2022年・中秋の名月 ― 2022/09/11
思いの外晴れてくれた今年の「中秋の名月」。全国的にも晴れ間が多かったようですね。当地・茨城県南部の気温は21度台まで下がり、つい一ヶ月前の酷暑がうそのようです。
上弦のころに最も赤緯が低かったから、ちょうど一週間あまり経った昨夕の満月は赤緯0°、つまり天の赤道近くまで戻ってきました。タイミングが良ければ気象衛星ひまわりの昼画像に写るはず。(昼追記・写っていましたので記事末に追記してあります。)
快星夜の中で隣家の屋根から月が登ったのを見たときは得も言われぬ感動を覚えました。毎年正月や誕生日を無事迎えるのと同じように「今年も名月を心に刻むことができた」ことは、他人に些細なことであっても自分にとってかけがえのない喜びです。
左は23時過ぎ、南中少し前の撮影で、太陽黄経差は約182.30°、撮影高度は約44.36°、月齢14.24。満月瞬時から4時間あまり経っており、北極側をすり抜けたわずかな影が東側(右側)へ移りつつある様子が分かるでしょう。シーイングはやや悪かったのですが、安定した晴れ間が継続していましたからフレーム数を稼いでカバーしました。
秤動のおかげで、北極点付近が良く見えていますね。また右上から右端にかけてガウス、レイリー、ハッブル、ゴダードといった超有名人のクレーターがはっきり確認できます。いちばん右端・半分見えているスミス海のなかの陥没はクロース尾根やプルキニエ・クレーター付近でしょうか。その下、不自然に抉れている影の向こうにヒラヤマ・クレーターがあります。今回はサテライトクレーターのひとつ、ヒラヤマQ・クレーターのみ光って確認できます。ヒラヤマ本体は今冬に見えてくるでしょう(→2022年5月11日記事参照)。
撮影中に「やや大きいかな?」と感じたので、計算してみたら平均的な満月より若干大きめでした(記事下表参照)。年間最大の満月と名月とがほぼ重なった2015年はどこを見渡してもそのキャッチコピーが目立ったものですが(→2015年9月27日記事参照)、今年は見かけませんでしたね。いっぽう、2019年の名月は年間で最も小さい時期に重なってしまったケースでした(→2019年9月13日記事および2019年9月14日記事参照)。来年2023年や再来年2024年は2015年並に大きく見え、特に来年は今年と同じように名月と満月が同日です。期待して待つことにしましょう。
月の南中前に土星が南中していたので、これも観察しました。3m/s程度の風が残っていたため像が暴れまくりましたが、画像処理で何とか押さえ込んでみました。この二ヶ月内の撮影ではいちばん安定した像になりました。やはり良く晴れていると落ち着いて色々な観察や撮影を試すことができますね。
木星も南中を待って撮影しようと思ってましたが、日付が変わる前にすっかり曇ってしまい、明け方まで回復しませんでした。見えているうちに撮っておくんだった、トホホ…。でも名月をしっかり堪能できたから申し分ありません。
【追記】
予想通り、本日11日11:30JSTの気象衛星ひまわり画像に名月過ぎの満月が写っていました(画像元:NICT・ひまわりリアルタイムWeb/月周囲のみ色補正)。ただし、ひまわりの画角の都合で一部が切れてしまっています。お時間あるときご自身の目でも探してみてください。
上弦のころに最も赤緯が低かったから、ちょうど一週間あまり経った昨夕の満月は赤緯0°、つまり天の赤道近くまで戻ってきました。タイミングが良ければ気象衛星ひまわりの昼画像に写るはず。(昼追記・写っていましたので記事末に追記してあります。)
快星夜の中で隣家の屋根から月が登ったのを見たときは得も言われぬ感動を覚えました。毎年正月や誕生日を無事迎えるのと同じように「今年も名月を心に刻むことができた」ことは、他人に些細なことであっても自分にとってかけがえのない喜びです。
左は23時過ぎ、南中少し前の撮影で、太陽黄経差は約182.30°、撮影高度は約44.36°、月齢14.24。満月瞬時から4時間あまり経っており、北極側をすり抜けたわずかな影が東側(右側)へ移りつつある様子が分かるでしょう。シーイングはやや悪かったのですが、安定した晴れ間が継続していましたからフレーム数を稼いでカバーしました。
