ガリレオ衛星密集イベントは雲に阻まれる2024/01/03

20240128-202338ガリレオ衛星トライアングル
本日1月3日宵に木星の四大衛星がとても狭い範囲に集う予報を出していました。当地・茨城県南部は日没後30分後頃まで雲間から木星が見えていたものの、その後は二方向からやってきた雨雲に阻まれてしまいました。早くに機材をセットしていましたが無駄になってしまいました。

ガリレオ衛星配置関連として次の注目は今月28日の「エウロパ・ガニメデ・カリストが正三角形に並ぶ」イベントでしょう。三辺が揃うのは20:23:38頃の予定です。

この組み合わせでの正三角形は2023年11月14日にも発生しましたが、今回は三辺離角が前回より更に揃っており、また三角位置が木星にとても近いです(左上図/Stellariumによるシミュレーション)。倍率が低い眼視や電子観望などでは木星本体とガニメデが一体化してしまうかも知れませんからご注意を。兎にも角にも晴れたらぜひご覧になってください。

参考:木星の衛星配列に関する記事
またガリレオ衛星が密集しました(2023/12/10)
またまたガリレオ衛星が正三角形になりました(2023/11/15)
木星の衛星が正三角に並びました(2023/10/30)
ガリレオ衛星が狭い範囲に並ぶ(2023/09/26)
久しぶりに木星衛星がきれいな三角を作る(2023/09/10)
再びきれいな三角形に並んだガリレオ衛星たち(2022/11/19)
きれいな三角形を作ったガリレオ衛星たち(2022/10/01)


またガリレオ衛星が密集しました2023/12/10

20231209木星とガリレオ衛星3
昨夜は2023年9月26日記事に予報した通り、木星の四大衛星が狭い範囲に集合する様子を見ることができました。ただ、当地は夕方から湧きだした雲が段々厚くなり、苦戦を強いられてしまいました。

左は撮影したなかで最も密集度が高かった21:09のショット。シーイングは想像より良かったものの、ひっきりなしに襲いかかる雲によって像の明るさが恐ろしいほど上下しました。破綻せずにうまく一枚にまとまって良かった…。前回見た9月26日よりもずっと密集しており壮観でした。左側にチラッと大赤斑が顔を出し始めています。

木星の左下、一番近いエウロパはこのあと木星の前面通過を開始し、これをもって「四つの衛星が木星から独立して見える状態」は終了しました。前述記事内の予報では最小離角日時が22:00と書いてありますが、これは木星に重なることを許容した場合です。なおエウロパが前面通過を終えて再出現したあとも密集は続き、最終的に10日0:30ごろイオが木星に隠されるまで継続しました。(当地はそのころまでずっと曇ってました…)

下A・B画像は18:26ごろと20:20ごろの様子。18時台はまだシーイングが安定せず、木星細部が見えませんでした。衛星配置も倍くらい広がっていますね。20:20のショットは木星本体にガニメデの影が投影されています。衝をずいぶん過ぎたため、太陽は木星の右方向から照らすようになりました。木星本体の影も向かって左側に出るようになっています。衝の頃と比べ随分小さく暗くなりましたね。

次回は年が明けた1月3日宵に今回より更に狭いチャンスがあります。ただし条件はシビアで、ガニメデが木星の裏側から顔を出すと同時にエウロパが木星前面の通過を開始する瞬間を狙わなくてはなりません。お正月真っただ中ではありますが、天気とお時間が許すなら是非望遠鏡を向けてください。

  • 20231209木星とガリレオ衛星1

    A.18:26ごろ
  • 20231209木星とガリレオ衛星2

    B.20:20ごろ


参考:木星の衛星配列に関する記事
またまたガリレオ衛星が正三角形になりました(2023/11/15)
木星の衛星が正三角に並びました(2023/10/30)
ガリレオ衛星が狭い範囲に並ぶ(2023/09/26)
久しぶりに木星衛星がきれいな三角を作る(2023/09/10)
再びきれいな三角形に並んだガリレオ衛星たち(2022/11/19)
きれいな三角形を作ったガリレオ衛星たち(2022/10/01)


虹の入り江が美しい2023/11/24

20231123虹の入り江、プラトー、雨の海
昨夜は少し雲が通過する程度の快星。パッと見た目には安定していましたが、望遠鏡で月惑星を見ると前夜ほどの好シーイングではありませんでした。それでもついついじっくり見てしまうのが天文屋の性。

撮影したなかから月面を四枚掲載しました。左画像はおなじみ虹の入り江からプラトーにかけて。入り江はもう少し前、半分くらい影になっていたほうが好みなのだけれど、入り江の奥までようやく光が届いたこのような景観も素晴らしい。湾の北側には「小さな月面X」が鮮明に見えています。上弦側では白X、下弦側では黒Xになります。

プラトー谷もきれいに伸びていますね。クレーターを挟んで反対側にも小さな谷が見えるのですが名前が分かりません。雰囲気はアペニン山脈のコノン谷に似てます。別構図で撮ったものでは、アルプス谷のなかの細い谷があまり見えませんでした。シーイングの影響も大きいけれど、月齢が進み影ができにくくなったのでしょう。画像右下、アリスティルスからの光条が目立つようになりました。

20231123ティコ、クラヴィウス、ロンゴモンタヌス
こちらは南部の様子。中央の上下にティコとクラヴィウスが並んでいます。クラヴィウスの北西側にも細身の小さなX地形が見えるのですが、やや不完全。画像左上、ハインツェルの内部はまだ夜のようです。その下のミーも暗いですね。シラーの向こう岸が少し光ることを期待していたのですが、ほとんど見えませんでした。多分数時間見ていれば見えたのかも知れません。

南極付近まで構図に入れたのですが、モレトスを見るとずいぶん潰れていて、秤動が不利なのだと分かります。ニュートンあたりは辿れませんね。クラヴィウスのすぐ上にマギヌスが明るく見えています。これだけ明るいと、いったいどこがマギヌスの魔女のパーツなのか分かりづらいでしょうか?

