今日の太陽と国際宇宙ステーション太陽面通過2021/04/01

20210401_国際宇宙ステーションの太陽面通過
4月初日は“太陽漬けの一日”になりました。

まず、本日昼過ぎに近所で「国際宇宙ステーションの太陽面通過」があることをphoto.nomataさんのブログ経由で5日ほど前に知り、これは久々に見たいと思ったのが始まりです。身体障害のため自力移動は困難なので、星仲間のdocanさんに声をかけて総勢ふたりの観測隊を結成、通過予定の場所まで連れて行ってもらいました。

午前中の曇り空はどこへやら、昼からはカンカン照りの空。汗ばむくらいの陽気です。霞ヶ浦湖畔の予報中心線至近にちょうどよい空き地を見つけ、機材を構えました。ふたりとも軽量赤道儀に高倍率ズームという、「一見して天体観測に見えない」「鳥でも撮ってるんじゃない?」というデジスコ未満のスタイル。これでも太陽フルディスクがセンサーいっぱいに写るのですから、時代の進歩は容赦ないですね。

20210401国際宇宙ステーションのシルエット
今回は個人的に初めて4K動画で記録しました。画像上方向が概ね天の北方向です。霞ヶ浦を渡る東風が機材を揺らしたものの、なんとか傘を使ってブレを最小限に抑えました。結果は良好で、左上画像のように通過するISSを鮮明に捉えました。ただ、直前の予報を確認の上で中心線位置に陣取ったのに、結果として数百メートル北側で撮ったかのように、ISSが南にずれたのが不可解です。(予報はISS TRANSIT FINDERサイトによる。)

数日間は軌道変化をトレースしてたので南下しているのは分かっていましたが、直前予報に対してここまでズレてしまったのは初めて経験しました。高度調整やドッキング時期などの際は大幅に高度が変わるので、何かがバッドタイミングだったのかも知れません。(※ISSは常に大気抵抗にさらされているため、時々高度を持ち上げてやらないと落下してしまいます。この「持ち上げる」ときに軌道が少し変化します。)

20210401太陽
帰宅後のころ雲が増えてきましたが、雲間を縫っていつもの太陽観測を行いました。左は15:10頃の撮影。活動領域12811・12812は健在ですが、12811はほぼリムに到達し、12812も数日内に裏へ回るでしょう。ところどころに小さなプロミネンスも見えました。

20210401太陽リム
上のISS通過画像でも無黒点なのが分かりますが、12811・12812の白斑は薄く見えています。ご注意いただきたいのは、「太陽自転軸の見かけの方向は天の南北に対して揺れ動いてる」という事実(下A図参照)。

この太陽Hα画像が太陽北極を画像上にしているのに対し、ISS通過画像は天の北が上なので、26°あまりISS画像を反時計回りしないと双方の向きが一致しません。今は天の北と太陽自転軸の方向角ズレが一番大きい時期なのです。一見して“のっぺらぼう”が故に向きが分からないという悩み。正確な対比の際に注意しなくてはいけません。

夕方には淡く広がった巻雲が幻日を映し出しました。左右とも見えていましたが(下B画像)、右画のほうがはっきりしていました(下C画像)。まさに何人もの仲間に支えられて太陽づくしの一日を楽しむことができました。これでビタミンDも万全かな!?…ともあれ、ご協力いただいた全ての方に深く感謝いたします。

  • 2021年・日面方向角の変化

    A.2021年・日面方向角の変化
  • 20210401_夕空の幻日

    B.夕日と幻日
  • 20210401_幻日(太陽右側)

    C.右の幻日


参考:
アーカイブ:ISSの天体面通過

今日の太陽2021/04/02

20210402太陽
昨夜はべた曇り。今日未明から少しずつ晴れ間が出てきました。朝からは快晴、午後はやや雲が多くなっています。

20210402太陽リム
左は9:30過ぎの太陽。活動領域12811・12812は右上リムぎりぎりです。黒点は見当たらず。右下リムに明るく小さなプロミネンスがある他、何ヶ所か小さなものが見えてます。