秤動のおかげで、北極点付近が良く見えていますね。また右上から右端にかけてガウス、レイリー、ハッブル、ゴダードといった超有名人のクレーターがはっきり確認できます。いちばん右端・半分見えているスミス海のなかの陥没はクロース尾根やプルキニエ・クレーター付近でしょうか。その下、不自然に抉れている影の向こうにヒラヤマ・クレーターがあります。今回はサテライトクレーターのひとつ、ヒラヤマQ・クレーターのみ光って確認できます。ヒラヤマ本体は今冬に見えてくるでしょう(→2022年5月11日記事参照)。
撮影中に「やや大きいかな?」と感じたので、計算してみたら平均的な満月より若干大きめでした(記事下表参照)。年間最大の満月と名月とがほぼ重なった2015年はどこを見渡してもそのキャッチコピーが目立ったものですが(→2015年9月27日記事参照)、今年は見かけませんでしたね。いっぽう、2019年の名月は年間で最も小さい時期に重なってしまったケースでした(→2019年9月13日記事および2019年9月14日記事参照)。来年2023年や再来年2024年は2015年並に大きく見え、特に来年は今年と同じように名月と満月が同日です。期待して待つことにしましょう。
月の南中前に土星が南中していたので、これも観察しました。3m/s程度の風が残っていたため像が暴れまくりましたが、画像処理で何とか押さえ込んでみました。この二ヶ月内の撮影ではいちばん安定した像になりました。やはり良く晴れていると落ち着いて色々な観察や撮影を試すことができますね。
木星も南中を待って撮影しようと思ってましたが、日付が変わる前にすっかり曇ってしまい、明け方まで回復しませんでした。見えているうちに撮っておくんだった、トホホ…。でも名月をしっかり堪能できたから申し分ありません。
【中秋の名月近傍の満月視直径比較・2015-2030年】
名月日付(JST) | 満月日時(JST) | 地心距離(km) | 視直径(′角) |
---|---|---|---|
2015年09月27日 | 2015年09月28日 11:50:30 | 356879.4 | 33.467 |
2024年09月17日 | 2024年09月18日 11:34:28 | 357485.3 | 33.411 |
2025年10月06日 | 2025年10月07日 12:47:36 | 361456.9 | 33.044 |
2023年09月29日 | 2023年09月29日 18:57:32 | 361553.8 | 33.035 |
2016年09月15日 | 2016年09月17日 04:05:05 | 364754.3 | 32.745 |
2022年09月10日 | 2022年09月10日 18:59:03 | 369131.8 | 32.356 |
2017年10月04日 | 2017年10月06日 03:40:06 | 373412.9 | 31.986 |
2026年09月25日 | 2026年09月27日 01:49:02 | 379435.6 | 31.478 |
2030年09月12日 | 2030年09月12日 06:17:56 | 383998.5 | 31.104 |
2021年09月21日 | 2021年09月21日 08:54:42 | 389988.6 | 30.626 |
2018年09月24日 | 2018年09月25日 11:52:24 | 394467.0 | 30.278 |
2027年09月15日 | 2027年09月16日 08:03:31 | 399353.4 | 29.908 |
2029年09月22日 | 2029年09月23日 01:29:19 | 402365.5 | 29.684 |
2020年10月01日 | 2020年10月02日 06:05:15 | 405149.9 | 29.480 |
2028年10月03日 | 2028年10月04日 01:24:59 | 405157.6 | 29.479 |
2019年09月13日 | 2019年09月14日 13:32:45 | 406247.9 | 29.400 |
- 自作プログラムによる計算です。視直径の降順に並べてあります。2030年のケースが一番標準に近いですね。
- 日付が違ったり昼間だったりして、満月瞬時が見えない中秋の名月もあります。中秋の名月と満月瞬時は別々のルールで決めますから、一致しないことはよくあります。
【追記】
予想通り、本日11日11:30JSTの気象衛星ひまわり画像に名月過ぎの満月が写っていました(画像元:NICT・ひまわりリアルタイムWeb/月周囲のみ色補正)。ただし、ひまわりの画角の都合で一部が切れてしまっています。お時間あるときご自身の目でも探してみてください。