涸沼からのダイヤモンド筑波2019/03/07

201903ダイヤ筑波
少し前に遡りますが、毎年3月頭のころ黄門様や梅祭りで有名な茨城県水戸の南に位置する涸沼(ひぬま)からダイヤモンド筑波山を拝むことができます。拝むと言っても日没時の現象なので、太陽が没してしまうのは残念ですが…まぁ地元の名勝に変わりはありません。古くからの星仲間である太陽爺さんから貴重な写真を提供頂いたので、ご紹介します。

左画像、中央の山が筑波山。日本百名山の中では標高877mの「最も低い山」で、日帰り登山が楽しめます。関東平野では富士山と対比され、万葉集に詠まれるほど有名ですね。手前が涸沼。涸沼川の途中にあるツチノコ型に膨らんだ低地が汽水湖になっています。

少し湧いた雲が旅愁を漂わせ涙を誘います。太陽周囲に花粉光環と考えられる環が見え、これまた涙がこぼれます…。湖面が静穏ならダブルダイヤになりそうなアングルですが、季節風が強いこの時期、そして小規模な湖沼と違って流れが落ち着かない大きな湖ではあまり期待できません。右下のズームアップ画像では沈む太陽が筑波山のふたつの山頂を同時に覆っており、実に感動的かつ貴重なシャッターチャンスです。

201903ダイヤ筑波
筑波山は「双峰」とか「双耳峰」と呼ばれるように、ふたつある山頂が特徴なのです。高いほうが女体山、低いほうが男体山。といっても高低差はたったの6メートルですからほぼ同じ。山を望む位置によって女体山が高く見えたり男体山が高く感じたりと不思議な見え方をするため、見慣れていても混乱します。また各頂上の間隔が標高に匹敵する740メートル余りあるので、違う山か!?と思えるほど横の広がりも変わってしまうのです(→参考記事・中段画像参照)。

一般的な単独峰では、南側を「表」、北側を「裏」とします。裏富士、裏磐梯などと同じように裏筑波という表現があるのです。もちろん卑下するような意味ではなく、家屋に「表口(正面玄関)」と「裏口(勝手口)」があるような感覚で口にするわけですね。ローカルなお話しですが、常磐自動車道を北上しながら筑波山を観察すると、石岡市を過ぎるころふたつの山頂が重なってしまい、ひとつの山に見えるポイントがあります。または国道294号を南下するとき、筑西市から下妻市に入る辺りで同じことが起きるでしょう。そこが表裏を分ける境界なのです。

せっかくなので、この境界線を正確に計算してみました(下地図)。地図上の赤ラインは女体山(東側山頂)と男体山(西側山頂)の位置情報から方位角を導き、その線を地球面に添って延長したもの。赤ラインより北が裏筑波ですから、上のダイヤ筑波は裏筑波を見ていると分かります。つまり左側山頂が女体山ですね。

数あるダイヤ筑波ポイントのなかで、「双峰に見えない位置」からダイヤ筑波を写したケースは見たことがありません。時期としては日没時なら3月末か4月頭、日の出時なら3月15日前後です。赤ラインのお近くの方で機会があれば狙ってみてください。なお今年秋には茨城県で「いきいき茨城ゆめ国体」および「いきいき茨城ゆめ大会」が行われます。ご参加・ご観覧の際はぜひ筑波山や霞ヶ浦など県内名所旧跡も併せてお楽しみくださいませ。


【筑波山の向き・表裏の境界線】

    

  • 女体山と男体山の山頂を結ぶ線を地面に沿って延長しました。この線付近では両山頂がほぼ重なります。
  • 地図中央(+アイコン)の緯度経度が地図下に表示されます。
  • 地球を回転楕円体として計算しています。ジオイド高および大気屈折などの影響は考慮しません。概算値ですのでご留意ください。


参考:
ダイヤモンド筑波山に関係する記事(ブログ内)