8月28日に金星と木星が超接近 ― 2016/08/11
この8月の夕空には、肉眼で容易に確認できる惑星、すなわち水星、金星、火星、木星、土星がすべて勢ぞろいしています(関連記事)。今日現在は一番太陽に近い金星から一番遠い土星まで約93°の範囲ですが、月末近くには約75°まで狭まり、かなり希なケースなのです。このような、月も含む惑星が3つ以上接近する現象はアーカイブ:多天体の接近現象にまとめてあるので参考にしてください。
さて、このうち水星、金星、木星の位置を星図にしてみました(左画像/記事中の星図や位置データはステラナビゲーターとStellariumを併用しています)。日没から45分後の三惑星は西空のかなり低い位置に集まりつつあります。特に20日以降は低倍率広視野の小型双眼鏡なら三惑星がひと視野に全て入ってしまうでしょう。星図の背景は実際よりずっと暗く描いてますので、はっきり見つけやすいわけではありませんからご注意。
※日本で見えるか・見やすいかといった条件を考慮せずに集計しています。
さらに注目なのは8月28日の「金星と木星の超接近」です。当ブログでは「両惑星の模様や形が同一視野で拡大観察できるほどの接近」を超接近と呼んでいます。具体的には離角が0.1°(=6')以内に収まる接近ということにしています(関連記事1、関連記事2)。アーカイブ:天体の接近現象一覧(惑星ペア・トップ200)から2016-2018年の超接近を拾い出すと右表の通り7回のチャンスがあり、うち1回は今年1月9日に終了しました(関連記事1、関連記事2)。そして今年2回目のチャンスが約半月後の8月28日に迫っているというわけです。
この金星と木星の超接近時、両惑星は見かけの上で約4'まで近づきます。4'という距離感はにわかに想像できませんが、2015/12/26記事から引用すると、左の月画像に見える「海」と呼ばれる地形の直径と比べれば覚えやすいでしょう。月直径は約0.5°(=30')前後です。4'は「静かの海」を囲む円の半径程度です。20日前後には左のような月相になりますから、本気で観察に取り組む方は実際の月を肉眼や望遠鏡で見たり撮影して、視野/写野を確認しておきましょう。
あらためて最初の星図を見ると、日没後の金星や木星はとても低いことが分かります。星図右上にスケールを載せましたが、高度5°以下なんて普通の暮らしの中では見えません。この接近観察はとても難しいのです。楽しみ方を以下の三つに分けて考えましょう。
両惑星の最接近は28日朝7:30頃。もう太陽は昇ってますから、Bの楽しみ方は昼間の空で惑星を探すスキルと機材が必要不可欠です。AやCで妥協するなら肉眼や簡単な双眼鏡程度で楽しめますが、西低空に障害物のない場所が必要ですし、あっと言う間に沈むので予行練習も大切です。ここ数日中に金星を探して見つからなければ、当日も見つけることは難しいと思われます。
左表は28日6:00から18:00まで30分おきに両星の離角と金星高度(当地・茨城での値)を算出したもの。また右図は1時間おきの両星を実視大で示した星図です(上が天の北方向)。28日の超接近を昼間の空で見るスキルをお持ちなら挑戦してください。6:00の時点で金星はまだ昇っていません。超接近の7:30でも本州最東と言える茨城で高度6°あまりですから、日本の大部分ではもっと低いでしょう。つまり最接近時はほぼ見えないわけです。
表を見ると分かる通り、なるべく近い両惑星を観察するには、どれだけ早く惑星を見つけられるかにかかっているのですね。でも早いと低空過ぎて障害物や雲に邪魔されたり、大気が揺らぐ影響を受けやすいジレンマがあります。前出記事にもありますが、あらためて事前準備・確認事項を列記しておきます。晴れると良いですね!
