まだ油断できないサイクロン「WINSTON」2016/02/23

20160223-1200サイクロン・WINSTON
二日前、2月21日の記事で取り上げたサイクロン「WINSTON」は、報道されているとおり大きな被害をもたらしたようです。台風そのものは弱まっていると聞きますが、現在はどうなっているでしょうか。

左は本日12時JSTの象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線は筆者)。実は雲の渦の大きさを見ると二日前より大きくなっています。21日記事の画像と縮尺をそろえていますので比べてみてください。赤丸はサイクロン中心の半径500km円です。

フィジー気象局がメディア向けに発表した資料を読むと、このサイクロンの中心付近の気圧は14日955hPa、16日985hPa、18日953hPa、20日917hPa(この時に大きな被害、瞬間最大風速は90m/s)と、短期間で大きく上下したようです。いまはゆっくり高緯度に向かうコースに入ったため、全体としては気圧が上がって風も弱まってくると思います。でも短期的には強弱の変動が続いており、強風域が小さくなったり大きくなったり落ち着きません。

20160223-1400サイクロン・WINSTON
サイクロン付近のみ切り出したのが右画像(時刻は本日14:00JST)です。これも21日記事の拡大画像と縮尺をそろえています。台風の目ならぬ「サイクロンの目」が無くなったので確かに弱まっていることが分かりますが、全体的な雲の渦はひとまわり大きくなりました。まだしばらくは警戒が必要そう…。

左下図は本日9:00JST時点の経路&予報図(NRL Tropical Cyclon/JTWCより引用)です。フィジーの位置に注目すると、サイクロンは島から見て西、南、東それぞれの方向から三回に渡って接近しました。

20160223-0900サイクロン・WINSTON経路予想
そして今現在も島の西から四度目の接近をしている最中です。台風の雲がまだ島にかかっていますから油断できませんね。フィジー以外でも、日本でよく耳にする主だった島々の名称を経路図に書いておきました。フィジーのニュースが多いですが、他の島で被害は出ていないのか心配です。

予報通りなら25日頃には島が少ない海域に通り抜けていると思いますが、強風域はむしろ大きくなっていますね。これ以上被害が大きくならないことを祈っています。

参考:
サイクロン「WINSTON」の成れの果て(2016/03/04)