下A・B画像二枚は上画像の一部を含む縦構図の画像。Aは虹の入り江の南東に広がる雨の海。ひと晩前にも見えた溶岩流の別ポイントが見えるかと期待しましたが、思ったほど写りは良くありません。大気の細かい振動が多かったのでそのせいなのかどうか…。オイラー北側などの溶岩流は位置が分かっているので凝視すれば見えるけれど、明確じゃありません。なんとか炙り出す方法はないものでしょうか?月面N付近はすっかり明るくなりました。

Bはブリアルドゥスやカプアヌス、そしてハインツェルあたり。明暗境界から離れてしまいましたが、キースπやカプアヌス内のドームが確認できます。そう言えばひと晩前(22日宵)にはキースπがちょうど明暗境界にあったのを思い出しました(下C画像)。画像左辺やや下、卓球ラケットのようなキースを特定できると、その左に寄りそう小さな小高いドームが分かるでしょう。ヒッパルス谷やラムスデン谷もクッキリしてますね。アヒルの親子も夜明けです。

  • 20231123虹の入り江、雨の海、カルパチア山脈

    A.虹の入り江から雨の海をのぞむ
  • 20231123ブリアルドゥス、カプアヌス、ハインツェル

    B.雲の海西部から病の沼付近
  • 20231122雲の海

    C.22日の雲の海付近


20231123木星
調子に乗って月の東に輝いていた月も撮影してみました。これと同じフォーマットでの撮影は10日ぶりでしたが、導入して真っ先に感じたのは「小さくなってる」ということ。衝の頃に比べて小さいのは当たり前ですが、10日見てないと大きさの変化が分かるのかと自分にビックリ。

シーイングはやはり細かな揺れが大きいけれど、ときどき落ち着いた模様が見えました。大赤斑に続いているふたつの明るい模様や、大赤斑とほぼ同じ経度にあるNEBとEBの境目の明るいところなどよく見えました。NTBの細い筋とか極域の細かい渦は全く写りませんね…。晩秋や初冬はこのあたりが分解能の限界みたいです。

【情報】あまり興味を持つ方は少ないでしょうが、今夜半過ぎ(25日0:30ごろから1:00ごろまで)、イオの影が木星の大赤斑を通過する「きょろきょろジュピター」が見えます。前回私が見たのは8月9日未明でした。

またまたガリレオ衛星が正三角形になりました2023/11/15

20231114木星と衛星トライアングル
昨宵は木星の四大衛星のうち「エウロパ・ガニメデ・カリスト」の三つがほぼ正三角形に並ぶ予報の日(→2022年10月1日記事参照)。ところが天気予報は下り坂で、現象時刻に曇ってしまう予報でした。それでも雲越しに観察できたらと早い時間から望遠鏡を組み立てて待機。幸い日没後しばらくは雲量1割程度でした。

三つの衛星が作る三辺の離角がもっとも揃う時刻は20:37:03。このときの離角はそれぞれ58.106秒角、57.784秒角、59.335秒角です。18:40過ぎには木星の影に食されていたガニメデが出現する様子も見え、このときは大赤斑も見えていました。早くからご覧になっていた方は「三角を作る衛星が足りないんじゃないか?」と心配になっていたかも知れませんね。予定の1時間ほど前になると雲が増えてきましたが、うまい具合に木星の輝く方向は避けてくれているようです。しかも現象時刻前後はとてもよいシーイングになり、素晴らしい眺めを楽しむことができました。左上画像は20:37.0をデローテーション中心時刻として仕上げた一枚。木星左上がガニメデ、左下がカリスト、一番離れているのがエウロパです。今まで見てきた中では正三角形が最も木星に近いパターンでした。

衛星の動きが分かるよう、30分前と30分後にも撮影しました(下A・B画像)。わずかな時間に衛星配置がかなり変わっていることが分かるでしょう。もちろん木星の模様位置もずいぶん回転してしまいました。ちなみに衛星と木星本体は別撮りではなく、ROI(撮像領域)を広く設定してまとめて撮影しています。30分後のシーンを撮り終える頃から雲が木星付近を通過し始め、シーイングもガクッと悪くなりました。数時間後には雨まで降り出す始末。間一髪での観察大成功でした。

次のチャンスは来年2024年1月28日20:23:38ですが、その前に1月3日19:23:10にも「エウロパ・ガニメデ・カリスト」の準三角形があります。ただしこのときエウロパは木星前面に重なっているため、今回のように「木星と独立した空間での準正三角形」には見えません。また、三辺離角の偏差が若干大きいので、観察眼が鋭い方には正三角形というより二等辺三角形に見えるかも知れません。そう言うのも含めてバリエーションを楽しみたいと言う方はぜひご覧になってください。

  • 20231114木星と衛星トライアングル(現象30分前)

    A.正三角形になる30分前
  • 20231114木星と衛星トライアングル(現象30分後)

    B.正三角形になってから30分後


参考:木星の衛星配列に関する記事
木星の衛星が正三角に並びました(2023/10/30)
ガリレオ衛星が狭い範囲に並ぶ(2023/09/26)
久しぶりに木星衛星がきれいな三角を作る(2023/09/10)
再びきれいな三角形に並んだガリレオ衛星たち(2022/11/19)
きれいな三角形を作ったガリレオ衛星たち(2022/10/01)