間もなく最長記録となる黒潮大蛇行2022/03/26

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「黒潮大蛇行」の継続期間が歴代2位の長さになった記事を書いたのは、国内でコロナウイルス感染が急速に拡大を始めた2年あまり前、2020年3月8日のことでした。その後多少の変動はあったものの今もまだ継続しており、来月まで続けば歴代1位となる4年9ヶ月目に突入します。

本来は日本列島の太平洋沿岸に沿って流れる黒潮が、四国や本州の紀伊半島、東海沖で南に大きく離岸する現象が黒潮大蛇行です。厳密には次の2つの事象が同時発生することが判断基準になります(→参考:気象庁サイト)。

  • 潮岬で黒潮が離岸している。(串本と浦神の潮位差が小さい値に安定している。)
  • 東海沖(東経136~140度)での黒潮流路の最南下点が北緯32度より安定して南に位置している。

人工衛星などから直接海流を観るのは困難ですが、日本付近の冷たい海に温かい黒潮が流れ込む様子なら(雲に邪魔されない限り)赤外線センサーを使って捉えることができます。(直射日光に曝されない夜のほうが見やすい。)左上画像はきれいに晴れた一昨日24日21:00に気象衛星ひまわりが撮影したバンド7画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。この画像は冷たいところ(雲頭頂・雪・海氷・冷えた地面など)が暗いグレーや黒・緑、温かいところは明るいグレーに表示されています。紀伊半島から東海地方の南海上に“墨流し”のように暗く写っている部分が海表面の低温域。温かい黒潮はその南に見える明るい部分に沿って流れていると解釈できます。ずいぶん離岸していることが分かるでしょう。JAMSTECの予報を見る限り、この状態はまだしばらく続きそうです。

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気象庁から発表されている2021年12月までの「東海沖の黒潮流路最南下緯度」および「串本と浦神の潮位差」をグラフにしたので下に掲載しました。詳しく見ると2020年10月に最南下緯度が33.0°まで戻った時期がありました。右は2020年10月1日21:00のひまわり画像。この年の10月は太平洋側の雲がなかなか晴れなくて、この日くらいしか全体を見渡せませんでした。

海面温度の変わり目をよくよく辿ると、紀伊半島沖ではそれなりに離れているのに遠州灘沖の離岸(と思われる場所)は緯度にして1°程度。大蛇行の目安とされる八丈島(北緯約33°6.6′)よりも高緯度ですね。でも海流は復帰すること無く大蛇行位置まで戻ってしまいました。さてこの黒潮大蛇行、いったいどれだけ継続するでしょうか?もしや、このまま復帰しないとか…!?

  • 東海沖の黒潮流路最南下緯度

    A.東海沖の黒潮流路最南下緯度
  • 串本と浦神の潮位差

    B.串本と浦神の潮位差


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