20210402-0432UT_SOHO-LASCO-C3
金星は外合を一週間ほど過ぎました。太陽観測衛星SOHOからLASCO-C2カメラ写野外になったため、より広角のC3カメラのみが捉えています(右画像)。このまま今月25日ごろまで写っているでしょう。写り始めは2月22日頃でしたから、実に二ヶ月間。内惑星と言えど、さすがに外合中の移動はゆっくりですね。

三重の中村さんと山形の板垣さんがそれぞれ新天体発見2021/04/03

20210402_TCP J06161010+1243200
三重県の中村祐二さんが3月31日21時半前、オリオン座に13.7等の突発天体を発見したそうです。明日日曜から雨予報で、既にゆっくり下り坂のお天気でしたが、撮影してみることにしました。

この時期のオリオン座は早い時間に西空低くなってしまいます。西側に2階建てアパートがある自分の観察場所(駐車場)からは、早い時間に撮影しないと写せません。不幸中の幸いで、突発天体はオリオンのいちばん東寄りだったため、天文薄暮中から開始して1時間あまり露出することができました。

発見等級が13.7等なのでモニターでも見えるだろうと思ったら、全く見えません。同夜に撮影した星仲間の(の)さん測定によると17.8等まで減光していました。明るい期間はほんの1日程度だったようです。まるでエイプリルフールに合わせたかのようだ…

中村さんの突発天体を撮影終了する頃から雲の飛来が多くなり始めました。フラット画像を撮った後機材を片付け、室内で画像処理を始めつつ(の)さんの天文情報をチェックしたら、なんと山形の板垣公一さんが4月2日20時前、りゅう座のNGC3147に17.7等の超新星候補天体AT2021hprを発見したとのこと。うわぁ、望遠鏡撤収しちゃったよ…。

20210403_AT2021hpr in  NGC3147
まぁ撮影したくともべた曇りだったからなすすべもなかったんですが、夜半を過ぎた頃から微妙なタイミングで晴れ間がやってきたのです。来週頭は悪天だから撮っておきたいなぁ…でも今日朝イチで通院だから寝たいなぁ…どうしようかなぁ…とモヤモヤ。結局、再度機材を組み立て、撮影開始。ところが3コマ撮影したところで完全に曇ってしまい、朝まで回復することはありませんでした。

右画像はその3枚のみで仕上げたAT2021hpr。発見からおおよそ6時間後です。もともと暗い上にコマ数が少なくS/N比が悪いため、星なのかノイズなのかよく分かりません。ホスト銀河もしょぼい写りです。いちおう発見位置はほんのり明るく、そこにマーカーを入れてあります。これはリベンジ再撮影したいですね。

(余談)これで終わりかと思いきや、通院から帰ってみると(の)さんから「また中村さんが突発天体発見」というニュース。これはいずれあらためて。

板垣さん発見の超新星に再挑戦2021/04/04

20210403_SN2021hpr in NGC3147
昨日午前は晴れ間があったものの、昼ごろから次第に雲が厚くなりました。このまま一気に崩れるんだろうかと心配になったけれど、時折思わせぶりに日がさします。

日没段階では雲量が八割を越えていたので、残念ながら中村さんの突発天体発見(おおいぬ座)は写すことができませんでした。少しの仮眠後に再確認すると、今度は晴れに転じています。押し問答してるみたいな空模様…。

20210403n_double SN in NGC3147
一晩前に3コマしか撮影できなかった板垣さんの超新星候補天体AT2021hprが南中を過ぎて良い位置だったので早速撮影開始。夜半過ぎにはまた雲に覆われたけれど、それまでたっぷり露出できました(左上画像)。分光されたようで、TypeIとのこと。晴れてAT2021hprからSN2021hprになりました。

(追記)この画像に、今年発見された別の超新星も写っていたことが発覚!(右画像/反転処理。)