やっぱりあった、下向きの尾2024/10/14

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連休半ばの昨夕は各地でそこそこ晴れたようで、「紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)フィーバー」が加熱していたようです。私もようやく自宅から肉眼で確認できました。

ところで撮影した画像を処理したところアンチテイルのようなものが写っていました(後述)。もちろん目では上向きの尾しか見えなかったので、太陽に向かう尾がなぜ画像に写らないのか疑問に思っていた訳です(→昨日の記事参照)。ゴーストや光学系由来の迷光の可能性もあるため、ウラを取るべく昨日の記事でも画像を提供していただいた秋田のMKさんから元画像をお借りし、処理してみました。するとそれにも同様のテイルが写っていたのです(左画像)。彗星頭部から7時の方向に光の筋が伸びていますね。それを包むような淡い光も見受けられます。

また、NKさんが広角で撮影された別画像にも写っていました(右下画像)。実はこちらのほうが目立っていたので先に気付きました。日本海へ突き刺さるようなアンチテイル。テイルと言うよりもダストトレイルみたいな筋です。彗星が夕焼け色に染まっていて、なんとも不思議な雰囲気。

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下A画像はSOHOサイトからの引用で、本日0:18JSTのLASCO-C3カメラ画像。なんとまだ尾が見えています。より狭角な写野のC2カメラにも写っていると思われます。

試しに撮影時の太陽と彗星の位置を含んだ星図に、左上画像および時刻が近いSOHO画像を、恒星位置を頼りにはめ込んでみました(下B画像)。光学系の歪みや投影法上のズレが少しあるけれど、光の筋はほぼ太陽を向いておりSOHOに写っている尾の向きと一致します。この筋や光の広がりが本当は何なのか、これから明らかになってゆくでしょう。

画像には尾のストリームが何本も写っていて、実に複雑な絡み具合を見せています。もっと上空だったら鮮明に見えるでしょうか。暗くならないうちにもう何回か拝めると良いなあ。

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    A.SOHO LASCO-C3
  • TA彗星の尾とSOHO画像の尾の位置関係

    B.尾の位置関係


【我が家からの眺めは…】
標高のない住宅街なので条件は悪いけれど、12日・13日と連続でとらえることができました(下C・D画像)。トリミング域が若干異なりますが、同じ光学系での撮影です。右下の黒い影が近隣の障害物で、12日は彗星が見え出す前に隠れてしまいました。昨夕は高度が出たので、隠れる前に見ることができました。

下D画像で、彗星頭部から右下障害物の影に向かって細い筋が見えています。これは上記のNKさん画像と同じものと思われます。色が濁ってしまうので白黒化して処理したのが幸いしました。

  • 2020241012_2023A3

    C.12日宵
  • 2020241013_2023A3_3

    D.13日宵


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なお、上D画像直前の別ショットにLarson Sekanina フィルターをかけてみると、実に興味深い流線が現れました(左画像)。後ろへたなびく尾の大本となる『吹きだし口』です。いったいどうなってるのでしょう?


今日の太陽2024/10/14

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昨夜から今朝は晴れのち雲多め。今日朝からは少し回復しましたが、昼からまた雲が出てきました。近隣市では通り雨も降ったようです。

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左は9:20ごろの太陽。導入するなり右上に消え行く大きな黒点周囲の13848がとても眩しい。これはフレアかなと思って調べたら、ドンピシャ、9:17JSTをピークとしたM3.42クラスフレアが正に起こっていました。日本にオーロラをもたらした場所ですが、相変わらず活発ですね。左半球は微小黒点が出ているものの、ほぼ見えない状態。もうちょっと待つ必要がありそうです。

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何と言うことでしょう…とうとう紫金山・ATLAS彗星(C/2023 A3)の尾が地球から見て太陽と重なってしまいました(右画像)。コロナっぽくカモフラージュしても無駄だ!(笑)