夕空で火星とすばるが接近しました2019/04/01

20190331火星とすばるの接近
3月26日の記事でもご案内しましたが、3月末に火星とすばるが約3°まで接近しました。昨夕は日没頃まで雨雲や雷雲が行き来していましたが、日没後にほぼ快晴となったので観察してみました。

左はまだたっぷり薄明が残っている内に撮影したもの。26日の時より透明度が良かったためか、火星やアルデバランは早いうちから見つかりました。今回は薄明や地上の風景も含めベランダから広角での撮影です。アルデバランを含むヒアデス星団、火星が寄り添うプレアデス星団(すばる)が見やすいよう、画像処理を施してあります。

少し暗くなってから若干拡大して撮影したのが右下画像。こちらは暗い星までたくさん写ってますね。薄明の中でもこれだけたくさんの星が光り始めているのは何とも不思議。

20190331火星とすばるの接近
すばるは黄道に近い位置のため、しばしば惑星が接近します。今後しばらくは太陽方向になってしまうため星団そのものが見えませんし、向こう1年間ほどはどの惑星からも遠くなってしまうのが残念。でもちょうど1年後の2020年4月頭には夕空で金星が大接近し、4月3日・4日にかけて、なんと「すばるの星々の中を金星が通り抜ける」というすばらしい光景に出逢えるでしょう。今から楽しみです。

バーナード星と野鴨星団を楽しむ2019/04/01

20190401バーナード星
昨夕一時的に晴れたものの、昼の不安定な天気は夜になっても継続しました。ところが夜半過ぎからかなり冷え込み、冬のような素晴らしい星空がやって来たのです。朝が早くなっているので余り時間が取れませんでしたが、ふたつの天体を観察しました。

まず、見よう見ようと思いつつ先延ばしになっていたへびつかい座の「バーナード星」(左画像)。全天でいちばん見かけの移動が速い星ですね。9等星なので簡単に見つかります。スペクトルがM型の赤色矮星としても知られ、簡単な試写でもすぐ赤い星と分かるでしょう。年間に10″角ほど天の北方向へ向かっています。左画像のスケールだと1年間で上方向に1ピクセル。惑星を撮る要領で10倍くらい拡大撮影すれば移動が検出できそうですね。今朝方は大気の揺らぎがものすごく悪化していて、ピント合わせができないほどでした。もう少し安定した夜空のとき改めて移動検出に挑戦しようと思います。

20190401散開星団M11
お次は散開星団M11(右画像)。NASA Image of the Dayのサイトで3月末に紹介されていた画像があまりに美しかったので、急に自分も見てみたくなりました。別名「野鴨星団(Wild Duck Cluster)」と呼ばれるこの星々をいままで数え切れないほど眺めてきましたが、毎年新たな気持ちでM天体巡りをすると見え方が変わってきます。写真と違って、人間が目で見て感じるイメージというのはその時の心情をよく反映しますね。

今回は街中でもファインダーで簡単に捕まえられるほど良い空でした。明け方西空にビーナスベルトが良く見えたので、その事実からも透明度が良いことが分かります。4月初めの朝ですが、気温は1度まで下がっていました。

今日の太陽と花粉光環2019/04/01

20190401太陽
年度初め、朝からよく晴れていますが、午後から夜にかけて天気が悪くなる予報です。昨日同様、上空に強い寒気が入り、不安定なのですね。

20190401太陽リム
左は9:50過ぎの太陽。「令和」が発表される前です(笑)。昨日の観察で気付かなかったのですが、左やや上に黒点群が現れており、活動領域12737と採番されました。しばらくは楽しめるでしょうか?

右リム上下に小規模プロミネンスが見えるほか、左上リムにかなり高く伸びたプロミネンスの一群が見えています。これもどうなるか楽しみですね。

20190401花粉光環
また久し振りに朝からやや鮮明な花粉光環が確認できました(右画像)。空の透明度が良い証拠です。スギ花粉はそろそろ減りつつある時期ですが、まだ油断できません。

案の定、午後になると雲が厚くなってきました…。

夜明けの金星と月の競演も見納め2019/04/02

20190402金星と月の接近
昨夕から降り出した雨は夜通し続き、結構な雨量となりました。宵のうち一回だけ雷鳴を耳にしましたが、酷くならずに済んだようです。雲が途切れてきたのは明け方薄明が始まってからでした。雲間から夏の大三角が見えましたが、移動する雲に隠されたり、また見えたりを繰り返しています。

次々と雲がやって来るので快星になる根拠はひとつもありませんでしたが、明け方低空に見えるはずの金星と月の競演をひと目拝みたくて、カメラと三脚のみ抱えて近くの広場へ出向きました。普段からのリサーチで自宅では低すぎて見えないことが分かっていたからです。

道中、オレンジ色の細い月が木々の隙間から登ってきました。現場に着くと金星も見えてきました。なんと嬉しいことに、金星と月の方向だけ晴れており、他の方角や天頂は雲に隠されています。急いでカメラを組み上げ何十枚かシャッターを切りました。薄明でどんどん明るくなるので撮影条件もどんどん変えなくてはなりません。ちなみにこの日の「小惑星リュウグウ」は、月と金星を結んで金星方向に等倍伸ばした辺りにいます。リュウグウはまもなく「はやぶさ2」によって人工クレーターが作られる予定です。

3月3日の金星と月は悪天で見逃しましたが、1月2日2月1日に続き、今年三度目の金星と月の接近を見ることができました。ありがたや。次は5月2日・3日ごろですが、日の出時点の高度がわずか十数度ですから、もはや観察は難しいと思われます。従って明け方の会合は今回でほぼ終了となるでしょう。そのあと金星と月が並んでいる光景を目にするのは年末近くの夕方になりそうです。


20190402昼間の金星と月
【追記】
2月の時と同様、昼間にも観察してみました。右は本日12時少し前、西に傾いた月と金星を撮影したもの。画像上方向が天頂方向で、撮影時の離角は約3.7°です。少し雲があり、双眼鏡ではすぐ見えたのになかなかカメラのファインダーで捕まえられず20分ほど悪戦苦闘しました。朝の状態を見ているので、随分近づいた印象を持ちました。なお最接近は17時過ぎですが、両天体とも沈んでいます。

参考:
アーカイブ:天体の接近現象一覧
アーカイブ:昼間に月と金星が近い日