雲間に見えた半影月食 ― 2016/09/17
中秋の名月は15日でしたが、今朝4時過ぎに月は満月を迎えました。そして、このタイミングで半影月食が起こりました。
月食は月が地球の影に入ってしまう現象です。大きいとは言え地球も不透明な物体ですから、太陽に照らされれば反対方向に影が伸びます。通常この影はなかなか意識できませんが、昼間明るく見える空(大気)が地球の影に入ることで明るさを失い、それを私たちは「夜」として認識できますね。 影は更に遠くまで伸び、地球を周回する月に届くこともあります。すると月を照らす太陽光が一時的に減少し、月食が起こるわけです。
太陽は大きさを持っているので、太陽による影は縁が少しぼやけます。程度の差はありますが、電球や蛍光灯の影がぼやけるのと一緒です。通常私たちが見る数メートルの範囲なら影のボケはほとんど分かりませんが、地球と月(距離は約38万km)といった遠距離だとぼやける幅もかなり広がります。
はっきりした境界があるわけではありませんが、計算上太陽が全く当たらない範囲を本影、少しだけ当たる範囲を半影と呼びます。影の縁のぼやけた部分がまさに半影なのです。模式的に描いた右上図では、ABの範囲が本影、CDの範囲は半影ですね。ABの幅はどんなに遠くに伸びてもほぼ変わらないのに、CDは遠いほど大きくなるのがポイント。また必ず本影は半影の内部となり、またCからA(DからB)に向かうにつれて影が濃くなります。
今日明け方の月食は右下図の通りです。このように半影に入るけど本影に入らない月食を半影月食と呼ぶのです。今回は2時前から月が半影に入り始め、6時前には半影から出ました。(ただしもう月は沈んでいます。)月が本影に一番近かったのは4時前後。今回は本影に近いため、かなり暗くなる半影月食として期待していました。
当地・茨城県は昨日から雲が多かったのですが、念のために望遠鏡を出しておきました。16日の22時台に雲が途切れる時間があり、霞み越しながら美しい月を見ることができました。
夜半にはまた曇ってしまいましたが、幸運にも月食中の2:45頃と3:15頃の2回、月が雲間に顔をのぞかせました。左画像は3:15のもの。左上が半影で暗いのが分かります。(雲の影響もありますが、十数枚コンポジットして薄雲による減光を均してあります。)
上の図と比べると暗い方向が違うように見えますが、上図が上下を天の南北に揃えているのに対し、左画像は月の自転軸を上下にしているからです。参考までに撮影時刻の星図を左画像に揃えると右図のようになり、暗くなった方向が正しいと分かるでしょう。
参考:
連続する半影月食のヒミツ(2016/8/17)
日食とペアになる月食(2016/3/10)
月食は月が地球の影に入ってしまう現象です。大きいとは言え地球も不透明な物体ですから、太陽に照らされれば反対方向に影が伸びます。通常この影はなかなか意識できませんが、昼間明るく見える空(大気)が地球の影に入ることで明るさを失い、それを私たちは「夜」として認識できますね。 影は更に遠くまで伸び、地球を周回する月に届くこともあります。すると月を照らす太陽光が一時的に減少し、月食が起こるわけです。
太陽は大きさを持っているので、太陽による影は縁が少しぼやけます。程度の差はありますが、電球や蛍光灯の影がぼやけるのと一緒です。通常私たちが見る数メートルの範囲なら影のボケはほとんど分かりませんが、地球と月(距離は約38万km)といった遠距離だとぼやける幅もかなり広がります。
はっきりした境界があるわけではありませんが、計算上太陽が全く当たらない範囲を本影、少しだけ当たる範囲を半影と呼びます。影の縁のぼやけた部分がまさに半影なのです。模式的に描いた右上図では、ABの範囲が本影、CDの範囲は半影ですね。ABの幅はどんなに遠くに伸びてもほぼ変わらないのに、CDは遠いほど大きくなるのがポイント。また必ず本影は半影の内部となり、またCからA(DからB)に向かうにつれて影が濃くなります。
今日明け方の月食は右下図の通りです。このように半影に入るけど本影に入らない月食を半影月食と呼ぶのです。今回は2時前から月が半影に入り始め、6時前には半影から出ました。(ただしもう月は沈んでいます。)月が本影に一番近かったのは4時前後。今回は本影に近いため、かなり暗くなる半影月食として期待していました。
当地・茨城県は昨日から雲が多かったのですが、念のために望遠鏡を出しておきました。16日の22時台に雲が途切れる時間があり、霞み越しながら美しい月を見ることができました。
夜半にはまた曇ってしまいましたが、幸運にも月食中の2:45頃と3:15頃の2回、月が雲間に顔をのぞかせました。左画像は3:15のもの。左上が半影で暗いのが分かります。(雲の影響もありますが、十数枚コンポジットして薄雲による減光を均してあります。)
上の図と比べると暗い方向が違うように見えますが、上図が上下を天の南北に揃えているのに対し、左画像は月の自転軸を上下にしているからです。参考までに撮影時刻の星図を左画像に揃えると右図のようになり、暗くなった方向が正しいと分かるでしょう。
参考:
連続する半影月食のヒミツ(2016/8/17)
日食とペアになる月食(2016/3/10)