曇っていても下向きの尾は健在 ― 2024/10/15
昨夜から今朝は雲が多く、空の観察は不向きでした。それでも、天リフさんが紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)の「リアルタイム全国ライブ中継実験&反省会!」をやっていたので聞き耳立てて元気をもらいつつ、曇った夕空に望遠鏡を向けておきました。結果、近隣障害物に隠される寸前の彗星を導入でき、ワンシーンを組み上げることができました(左画像)。
雲と光害がひどいため色荒れするのを承知で強めの処理をすると、赤道座標での東北東に向かう尾のほか、太陽側(西南西)に向かうアンチテイル(orダストトレイル?)らしき光の筋も検出できました(→10月13日記事・10月14日記事参照)。左画像で彗星頭部から矢印のところへ向かう淡い筋がそうです。尾の中にも何らかの構造が見て取れます。ずっと気になっているのですが、真ん中に暗い筋が見えているのは何なのでしょう?本体の影と言う訳では無いでしょうに…。晴れていれば同じ時刻に約4°/1日の割合で高くなっていますから観やすいと思うのですが、お天気ばかりはどうにもなりません。しばらくは空とにらめっこですね。
連日秋田から彗星を狙っている知人のNKさんも雲間に一瞬の彗星を捉えたと連絡が届きました。写真をご提供頂いたので、これも強めの処理をかけた上で右に掲載します。見かけの軌道を調べないと分かりませんが、幅が広がっているのがアンチテイル、細い筋はダストトレイル(一時的?)なのかも知れません。(※この画像はスタックなしの一枚ものなので画質の悪さはご容赦を。)
拝見すると雲の端にちらっと顔を見せた彗星頭部から、これまた地面方向に向かう明るい筋が見えます。この画像では左下の暗い雲へ向かう筋が太陽へ届き、これとは反対に雲をはさんで上に向かっているのが多くの皆さんが見ているメインの尾です。高度が増すと共に下向きの尾も見やすくなっていますが、この尾は急速に無くなって(向きを変えて)上向きの尾に混ざってゆきますから、時間との戦いですね。少しでも晴れ間があるなら躊躇せず望遠鏡やカメラを向けてみてください。
雲と光害がひどいため色荒れするのを承知で強めの処理をすると、赤道座標での東北東に向かう尾のほか、太陽側(西南西)に向かうアンチテイル(orダストトレイル?)らしき光の筋も検出できました(→10月13日記事・10月14日記事参照)。左画像で彗星頭部から矢印のところへ向かう淡い筋がそうです。尾の中にも何らかの構造が見て取れます。ずっと気になっているのですが、真ん中に暗い筋が見えているのは何なのでしょう?本体の影と言う訳では無いでしょうに…。晴れていれば同じ時刻に約4°/1日の割合で高くなっていますから観やすいと思うのですが、お天気ばかりはどうにもなりません。しばらくは空とにらめっこですね。
連日秋田から彗星を狙っている知人のNKさんも雲間に一瞬の彗星を捉えたと連絡が届きました。写真をご提供頂いたので、これも強めの処理をかけた上で右に掲載します。見かけの軌道を調べないと分かりませんが、幅が広がっているのがアンチテイル、細い筋はダストトレイル(一時的?)なのかも知れません。(※この画像はスタックなしの一枚ものなので画質の悪さはご容赦を。)
拝見すると雲の端にちらっと顔を見せた彗星頭部から、これまた地面方向に向かう明るい筋が見えます。この画像では左下の暗い雲へ向かう筋が太陽へ届き、これとは反対に雲をはさんで上に向かっているのが多くの皆さんが見ているメインの尾です。高度が増すと共に下向きの尾も見やすくなっていますが、この尾は急速に無くなって(向きを変えて)上向きの尾に混ざってゆきますから、時間との戦いですね。少しでも晴れ間があるなら躊躇せず望遠鏡やカメラを向けてみてください。
アンチテイルもそうですが、主テイル側の構造にも注目してください。何本もの筋があって、例えが悪いけれど「コウモリの中手骨(つばさの中を通ってる細い骨)」みたいになってます。
左画像は13日にNKさんが撮影した彗星のL画像を強調したもの。いちばん左寄りの明るい筋はイオンテイルと思われ、幅が変化したり左右に揺れたりしているのが分かるでしょう。風景を入れた広角星景画像もいいけれど、200mm以上2000mmくらいまで様々な焦点距離でも撮ってみてください。
尾の流線を撮り出すならNAFEなどの専用ソフト、核近傍の構造なら定番のLarson-Sekaninaフィルターが良いでしょう。もちろんシャープ系やWavelet系などの画像処理でもかなり細部が見えてきますよ。元画像はたくさん撮ってたくさん重ね、極力滑らかに仕上げてくださいませ。
左画像は13日にNKさんが撮影した彗星のL画像を強調したもの。いちばん左寄りの明るい筋はイオンテイルと思われ、幅が変化したり左右に揺れたりしているのが分かるでしょう。風景を入れた広角星景画像もいいけれど、200mm以上2000mmくらいまで様々な焦点距離でも撮ってみてください。
尾の流線を撮り出すならNAFEなどの専用ソフト、核近傍の構造なら定番のLarson-Sekaninaフィルターが良いでしょう。もちろんシャープ系やWavelet系などの画像処理でもかなり細部が見えてきますよ。元画像はたくさん撮ってたくさん重ね、極力滑らかに仕上げてくださいませ。
