ノット)、最大瞬間風速50m/s(95ノット)。強風域直径1040km、暴風域直径330km。いまだに大型のままで、勢力もさほど衰えていません。

正午頃よりずっとほぼ北上を続けているため、西への移動が止まっています。このため上陸しないまま三陸海岸半ばまで来てしまいました。宮城県への上陸の可能性はもうないでしょう。場合によっては北海道へ上陸か…といった予報も視野に入ってきました。ここまでずっと可視光画像で追いかけてきましたが、そろそろ画像が暗くなりましたね。左画像もかなり輝度を上げている状態。台風の所々が夕日色になっていますよ。日本全国日暮れの時間です。

当地・茨城の県南では夕方になってまた雨が降ってきました、時々強い風も吹きましたが、日暮れ頃にはおとなしくなりました。日没後空を確認したら、西空低空に僅かな隙間があり、夕焼けに染まっていました(下画像)。ここ以外はほとんど灰色の雲で、特に南側は波打つように見えていました。

  • 20160830夕方南空

    夕方南の空
  • 20160830夕方西空

    夕方西の空


【18時ごろの様子】
20160830-1800台風10号
台風10号は18時前に岩手県大船渡市付近上陸した模様です。左は上陸直後、本日18:00の気象衛星画像。夜になったので可視画像は使えませんから赤外画像(バンド7)にしました。凡例は上記同様ですが縮尺は変わっています。18:00現在、中心気圧970hPa、中心付近の最大風速30m/s(60ノット)、最大瞬間風速45m/s(85ノット)。強風域直径1040km、暴風域直径330km。大きさは17時同様大型のままで、勢力が若干衰え始めました。大雨の地域は岩手北部から青森へ広がっています。

8月28日記事に書いたように、東北地方へ直接上陸した台風は観測史上で3例しかなく、全て日本海側から太平洋側へ進んでいます。今回は「岩手県に初めて上陸」「太平洋側から東北地方へ初めて上陸」「8月の上陸数トップ(1962年とのタイ記録)」の三つの記録となりました。

【24時ごろの様子】
21時頃に日本海へ抜けた台風10号は、31日0時に温帯低気圧へ変わりました。台風としての寿命は11日3時間(267時間)、いまのところ今年最も長い寿命です。2015年5月13日記事に台風寿命のグラフがあります。越境台風など長い経路を進行した台風が300時間以上活動することは珍しくないですが、今回はとても狭い範囲…なんと、ほぼ日本管轄海域内のみに滞留して267時間も存命したことは特筆に値しますね。期間中の最低気圧は940hPaでした。この台風の影響で北海道の三ヶ所に記録的短時間大雨情報が出されました。(上陸前の28日にも東京都三宅村で同情報が出ています。)岩手県や北海道などで河川増水、堤防決壊、住人の孤立などが発生しています。下は気象庁サイトより引用で、19時から23時まで1時間おきに、津軽海峡周囲の降雨の様子です。

  • 20160830-1900降雨

    2016年8月30日 19:00
  • 20160830-2000降雨

    2016年8月30日 20:00
  • 20160830-2100降雨

    2016年8月30日 21:00
  • 20160830-2200降雨

    2016年8月30日 22:00
  • 20160830-2300降雨

    2016年8月30日 23:00