厚雲越しの月食観察2021/05/27

20210526-2059月食
大方の予想通り、昨夕の当地・茨城は絶望的な雲行きでした。月食が見える南東方向以外にちょっと晴れ間があることがじれったい…。月が昇ったであろう時間はわずかな夕焼けしか見えず、暗くなっても星が見えてきませんでした。

住宅が密集している我が家からは月出帯食が全く見えないため、当初は近場の見晴らし良い公園へ出かける予定でしたがキャンセル。自宅待機に切り替え、雲間からちらっと月が見えることを期待して15分おきくらいに庭へ出て空を仰ぎました。

皆既が終わる頃までどこに月があるかすら分からない雲厚でしたが、20:30過ぎに若干明るい光を発見。双眼鏡でしつこく見ているうちに、ようやくぼんやりした月の輪郭が見えてきました。ひょっとしたら撮影ができるかもと思い、望遠カメラ一台のみ用意して傍らにセット。21時少し前にようやく最初のワンショットを撮ることができました。

かなりの雲が通過して一枚ごとに条件が変わってしまうため、5枚から10枚連射して平均化してあります。左上画像は20:59ごろ、右下画像は21:12ごろのシーン。少しオーバー気味に撮って地球影に隠れている部分の赤味を写し取るようにしました。画像上方向が概ね天頂方向です。

20210526-2112月食
月が拝めるのは10分に1回も無い頻度でしたが、こんなに雲が垂れ込めていても見えるものなんだなぁと空に感謝。本影食が終わる頃まで双眼鏡片手に5、6回程度楽しむことができました。ホタルが全然飛ばない田んぼで、ようやく一匹見つけたような感動です。

下A画像は本影食が終わる少し前の様子。もう影部分に赤味は感じません。隣家や樹木、電線を包むように、周囲に淡い月暈が出ていました(下B画像)。星が見えないため昼間の内暈と変わらない景色です。このあとあまり時間をおかずに月は雲にのまれていきました。まん丸に戻った段階でセンタームーンを確かめたかったのですが残念…。皆既中が見えなかったことが心残りですが、少しでも楽しめて本当に良かった…。

今年は11月19日18時頃から二回目の部分月食があります(下C図参照/NASA-Eclipseサイトから引用)。部分と言っても食分が0.978もあり、今回の皆既月食(食分1.015)とほぼ変わりません。(※食分1以上なら皆既、未満なら部分)。しかも、またしても月出帯食!東北地方北部より北では月の出直後から本影食が始まります。今回よりかなり北寄りでプレアデス星団と一緒に登りますから、意識して早めにロケハンしておきましょう。なお次回日本から見える皆既月食は2022年11月8日で、お天気さえ良ければかなりの好条件。皆既中になんと月が天王星を隠す掩蔽現象起こります。(※東南アジア付近では天王星が皆既中の月をかすめる接食掩蔽になります。極めてレア!)

  • 20210526-2149月食

    A.21:49ごろ
  • 20210526月暈

    B.月暈
  • 20211119月食図

    C.11月19日の月食図


20210526準センタームーン
不鮮明で十分な精度が出ないことを承知の上で、上記21:49の画像を使いセンタームーン度合いを確認してみました。

いくつかの主要クレーターをたよりにチャートを重ねると左のようになります。撮影時点で、見かけの月面中心と真の月面中心(月面座標原点)の差は1.461°。おおよそ月面の東西方向ににずれています。(厳密には方位角が東西から反時計回りに9.732°ずれています。)

1°以上ずれていますから『準センタームーン』とでも呼ぶべき状態ですが、過去2年以上ここまで近くなったケースはありません。そういう意味でかなり貴重な月食でしたね。



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