地球が紫金山・アトラス彗星の軌道面通過&今日の太陽 ― 2024/10/15
本日は夜明けまで曇っていたものの、朝から急回復しています。雲は残っていますが深い青空が気持ち良い。今夜の十三夜(後の月)もきれいに見えることでしょう。
「アンチテイルがよく見える」と大騒ぎ(?)になってる紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)ですが、今日時点の軌道要素で計算すると、地球が彗星軌道面を通過したのは2024年10月14日12:50UTC、つまり昨夜21:50JSTごろでした。ちょうどこの瞬間、薄い平面状に拡散しながら太陽へゆっくり落ちて行く(あるいは吹き飛ばされて行く)ダストを真横から見る位置関係だったのです。
SOHO画像は地心から見た状態と若干ズレますが、できるだけ近い時刻のSOHO・LASCO-C3カメラ画像を見ると左画像のとおり(説明付きは右下画像)。軌道面に沿って分布するダストの輝きが、まるで太陽を貫く光線のようになっていました。これには感動!C2カメラでも見えてますので下A・B画像に掲載しておきます。
彗星は太陽を中心(焦点)にして回る…つまり軌道面は太陽を横切っています。この彗星軌道面が地球軌道面を横切る「昇交点」または「降交点」の向き(line of nodes)に地球が通りかかったとき、太陽-交点-地球が直線になるのですね。 (※今回は昇交点側。)画像から筋の傾斜を測ってみると139.3°。いっぽう軌道要素の軌道傾斜角は139.1105°。基準分点の僅かな違いはあるけれど、ほぼ一致しました。SOHO画面の彗星通過は何種類も見てましたが、ダスト面の通過は今回が初めてなんだろうかと興味が湧きました。時間を作って過去彗星も調べてみたい。それにしても普段は解説図やCGでしか目にしないものを実際の画像で見ることになろうとは。生きてて良かった。
なお厳密には太陽中心に彗星が公転するのではなく「太陽系重心」が焦点になると言ったほうが正確でしょう(→2020年12月25日記事参照)。次回来年4月11日0時UT頃にまた軌道面を通過しますから、運良くダストがまだ平面上に濃く滞留してるとすれば名残みたいなものが見える可能性はあるけれど、ほとんど残っていないでしょうねぇ。
さて、本日の太陽。左は9:20ごろの撮影です。左半球にできた小黒点を有する活動領域13857・13858はうっすらプラージュが明るくて期待できるかな?中央を過ぎた13852・13854も明るいですね。
右上のダークフィラメントがもうすぐ見えそうで楽しみですが天気が持つかどうか怪しい。左端やや下にも大きなプロミネンス見えてきました。
ここに「アンチテイル」が光って見えたら面白いんですけどねぇ。
「アンチテイルがよく見える」と大騒ぎ(?)になってる紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)ですが、今日時点の軌道要素で計算すると、地球が彗星軌道面を通過したのは2024年10月14日12:50UTC、つまり昨夜21:50JSTごろでした。ちょうどこの瞬間、薄い平面状に拡散しながら太陽へゆっくり落ちて行く(あるいは吹き飛ばされて行く)ダストを真横から見る位置関係だったのです。
SOHO画像は地心から見た状態と若干ズレますが、できるだけ近い時刻のSOHO・LASCO-C3カメラ画像を見ると左画像のとおり(説明付きは右下画像)。軌道面に沿って分布するダストの輝きが、まるで太陽を貫く光線のようになっていました。これには感動!C2カメラでも見えてますので下A・B画像に掲載しておきます。
彗星は太陽を中心(焦点)にして回る…つまり軌道面は太陽を横切っています。この彗星軌道面が地球軌道面を横切る「昇交点」または「降交点」の向き(line of nodes)に地球が通りかかったとき、太陽-交点-地球が直線になるのですね。 (※今回は昇交点側。)画像から筋の傾斜を測ってみると139.3°。いっぽう軌道要素の軌道傾斜角は139.1105°。基準分点の僅かな違いはあるけれど、ほぼ一致しました。SOHO画面の彗星通過は何種類も見てましたが、ダスト面の通過は今回が初めてなんだろうかと興味が湧きました。時間を作って過去彗星も調べてみたい。それにしても普段は解説図やCGでしか目にしないものを実際の画像で見ることになろうとは。生きてて良かった。
なお厳密には太陽中心に彗星が公転するのではなく「太陽系重心」が焦点になると言ったほうが正確でしょう(→2020年12月25日記事参照)。次回来年4月11日0時UT頃にまた軌道面を通過しますから、運良くダストがまだ平面上に濃く滞留してるとすれば名残みたいなものが見える可能性はあるけれど、ほとんど残っていないでしょうねぇ。
さて、本日の太陽。左は9:20ごろの撮影です。左半球にできた小黒点を有する活動領域13857・13858はうっすらプラージュが明るくて期待できるかな?中央を過ぎた13852・13854も明るいですね。
右上のダークフィラメントがもうすぐ見えそうで楽しみですが天気が持つかどうか怪しい。左端やや下にも大きなプロミネンス見えてきました。
ここに「アンチテイル」が光って見えたら面白いんですけどねぇ。