土星の環の傾斜が間もなく極小を迎えます2025/06/28

20250628土星
昨夕は雲が多く、月と水星の接近は全く見えませんでした。曇り空は未明まで続きましたが、薄明が始まるころ奇跡的な晴れ間が訪れ、土星や金星を拝むことができました。

左画像は天文薄明ごろ撮影した土星。高度はもう40°近くに達し、時々雲がかかった時以外はシーイングがとても良い空でした。本体の縞模様もたくさん見えます。本体に落ちた環の影、環に落ちた本体の影、環の中のカッシニの間隙も分かるようになりました。


実は地球から見た環の傾斜角は間もなく7月7日UT(日本時間で8日5時前ごろ)に今期の極小を迎えます(右下図参照)。残り10日ほどですね。極小と言っても傾きが最小になると言う意味ではなく、マイナス側(環の南面が見える側)に極大ということ。つまり環の南面が今年もっともよく見える状態になるのです。ついこの前「環が消失した」などと言ってたのに、早いものですね。梅雨明けがかつてないほど早まってしまったので、明け方晴れるチャンスが多くなるでしょう。七夕の夜はちょっと夜更かしして、是非とも観察してください。

2025土星の環の傾斜
そのあとは11月24日UT(25日3時JSTごろ)に環の傾斜が極大となり、しかも傾斜角が0°に近いため「ほぼ真横から見る」状態になります。また右図に示した通り「環から見た太陽高度が4°を下回る期間」が終わりを迎え、この頃を境に環の明るさが本体並または本体より明るくなることが期待できます。

つまり11月下旬の環は冒頭画像よりずっと明るくて薄っぺらな状態なのです。更には環から見た太陽高度が今よりも大きくなるため、本体に落ちる環の影がしっかりと面積を持って見えるようになるでしょう。夏から冬までの大きな変化を見逃すのはもったいないですよ。

露出を長めにして衛星も撮ってみました(下A画像)。この時期独特の「横一直線並び」という特徴がよく現れています。タイタンは東方最大離角のころで、本体から大きく外れていました。かなり明るくなってから金星にも望遠鏡を向けてみました(下B画像)。高度20°ちょっとしかありませんでしたが、かなり安定していました。2026年1月7日の外合に向かってゆっくり太陽に近づいて行きます。

  • 20250628土星の衛星

    A.28日明け方の土星の衛星
  • 20250628金星

    B.28日明け方の金星


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