さて、このうち水星、金星、木星の位置を星図にしてみました(左画像/記事中の星図や位置データはステラナビゲーターとStellariumを併用しています)。日没から45分後の三惑星は西空のかなり低い位置に集まりつつあります。特に20日以降は低倍率広視野の小型双眼鏡なら三惑星がひと視野に全て入ってしまうでしょう。星図の背景は実際よりずっと暗く描いてますので、はっきり見つけやすいわけではありませんからご注意。
【2016−2018年に起こる惑星同士の超接近】
日付 | 時刻 | 天体1 | 天体2 | 離角 |
---|---|---|---|---|
2016年1月9日(土) | 13:15 | 金星 | 土星 | 5.0' |
2016年8月28日(日) | 7:31 | 金星 | 木星 | 4.0' |
2017年1月1日(日) | 15:53 | 火星 | 海王星 | 1.13' |
2017年4月28日(金) | 21:18 | 水星 | 天王星 | 5.6' |
2017年9月17日(日) | 3:43 | 水星 | 火星 | 3.3' |
2018年3月29日(木) | 9:50 | 金星 | 天王星 | 4.1' |
2018年12月7日(金) | 23:08 | 火星 | 海王星 | 2.14' |
※日本で見えるか・見やすいかといった条件を考慮せずに集計しています。
この金星と木星の超接近時、両惑星は見かけの上で約4'まで近づきます。4'という距離感はにわかに想像できませんが、2015/12/26記事から引用すると、左の月画像に見える「海」と呼ばれる地形の直径と比べれば覚えやすいでしょう。月直径は約0.5°(=30')前後です。4'は「静かの海」を囲む円の半径程度です。20日前後には左のような月相になりますから、本気で観察に取り組む方は実際の月を肉眼や望遠鏡で見たり撮影して、視野/写野を確認しておきましょう。
あらためて最初の星図を見ると、日没後の金星や木星はとても低いことが分かります。星図右上にスケールを載せましたが、高度5°以下なんて普通の暮らしの中では見えません。この接近観察はとても難しいのです。楽しみ方を以下の三つに分けて考えましょう。
A:8月27日夕方の西低空で日没後に探す。(最接近ではないが近い。)
B:8月28日午前中の南中前に探す。(最接近に近い状態が見える。)
C:8月28日夕方の西低空で日没後に探す。(最接近ではないが近い。)
B:8月28日午前中の南中前に探す。(最接近に近い状態が見える。)
C:8月28日夕方の西低空で日没後に探す。(最接近ではないが近い。)
【2016年8月28日・金星-木星接近】
時刻 | 離角(’) | 金星高度(°) |
---|---|---|
6:00 | 5.51 | -11.89 |
6:30 | 4.71 | -5.92 |
7:00 | 4.19 | 0.12 |
7:30 | 3.98 | 6.17 |
8:00 | 4.19 | 12.21 |
8:30 | 4.73 | 18.20 |
9:00 | 5.54 | 24.09 |
9:30 | 6.49 | 29.83 |
10:00 | 7.53 | 35.34 |
10:30 | 8.63 | 40.54 |
11:00 | 9.74 | 45.29 |
11:30 | 10.94 | 49.44 |
12:00 | 12.10 | 52.75 |
12:30 | 13.33 | 55.00 |
13:00 | 14.55 | 55.95 |
13:30 | 15.74 | 55.51 |
14:00 | 17.00 | 53.71 |
14:30 | 18.21 | 50.76 |
15:00 | 19.45 | 46.89 |
15:30 | 20.72 | 42.34 |
16:00 | 21.94 | 37.28 |
16:30 | 23.21 | 31.86 |
17:00 | 24.44 | 26.20 |
17:30 | 25.71 | 20.35 |
18:00 | 26.94 | 14.38 |
左表は28日6:00から18:00まで30分おきに両星の離角と金星高度(当地・茨城での値)を算出したもの。また右図は1時間おきの両星を実視大で示した星図です(上が天の北方向)。28日の超接近を昼間の空で見るスキルをお持ちなら挑戦してください。6:00の時点で金星はまだ昇っていません。超接近の7:30でも本州最東と言える茨城で高度6°あまりですから、日本の大部分ではもっと低いでしょう。つまり最接近時はほぼ見えないわけです。
表を見ると分かる通り、なるべく近い両惑星を観察するには、どれだけ早く惑星を見つけられるかにかかっているのですね。でも早いと低空過ぎて障害物や雲に邪魔されたり、大気が揺らぐ影響を受けやすいジレンマがあります。前出記事にもありますが、あらためて事前準備・確認事項を列記しておきます。晴れると良いですね!
- 観察時間をある程度絞り、その方位や高度の視界が確保できるか確認。天気急変も考慮(見たい時間に見えないかも)。
- 昼間の金星を導入する手段を充分検討(雲が多い場合の代替案も/安全のため太陽をできるだけ遮ることができる場所)。
- 青空のなかで金星は見えても、木星は見えないかも知れません。視野の方向を間違えない工夫が必要。
- 事前に自分の望遠鏡やカメラの視野を把握。視野(写野)はカタログ値や計算で求めるのではなく、実像を見たり撮影して自分が許せる良像範囲として決めることが大切。