山形の板垣さんがひと晩二天体、紫金山彗星も見ごろ2024/01/06

20240106_SN2024gy in NGC4216
山形県の板垣公一さんがひと晩で二天体の発見です。

一つ目はおとめ座のエッジオン銀河NGC4216に16.3等の超新星候補天体。5日1時過ぎの発見ですが、その後すぐ分光されType-Iaの超新星と確定しました。左は今日未明に撮影した画像です。もうかなり増光しているようで、今後が楽しみですね。マルカリアンチェーンのすぐ西で見やすい位置ですから、機会があればご覧ください。

20240106_TCP J12355226+2755557 (LBV in NGC4559)
もうひとつは新規発見ではないのですが、かみのけ座のNGC4559にあるLBV(高光度青色変光星/Luminous Blue Variable)の増光を5日4時過ぎに捉えたとのこと。

右画像は同じく今日未明の撮影。はっきりした恒星像が写りました。このLBVは不規則かつ頻繁に増光しており、板垣さんは過去にも何度か増光を捉えています。

20240106_紫金山彗星(62P)
ついでに近くにいた紫金山第1彗星(62P)を撮影。新年早々光度のピークを迎えており、ちょうどこの4日から6日ごろに計算上の最大光度になりました。西北西に向かう短い尾も見えています。エメラルドグリーンの巨大なコマが素晴らしいですね。この画像は短辺がほぼ満月直径程度ですから、コマ視直径は満月の1/3程度広がっているようです。画像右下に同一方向に向かう人工衛星が多数写っているのはStarlinkでしょうか?

今後光度は急激に落ちてゆきますが、今月いっぱいは7、8等程度をキープするでしょう。とても観察しやすい位置ですので、ぜひご覧になってください。

20240106アリスタルコス、リュンカー山、ジェラルド
【追記】今朝も薄明時に月面観察。ときおり雲が流れていたものの、概ね晴れていました。ただシーイングは最悪に近い状態で、何枚か撮った画像もことごとくスタックエラーに泣かされてしまいました。少しだけ程度の良かった画像を1枚掲載。

左画像はアリスタルコスから北側を狙ったもの。中央上寄りにリュンカー山がうっすら見えてきました。リムにはレントゲン、ラヴォアジェ、ブンセン、ガルバーニ、ボルタなどが並びます。このうち、ネームドクレーターとして唯一「接尾語」が付いているジェラルドが写っています。随分前から見たいと思っていた場所です。

点線円のうち、ジェラルド(主クレーター)は緑円のところ。それに重なるように描かれた青と赤の円がジェラルドQ。このジェラルドQは二重構造になっていて、外側(青円)はジェラルドQ-outer、内側(赤円)はジェラルドQ-innerと名前が分けてあるのです。二重構造は幾つかのところで存在するため、どうしてこのクレーターだけ特別扱いされたのか不明です。

ジェラルド付近(LRO)
LROによるジェラルド付近を右に示しました。点線円の色は左上画像と合わせてあります。真上から見下ろすと二重になっている様子が分かりやすいでしょう。本家のジェラルドやガルバーニはジェラルドQ-outerを分断するように存在しています。inner直径が67.3151km、outerは191.3090kmとのこと。ジェラルドQはシッカルトより少し小さいくらいの巨大さですね。

もっと影が出ている時期ならまた様子が変わって見えることでしょう。なかなか見えない位置ですから、ようやくそれと分かる画像が得られてほっとしました。もっとシーイングの良いときにも狙ってみようと思います。

今日の太陽2024/01/06

20240106太陽
二十四節気の「小寒」を迎えました。朝から良く晴れています。明け方の気温マイナス2度に対して、15時現在は16度超え。暑いのか…?寒いのか…?

20240106太陽リム
左は10:10ごろの太陽。昨日左下リムに見えた黒点周囲は活動領域13540、および13541と二つに分けて採番されました。プラージュが見えますね。左上にも小さな黒点があります。左下リムのプロミネンスは今日も続いていました。