日照不足の日々が続きます ― 2016/09/29
東日本と西日本では、9月中旬から前線や湿った気流の影響で、日照時間の少ない状態が続き、9月11日から26日までの日照時間は、平年の50%を下回っています。また、9月中旬の地域平均の日照時間は、東日本太平洋側で平年比26%、東日本日本海側で平年比38%、西日本日本海側で平年比44%となり、9月中旬としては1961年以降で最も少ない記録を更新しています。
日照時間(9月11日から9月26日まで)(速報値)
日照時間(h) 平年比(%)
東京 12.8 21
新潟 41.1 49
名古屋 22.4 29
大阪 29.6 37
広島 39.6 46
高松 31.2 39
日照時間(9月11日から9月26日まで)(速報値)
日照時間(h) 平年比(%)
東京 12.8 21
新潟 41.1 49
名古屋 22.4 29
大阪 29.6 37
広島 39.6 46
高松 31.2 39
右に挙げられてない街ではどうなのでしょう?大丈夫、気象庁からアメダスポイントの日々観測値が公開されていますから、それを元に表計算ソフトで集計することができます。当ブログ基本位置である茨城県つくば市の集計グラフ例を下に示しました。今年始めから昨日9月28日までの日照時間と平年値を使ってます。左から、「日照時間」、「日照率」、「日照時間平年比」です。比較のために2015年(1年間)も下段に提示しておきました。なお日々データそのものは変動が激しく傾向がつかみづらいので、5日移動平均(前後二日を含む期間の平均値)を取っています。
日照は季節変動があるので、たとえば同じ4時間の日照でも夏と冬とで持つ意味合いが違います。だから基準値に対する比率で考えたほうが理解しやすい場合もあるでしょう。そのため別途ソフトを組んで昼の長さ(=日没時刻−日出時刻)を計算しグラフに反映しました。ここでは日照率を「昼の長さに対する日照時間の割合」としています(→記事末の注意点も参照)。また日照時間平年比は「日照時間÷平年値」としました。茨城では9月中旬以降ほとんど晴れていませんが、グラフを見比べると例年と大きな違いはないのかな、という印象です。また年始をゼロとした9月28日までの積算日照時間を計算すると1483.0時間(平年値:1447.3時間)になりました。因みに2013年以降各年9月28日までの積算日照時間は次の通り。
2013年……1712.1時間(平年値:1441.6時間)
2014年……1719.7時間(平年値:1441.6時間)
2015年……1547.6時間(平年値:1441.6時間)
※今年だけ平年値が多いのは閏日が加算されてるためです。
2014年……1719.7時間(平年値:1441.6時間)
2015年……1547.6時間(平年値:1441.6時間)
※今年だけ平年値が多いのは閏日が加算されてるためです。
今年はダムが干上がるほどの空梅雨もあったのに、この4年の中では一番日照が少ないですね。それでも全体として平年を数十時間も上回っていました。つまり9月の不足分は梅雨時期の晴天で稼いでしまってるわけです。前出の気象庁発表「記録的な日照不足」とはあくまで「9月中旬」に限定した話であることを取り違えてはいけません。ただ少なくともつくば市では、この日照不足が10月上旬まで続くと平年を下回ってしまうでしょう。つくば市以外で既に下回っているところがたくさんあるかも知れません。何はともあれ、こうした気象傾向は土地に依存する要素が大きいので、みなさんのお近くのデータで集計してみることをお勧めします。(→引き続き集計を進めた10月1日の記事や10月19日の記事も是非ご覧ください。)
年 | 日照時間 | 日照率 | 日照時間平年比 |
---|---|---|---|
2016年 ※9/28まで |
|||
2015年 |
※(注意点)気象庁の定義では「直達日射量が0.12kW/㎡以上」を日照としているので、日の出直後や日の入り直前の太陽光が弱い時間は日照にカウントされません。このため一日中快晴であっても日照率100%(昼の長さ=日照)になる日はありません。またつくば市は平地ですが、山間のアメダスポイントなど観測地が高い地形に囲まれている場合も「太陽は地平線より上だけど物理的に光が届かない時間」があり、同様に100%に届きません。
参考:
10月の日照は足りてますか?(2016/10/19)……継続した記事です
アーカイブ:茨城県の気象平年値
アーカイブ:茨城県つくば市の気象傾向
気象庁:天候の状況